169系


しなの鉄道で復活した169系湘南色。
(写真:しなの鉄道 大屋駅/撮影:裏辺金好)

●基本データ

デビュー年:1968(昭和43)年 
最高速度:110km/h
元・使用列車:信州・草津・アルプスなど(以上全て急行)
元・運行区間:東北本線、高崎線、信越本線、篠ノ井線、しなの鉄道線、中央本線など
元・保有会社:JR東日本しなの鉄道国鉄

●長野で生まれ、長野で最後の活躍を終える

 信越本線のうち、長野県と群馬県の県境にある碓氷峠は難所であり、列車は機関車に引っ張ってもらわなければならなかった。しかし、連結できる両数に限りがあり、機関車と協調して運転出来るパワーのある車両が必要となった。

 そこで165系をベースに、電気機関車EF63と協調運転するために誕生したのが169系である。もっとも、1986(昭和61)年11月改正で急行「妙高」が189系化されたことにより、碓氷峠を越える169系列車は全て消滅。その後は特長を生かすことなく、長野県内を中心に一般区間の急行や普通列車、のち首都圏などでも快速や団体臨時輸送などで活躍を続け、2003(平成15)年に全車が引退し、JRからは形式消滅となった。

 一方、1997(平成9)年10月1日の長野新幹線開業に伴い、信越本線の一部(軽井沢〜篠ノ井)がしなの鉄道へ経営移管されると、3両編成×4本の169系が同鉄道へ移籍。その中には、クモハ169−1、モハ168−1のトップナンバー2両も含まれた。当初は、いずれも「しなの鉄道」オリジナル塗装に塗られてたが、2008年9月から2009年3月と、2010年9月からは1編成(S52編成)が往年の湘南色に復元され、各種のイベント列車に使用。

 富士急行の2000形(もと165系)と共に、現役で活躍する最後の国鉄直流急行形電車であるが、2011(平成23)年7月1日からは鉄道に関する技術上の基準を定める省令が改正されたことを受け、運転状況記録装置未設置により、JR線内への入線ができなくなり、しなの鉄道線内のみの運転となった(主に軽井沢〜小諸間の区間運用に充当)。

 そして余剰となったS54編成は、2012年1月で営業運転を終了し、廃車。残った3本も2013(平成25)年3月16日改正で定期運用を失い、2013(平成25)年4月29日にラストランを実施。ただし、幸いにも坂城駅にてS51編成(クモハ169−1、モハ168−1、クハ169−27)が保存。さらに軽井沢駅でもS52編成のクモハ169−6が保存されていたが、2020(令和3)年2月20日に解体のため陸送されてしまった。

 また、富士急行では富士山駅(富士吉田駅から改称)にも元・三鷹電車区所属のクハ169−27(三鷹色)が部品確保用(倉庫)として現存していたが、2016(平成28)年に解体され、運転台周辺がカットモデルとなって湘南色に復元の上、下吉田駅で保存されている。

●169系バリエーション一覧


 長野地区の快速「みすず」で運用されていた169系。クリーム10号をベースに、長野支社のイニシャルである「N」を緑色で描いていた。長野オリンピックにあわせ、新長野色に変更されて消滅。なお、4両編成のうち1両はサハ165を連結していた。
(写真:信越本線 長野駅/撮影:名古屋のおさかな様)

普通列車運用の長野支社169系は、115系同様にアイボリーホワイトに緑と赤の帯を巻いていた。しかし、こちらも新長野色へ変更されて消滅。
(写真:大糸線 信濃大町駅/撮影:名古屋のおさかな様)

115系同様の新長野色(信州色)に塗装変更された姿。
(写真:中央本線 新宿駅/撮影:与太郎)

快速「むさしの」など中央本線、武蔵野線、富士急行で活躍した三鷹電車区の169系。晩年はホワイト、グレー、ピンク、ブルーを配色したオリジナル塗装になった。
(写真:中央本線 八王子駅 /撮影:裏辺金好)

しなの鉄道オリジナル色に塗られた169系。赤とガンメタリックをベースとした塗装である。
(写真:しなの鉄道 平原駅/撮影:裏辺金好)

2017年の軽井沢駅リニューアルに合わせて、「イエローキッズでんしゃ」となったクモハ169−6。水戸岡鋭冶氏のデザインで、子どもの遊び場となっていたが、2020(令和3)年2月20日に解体のため搬出されてしまった。短い活用となったが、何があったのだろうか。
(写真:しなの鉄道 平原駅/撮影:裏辺金好)

●車内の様子(しなの鉄道所属車)


(撮影:裏辺金好)

(撮影:裏辺金好)

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