城の見方ガイド(12) 御殿とは何か

○城内最大の面積を持つ建物


 御殿は一般的には身分の高い人が住む邸宅を指しますが、近世城郭では城主の住居&執務スペースとして城内に建てられ、寝泊りはもちろんのこと、家臣等との対面や儀礼、藩政のための庁舎としても使われる、まさに政治の中心部です。(上写真は川越城本丸御殿)

 ちなみに、対面の儀礼を行う場所を表向、城主の住居&執務場所を中奥、城主が休息をとる場所を奥向と言います。


 大広間では家臣が一堂に会し、藩主が訓示・・・なんてこともありますね。ここからでは藩主の顔がよく見えませんが、まさに「大広間」の名前にふさわしい空間です。(上写真は佐賀城本丸御殿)


 藩主との対面の場所は、城によってはこんなに豪華なことに。(上写真は熊本城本丸御殿)

○現在みられる御殿


 近世城郭の中でもとくに重要な場所である御殿で、本来はあちこちの城にあったはずが、まず本丸御殿の現存例は一番上で紹介した川越城本丸御殿のほか、上写真の高知城本丸御殿のみ!


 また、佐賀城本丸御殿の一部(藩主の居室である御座間、堪忍所)も現存しており、復元整備された部分とともに公開されています。


 一方、二の丸御殿の場合は上写真の掛川城二の丸御殿と・・・。


 二条城(京都市)の二の丸御殿が現存しています。こちら、大政奉還の舞台ともなりましたね。ちなみに二条城には本丸御殿もありますが、これは明治になってから旧桂宮邸(1847(弘化4)年築)を移築したもので、本来の遺構とは異なります。

 それにしても、実に寂しい残存状況です。


 一方、復元されたものの場合は、上写真の彦根城表御殿や、篠山城(兵庫県)大書院、それから先ほど紹介した熊本城本丸御殿や・・・。


 こちらの佐賀城本丸御殿が挙げられます。また、2018年には名古屋城本丸御殿の復元が完了しています。

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