117系一般形電車
のちに湖西線で見られた117系国鉄色。
(写真:東海道本線(湖西線) 京都駅/撮影:裏辺金好)
●基本データ・運用区間
デビュー年:1979(昭和54)年保有会社:JR西日本
元保有会社:JR東海
運行区間:臨時列車(WEST EXPRESS 銀河運転区間のみ)
元・運行区間:東海道本線、山陽本線、湖西線、福知山線、奈良線、紀勢本線、和歌山線など
●新快速のグレードアップを実現した車両
117系は私鉄との競争が激しい関西圏において、国鉄が新快速のグレードアップのために登場させた車両。車体色は、戦後間もない頃に使用された車両に準じ、クリームに茶(ぶどう)色の帯という、懐かしい塗色となっている。また、1982(昭和57)年には名古屋・浜松地域にも投入され、主に快速列車に使用。車内設備はなかなか良く、好評を博した。しかし、JRになって後継車両(221・223系など)が誕生すると、JR西日本では編成を短縮した上で奈良線、福知山線に車両が転属。さらに追い出されて湖西線のほか、山陽本線(岡山地区・下関地区)、和歌山線・・・と、主に地方路線へと運用範囲を移している。なお、下関地区の117系は2016(平成28)年1月までに岡山地区などへ転出している。
2019(平成31)年3月16日改正では、和歌山線や紀勢本線で活躍していた車両が引退し、2023(令和5)年4月1日には京都地区、同年7月21日には岡山地区での運用を終了し、後述の「WEST EXPRESS 銀河」改造車両を除き、全車が定期運用を離脱した。
JR東海の117系は一般車が2013(平成25)年3月16日のダイヤ改正で定期運用から引退。2010(平成22)年に登場したジョイフルトレイン「トレイン117」も、2013(平成25)年7月21日の運用を最後に引退した。一方、リニア・鉄道館では開館時にクハ117-30、モハ117-59、クハ116-209が屋外で展示されたが、現在はクハ117-30のみが屋内にて展示されている。
2020(令和2)年9月11日から、JR西日本で117系T2編成を大改造した「WEST EXPRESS 銀河」を運行開始。えちごトキめきリゾート雪月花の設計・プロデュースなどを手掛けた川西康之氏がデザインコンセプトを手掛け、外観を「西日本が誇る美しい海や空を表現した」という瑠璃紺色で塗装。内装は「多様性」「カジュアル」「くつろぎ」をキーワードに、1両ごとに座席タイプが異なっており
・1号車(グリーン車) 「ファーストシート」1列+1列シート
・2号車(普通車) 「クシェット」フルフラットシート、2列+2列シート [女性専用席]
・3号車(普通車) 「ファミリーキャビン」コンパートメント、2列+2列シート
・4号車(フリースペース)
・5号車(普通車) 「クシェット」フルフラットシート
・6号車(グリーン個室)「プレミアルーム」
となっている(※いずれも指定席)。
まずは京都〜出雲市間(東海道本線・山陽本線・伯備線・山陰本線経由)で夜行特急として運転され、2020(令和2)年10月から翌年3月までは大阪〜下関間(東海道本線・山陽本線)で昼行特急として運転され、2021(令和3)年7月から12月までは京都〜新宮間で夜行または昼行特急として運転するなど、時期によって運転区間を変えている。
●117系バリエーション一覧
JR西日本のWEST EXPRESS 銀河。2020年になって117系驚きの特急化で、しかも夜行列車としても活用。団体臨時列車ではない、山陽本線の長距離特急というのも胸が熱くなる話。
(写真:山陽本線 大久保〜魚住間/撮影:ひょん君)
オレンジ色の帯を巻くJR東海117系。ラッシュ時が中心に活躍を続けていたが、2013(平成25)年3月改正で定期運用を終了。
(写真:東海道本線 尾張一宮駅/撮影:裏辺金好)
JR東海色の117系。登場時は太帯と細帯を組み合わせた2本帯だった。
(写真:東海道線 米原駅/撮影:電車の背景写真様 禁転載)
2010(平成22)年、JR東海が久しぶりに登場させたジョイフルトレインは117系が起用。愛称は「トレイン117」。外観が大きく異なる2号車は「ウィンディスペース」という展望デッキ風のフリースペースになっている。
(写真:飯田線 野田城〜新城/撮影:ネオン)
「トレイン117」は2011(平成23)年3月に両端先頭車両が変更され、2号車の帯に合わせて全車両を塗装変更。運用される列車によってラッピングの追加が行われ、「水都大垣トレイン」運用時には桜の花びらが追加されている。
(写真:東海道本線 名古屋駅/撮影:リン)
「トレイン117」による「富士山トレイン117」運用時には、富士山を車体にラッピングし、さらにオレンジ帯を追加している。なお、「トレイン117」は2013(平成25)年7月21日の運用を以って引退している。
(写真:東海道本線 東田子の浦駅/撮影:裏辺金好)
福知山線で活躍していた117系福知山色は、尼崎での脱線事故後に他線へ転属。一部は山口県内でも活躍。
(写真:山陽本線 新下関駅/撮影:裏辺金好)
単色化が始まったJR西日本の117系。湖西線など京都地区の117系は緑色1色に統一へ。
(写真:東海道本線 京都駅/撮影:裏辺金好)
主に紀勢本線・和歌山線で運用されていた117系は、特急「オーシャンアロー」をイメージとした塗装だった。
(写真:紀勢本線 和歌山駅/撮影:裏辺金好)
単色化された紀勢本線・和歌山線の117系。
(写真:和歌山線 五条駅/撮影:リン)
単色化された広島支社、岡山支社の117系は黄色1色。
(写真:山陽本線 撮影:裏辺金好)
岡山〜福山間の快速「サンライナー」を中心に活躍する117系は、当所はオレンジの複数色のラインを下にまき、英語のレタリングが入った塗装だった。
(写真:山陽本線 倉敷駅/撮影:裏辺金好)
2016年の岡山デスティネーションキャンペーンに合わせ、県内に工場を構える「mt」とタイアップした期間限定のラッピング車。
(写真:山陽本線 大門〜笠岡/撮影:リン)
●車内の様子など
117系0番台の車内。室内は座席のカバーが一体式になっており、全席転換クロスシート(隅部のみ固定式)。ただし、つり革がないので車内がすっきりしているが、混雑時に利用者は少し苦労しているのかも?
(解説・撮影:うめ吉)
117系0番台の車内。こちらは岡山地区のもので、カバーが異なっている。
(撮影:うめ吉)
117系0番台運転台(乗務員室)付近。連結面やドア・乗務員室との仕切部分等は木目調の化粧版が使われいて、旧型の急行型や特急型並み(以上?)の高質感がある。
(解説・撮影:うめ吉)
117系100番台の車内。座面はバケット式で、背摺りに縫い込みが存在。また、側面窓が2列1組のバランサー付き1段下降式となっている。
(解説・撮影:裏辺金好)
もともと福知山線用に改造された300番台の最大の特徴は、扉付近のロングシートへの変更で、その部分にはつり革も設置され0番と比較すると2扉の近郊型車両と言った感じが強くなっている。
(解説・撮影:うめ吉)
117系300番台。木目調の化粧版はそのまま使われている。
(解説・撮影:うめ吉)
方向幕。(撮影:うめ吉)