化学防護車


第1特殊武器防護隊の化学防護車。車体上面に赤色灯を装備している。
(写真:練馬駐屯地/撮影:鯛風雲)

●基本データ

登場:1987年
重量:14.1t
全長:6.10m
全幅:2.48m
全高:2.38m
乗員:4人

●解説

 陸上自衛隊では核兵器や化学兵器の脅威から国民を保護し被害の拡大を防ぐため、化学科と呼ばれる専門の職種を設置している。1995(平成7)年の地下鉄サリン事件に代表される毒ガステロや1999年の東海JCO臨界事故、記憶に新しいところでは2011年の福島第一原子力発電所事故などの原子力災害の恐怖が世間を取り巻く中、その存在は以前にまして重要視されている。そして、その任務遂行のカギとなるのが化学防護車である。

 1987(昭和52)年に制式採用され、1997(平成9)年度予算までに47両が調達された。

 見えるモノと戦う通常の戦闘車両と比べ、見えないモノを相手とする対化学兵器車両はよりシビアな性能が要求される。乗員が外部に露出することは許されないし、乗員が搭乗する部分は限りなく密閉性が求められる。更に本型では空気浄化装置を搭載することで汚染された外気からの乗員保護を徹底している。車両後部にはマニュピレーターが装備されており、外に出られない乗員に代わり汚染された試料の採取を行うことが可能である。

 地下鉄サリン事件、福島第一原子力発電所事故での出動は知られているが、2012(平成24)年の北朝鮮ロケット発射実験に際してもロケット墜落時を考慮して燃料などの有害物質から住民を保護するため出動した。そういった緊急性の高い任務を担っていることもあり、自衛隊車両では初めて緊急車両として認可され赤色灯を装備している。ある意味最も『リアル』な現場の第一線で活動する車両であるとも言える。
(解説:鯛風雲)

●ギャラリー


左後方から。
(写真:大宮駐屯地/撮影:鯛風雲)

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