キハ181系特急形気動車


JR化後に登場しながらも、最初から最後まで国鉄色で運転された特急「いなば」。2003年9月に引退した。
(写真:特急いなば 岡山駅/撮影:裏辺金好)

●基本データ

デビュー年:1968(昭和43)年
保有会社:ミャンマー国鉄 
元保有会社:国鉄、JR西日本、JR四国
最高速度:120km/h
元・使用列車:つばさ、しなの、あさしお、やくも、はまかぜ、いなば、くにびき、おき、いそかぜ、しおかぜ、いしづち、南風、うずしお など
運行区間:ミャンマー国鉄線
元・運行区間:東北本線、奥羽本線、中央本線、東海道本線、山陽本線、播但線、予讃線、土讃線など

●関西〜山陰輸送で活躍を終える

 非電化幹線の特急にキハ80系が投入されていたが、少々パワー不足で、スピードアップが難しかった。そこで、大出力エンジンを搭載した車両が求められていたため、まずはキハ91系を試作し、様々なテストを行った。そして、その成果を元に量産されたのがキハ181系である。

 大出力エンジンを搭載した上に、キハ80系よりも軽量化したこともあり、何と言っても当時としては高速の、しかもディーゼルカーで最高120km/hの性能を実現させたことが特筆され、さらに中間車の屋根全体に、黒い半月状のエンジン用放熱機器(ラジエター)を搭載しているのが特徴。また、運転台機器は、マスコン、ブレーキハンドルを従来の方式とは異なり、レバーを前後方向に動かす方式に変更され、人間工学に基づく仕組みを導入した。

 昭和47年までに158両が製造され、勾配線区に投入。東北では奥羽本線で特急つばさ、中央西線で特急しなの、山陰本線、四国各線の特急で使用された。そして、JR発足時には、JR西日本・JR四国に受け継がれ、このうちJR四国はいち早く独自塗装に塗り替えられたが、1994(平成6)年に四国からは引退。

 JR西日本では、特急「はまかぜ」用に新塗装を導入した以外は、基本的に国鉄色を保ったまま山陰などで活躍していた。しかし、ついに新型車両キハ187系が投入され、各列車から次々と撤退。そして2010(平成22)年11月、大阪〜浜坂・鳥取を結ぶ特急「はまかぜ」にキハ189系が投入されたことにより、ついに定期運用から離脱した。なお、車両の一部はミャンマー国鉄へ譲渡されて運用されている。

 また、JR東海は発足時点では保有していなかったが、国鉄時代に自社管内でキハ181系が活躍していたこともあり、JR四国から購入。佐久間レールパーク(2011年春からは「リニア・鉄道館」)で先頭車のトップナンバー(キハ181−1)が保存されているほか、JR西日本では津山駅に隣接する、旧津山扇形機関車庫でキハ181−12を保存している。

●走行シーン(動画)


2008年9月2日に撮影した、おわら風の盆臨時列車であるキハ181系5両による、特急「おわら」の間合い快速。
(高山本線 婦中鵜坂〜西富山/撮影:ちゃけ)

●キハ181系バリエーション一覧


JR西日本が特急「はまかぜ」用に塗り替えた塗装。配色は、山陰特急で使用されている183系特急形電車に準ずる。なお、この塗装は「いそかぜ」でも一時的に見ることが出来た。
(写真:特急はまかぜ 東海道本線 塚本駅/撮影:裏辺金好)

全車引退したJR四国色。JR四国のコーポレートカラーである水色と、ベース色の白という配色は、非常に爽やかな色だった。
(写真:特急いしづち 高松駅/撮影:haru様 禁転載)

2003年度、大河ドラマ「武蔵」に合わせ関門海峡観光PRの装飾が施されたキハ181系。広島〜下関で運転された。
(写真:快速関門・MUSASHI 広島駅/撮影:裏辺金好)

屋根が特徴的な中間車両。
(写真:特急いなば 岡山駅/撮影:裏辺金好)

●キハ181系車内


JR西日本の特急「はまかぜ」用キハ181系普通車の車内。
(撮影:裏辺金好)

JR西日本の特急「はまかぜ」用キハ181系グリーン車の車内。
(撮影:裏辺金好)

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