第55回海上保安庁観閲式及び総合訓練
       Japan Coast Guard Inspection parade 2010
●はじめに
  2010(平成22)年5月29日(土)、30日(日)に東京湾羽田沖にて海上保安の日(5月12日)を記念して、第55回海上保安庁観閲式及び総合訓練が実施されました。観閲官は29日(土)に前原誠司国土交通大臣、30日(日)に三日月大造国土交通政務官、また両日ともに鈴木久泰海上保安庁長官が務めました。

 今回は新鋭船の参加が多くみられ、また訓練内容も世相を反映した内容となっており非常に興味深いものでした。海上保安庁の活動の一端を拝見できる良い機会に恵まれたことは非常に光栄です。

 まずは、なんだかんだで受け付けと手荷物検査も終え、乗船となりました。今回乗船する巡視船はPLH10「だいせん」です。ヘリコプター1機搭載大型巡視船「つがる」型の9番船で第8管区舞鶴海上保安部よりやってきた船です。平成13年竣工と、比較的あたらしめの船ですね。個人的に以前から気になっていたので今回乗船出来たのは非常に喜ばしいことです。

(撮影&解説 鯛風雲)

●観閲式模様
 定刻通りの出港となりました。出港作業中の前部甲板は見ていて飽きませんね。

 晴海埠頭から出港するとレインボーブリッジの下を通ることになります。

 船ウォッチャーの方はレインボーブリッジ上から撮影される方もいらっしゃるようですね。考えてみれば巡視船を俯瞰撮影するなんざあまり出来ませんものね。

 大井埠頭横を通過して行きます。赤い大型コンテナ用クレーンが並ぶ姿は壮観ですなあ。

 羽田沖で横浜から来た「いず」と合流します。ここで一旦、船隊の組み直しを行います。我々「だいせん」は部隊の殿を務めることになります。

 ちなみにこの辺で携帯の電波完全に切れました。(au)

 遠くに探照灯の光がちらほらと見えてきました。

 受閲船隊がやってきました。白い船体の巡視船が何隻も縦に並ぶ姿はまさに壮観そのもの。まず初めは第一小隊、大型船で構成された船隊です。

 横浜海上保安部所属PLH31「しきしま」

 世界最大級の巡視船で、プルトニウム輸送船護衛のために建造されました。現在ではプルトニウム輸送船護衛の任務以外にも東南アジアにおける海上保安指導や技術供与の活動の主軸を握るフネとなっています。また、新たに2隻同型船を建造する予定であり、今後の動向が注目されます。

 福岡海上保安所属PLH06「ちくぜん」

 ヘリコプター1機搭載の大型巡視船で、能登半島沖不審船事件では20ミリ機関砲による警告射撃を行ったフネでもあります。

 本庁海洋調査情報部所属HL01「昭洋」

 海の地形や地下資源などを調査するためのフネです。 

 高知海上保安部所属PL08「とさ」

 後ろに広いヘリ甲板を有し、スーパーピューマが離発着できる能力を持ちます。主に救難系の任務を主眼に設計されているため速力は遅めに設定されています。

 本庁交通部所属LL01「つしま」

 灯台の整備など航路に関する様々な任務を受け持ちます。最近ではGPSの普及により電子機器の整備も行えるように改良されました。今回の観閲式参加船艇の中では最も高齢のフネです。

 続く第二小隊は警備型巡視船3隻によって構成されています。どれもPL型(大型巡視船)ですが30kt以上の速力を誇るおそろしい船隊です。

 鹿児島海上保安部所属PL52「あかいし」

 九州南西海域工作船事件以後整備された高速高機能大型巡視船の部類に入るフネであり、前部に設置されたFCS付き40ミリ機関砲はお馴染みRPG−7など工作船が保有する武装の射程外から攻撃することも可能となっており、速力とともに乗員の安全の確保もなされています。

 福岡海上保安部所属PL62「はかた」

 主に尖閣諸島海域での運用を想定した拠点機能強化型巡視船として整備されたフネで、小型巡視艇やヘリコプターへの補給能力を有します。

 尾鷲海上保安部所属PL68「すずか」

 上の「はかた」と同型船です。このような警備型巡視船は当初、日本海側を重点とした配備でしたが、本型(「はてるま」型)の整備により全国各地に配備される一歩となりました。

 福島海上保安部所属PM31「あぶくま」

 ここからは第三小隊です。PM型1隻、PS型2隻によって構成されています。350トン型巡視船で、不審船対策の要素も持ちつつ、救難任務や他の諸任務に対応できるように設計されたオールマイティな巡視船です。

 根室海上保安部所属PS08「かりば」

 180トン型巡視船で、同クラスの巡視船に足りなかった航行能力を高めるため設計されました。機動性もよく、様々な任務に対応できるため、北は根室から南は沖縄まで日本全国各地に配備されています。

 宿毛海上保安部所属PS09「あらせ」

 上の「かりば」と同型(「らいざん」型)です。

 対馬海上保安部PC109「なつぐも」

 こちらからは第四小隊でPC型2隻、CL型2隻によって構成されています。

 国境の海、対馬で海の安全を守るフネです。前部の12.7ミリ機関銃は遠隔操作式になるなど旧型の同クラスの船からは大幅な向上が見られます。

 中城海上保安部所属PC115「あわぐも」

 上の「なつぐも」と同型のフネです。こちらも沖縄という国境の海で日々密漁などの犯罪と戦っています。

 名古屋海上保安部所属CL38「しゃちかぜ」

 小型巡視船でこの型のフネは全国津々浦々で100隻以上が任務に当たっています。

 受閲航空機隊がやってきました。そして航空機の写真にめっぽう弱い私はその大半撮りり逃がしました。ごめんなさい。

 MH908 ベル412「はまちどり」

 福岡航空基地所属機です。

 MA962 サーブ340「うみつばめ」

 鹿児島航空基地所属機です。このような大型機は各種捜索装置を搭載し、救難活動において大きな役割を持ちます。

 MA722 ボンバルディア300「みずなぎ」

 羽田航空基地所属機です。

 LA701A YS−11「ブルーイレブン」

 羽田航空基地所属機で、引退が迫っているため今回が最後の観閲式となる予定です。YS−11は結構前に日本の空から引退しましたが、あくまでそれは民間機の話であり、海上保安庁や自衛隊ではまだまだ現役であります。

 続きまして関係機関船艇パレードです。

 茨城海上保安部所属PS14「あかぎ」

 「あかぎ」が先導船の任を務めます。

 海上自衛隊 護衛艦「たかなみ」

 海上自衛隊第2護衛隊群第6護衛隊に所属する護衛艦です。前部甲板にオットー・メララ社製127ミリ速射砲を備える他、VLSに各種ミサイルを搭載できます。

 水産庁 漁業取締船「たつまい」

 四方を海に囲まれている日本は漁業が産業として発展しています。ゆえに、規定されたルールを破る犯罪も横行しているのが事実です。そこで、そのような密漁などの犯罪を取り締まるのがこのフネの任務です。

 横浜税関 監視艇「みょうこう」

 千葉県警察本部 警備艇「ぼうそう」 。

 東京消防庁 消防艇「すみだ」。

 中国海事局「海巡21」

 今年の海外からのゲストは中国海事局です。中国海事局というのは中国における海上保安庁のようなもので、このフネはその巡視船に当たります。(たぶん!)

 最後に関係機関航空機パレードです。

 関東地方整備局「あおぞら」、東京消防庁「かもめ」、千葉市消防局「おおとり1号」、横浜市消防局「はまちどり2号」、川崎市消防局「そよかぜ1号」がパレードに参加しました。