183系特急形電車


183系0番台。貫通扉をもった先頭車が特徴的だった。
(写真:特急しおさい 市川駅/撮影:裏辺金好)

●基本データ・運用区間

デビュー年:1975年 最高速度:120km/h
元保有会社:JR東日本、JR西日本
元・使用列車:あずさ、かいじ、とき、わかしお、しおさい、さざなみ、あやめ、すいごう、はまかいじ、踊り子、あまぎ、白根、新雪、急行アルプス、中央ライナー、青梅ライナー、ホームライナー千葉、ホリデー快速河口湖、ホリデー快速富士山、妙高、北近畿、こうのとり、きのさき、はしだて、文殊、たんばなど
元運行区間:中央本線、信越本線、篠ノ井線、総武本線、信越本線、東海道本線、山陰本線、福知山線、舞鶴線など

●東と西で異なる出自の183系

 183系はJR東日本とJR西日本が保有する特急型車両。JR西日本所属車両は全車が485系/489系からの改造車両で、オリジナルの183系はJR東日本のみに存在している。オリジナル車の特徴は、ビジネス輸送にも対応するため、特急型電車として初めて片側2扉を採用し、さらに当初から食堂車の連結は考えられておらず製造されていない。これは当時の特急としては異例であったが、こののち、特急の標準的なスタイルとなっていく。以下、183系をグループ別に解説する。

 ▼0番台
 1972(昭和47)年、房総半島を走る各線が電化された際に登場した特急「わかしお」「しおさい」等のために造られた車両。先頭車は貫通型と呼ばれるタイプで、先頭車同士の連結が可能(ただし、連結機能を使うことは皆無)。なお、幕張電車区(現・幕張車両センター)に所属する8両編成は、前面愛称幕がLEDに改造された。現在は全ての車両が引退しているが、幸いにもクハ183−21が、長野県上田市の「夢ハウス」でカットモデルで保存された後、千葉県いすみ市の「いすみポッポの丘」で保存されている。

 ▼1000番台
 1974(昭和49)年、当時の上越線の特急「とき」用に、寒冷地対策を施して登場した車両(1000番台)で、先頭車はすきま風や雪の進入を防止するため、非貫通型へ変更されている。なお、先頭車両には1500番台という車両も存在。これは、東京駅地下ホームに乗り入れるため、ATCを搭載した車両で、新製車両と改造車両がある。いずれも、2015(平成27)年までに全車が引退。クハ183-1527、クハ182-102が「いすみポッポの丘」で、クハ183-1529が、群馬県伊勢崎市の華蔵寺公園で保存されている。

 ▼700番台、800番台
 平成3年の七尾線電化に伴い、113系を交直流化改造することを決定したJR西日本は、不要となった特急「北近畿」用485系の交流機器を取り外して転用することにした。これに伴い、多数の485系が183系に編入されたが、外観は485系のままである。さらに、平成8年の山陰本線京都口電化でも、平成11年の舞鶴線電化でも追加改造されている。なお、2013(平成25)年3月16日改正で287系、381系に全面的に置き換えられたため、全車が引退した。

●183系バリエーション一覧


幕張車両センター所属8両編成の183系0番台の先頭車は、前面愛称表示がLED方式に変更。
地下区間以外では見づらくなっただけとしか思えないものだった。
(写真:特急しおさい 東京駅/撮影:裏辺金好)

183系1000番台、1500番台先頭車は非貫通型となった。
(写真:成田線 成田駅/撮影:裏辺金好)

JRが発足するや特急「あずさ」で運用される車両の一部は、早速塗装の変更と室内のグレードアップが図られた。活躍期間は長くなく、ほどなく下の塗装に変更されている。
(写真:特急ウイングあずさ 成田駅/撮影:所沢ライオンズ様 禁転載)

 中央本線を走る「あずさ」「かいじ」は、1992(平成4)年に高原とアルプスをイメージしたものへ塗装変更し、特急シンボルマークが撤去。「あずさ」「かいじ」からの運用離脱後、多くが国鉄特急色に戻され、一転して少数派になったが、首都圏から時には大阪まで活躍していた。しかしながら183系からは、2013(平成25)年12月に幕張車両センターの2編成が運用を離脱したことにより、塗装は消滅した。
(写真:特急あずさ 新宿駅/撮影:裏辺金好)

 もと特急「あさま」用塗装。基本的には189系に施されているが、183系先頭車にも存在していた。最後まで残ったのは、長野車両センターのN101編成(上写真)で、両端がクハ183形。2012年10月に国鉄色に戻されている。
(写真;特急あずさ 西荻窪駅/撮影:裏辺金好 禁転載)
 485系から改造であるJR西日本の183系800番台。初期に登場したグループは、国鉄特急色だが窓下に赤ラインを1本追加。改造元の車両により、様々な顔が存在しており、こちらは非貫通型。なお、この塗装は2013(平成25)年3月改正で定期運用から離脱。
(写真:特急北近畿 塚本駅/撮影:デューク)
 同じくJR西日本の183系800番台。山陰本線の京都口電化の際に登場した塗装。この塗り分けは、これ以後JR西日本お得意のタイプとなった。なお、この塗装は2011(平成23)年3月改正で消滅。
(写真:特急北近畿 塚本駅/撮影:デューク)

同じくJR西日本の183系800番台。こちらは貫通型の先頭車。
(写真:特急きのさき 豊岡〜国府/撮影:デューク)

クモハ485−200番台(←モハ485−0)から改造されたクモハ183−200番台。切妻形の前面が特徴。
(写真:特急まいづる 舞鶴線 淵垣〜梅迫/撮影:リン)

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