583系特急形電車


徹底的に修繕工事を受けたJR東日本の583系。6両編成1本が団体臨時列車を中心に2017(平成29)年まで運用されていた。
(写真:快速あいづライナー 磐越西線 会津若松駅/撮影:裏辺金好)

●基本データ・運用区間

デビュー年:1967(昭和42)年(581系)、1968(昭和43)年(583系)
保有会社:JR東日本
元保有会社;国鉄、JR西日本
最高速度:120km/h
元・使用列車:はつかり、ひばり、ゆうづる、はくつる、雷鳥、しらさぎ、つばめ、はと、金星、なは、きりしま など
元・運転区間:東海道本線、山陽本線、東北本線、北陸本線、信越本線、鹿児島本線など

●座席が変形!昼夜兼用で活躍した特急電車

 1967(昭和42)年より「月光」「みどり」として、山陽本線と九州で活躍を開始。 最初に製造されたのは60Hz用581系だったが、「月光」などで好感触を得た国鉄は、翌年10月の東北本線全線電化に際し増備を決定すると共に、50Hz/60Hz両対応の583系を登場させた。

 さて、この581系・583系は、それまでの常識を3つ塗り替えた国鉄史上画期的な車両である。
 1.世界初の仕組みとして、セッティングの方法を変えることにより昼間は座席車、夜は寝台車に変身。
 2.それまで特急の先頭車の形状と言えばボンネット型だったが、貫通扉も付いた平面のすらっとした顔つきに。
 3.寝台夜行に使用するのは客車というのが定番だったが、電車として登場した。

 こうして、画期的な設備を持って登場した583系は、瞬く間に全国に活動の場を広げ、昼も夜も休み無く働いた。東北では特急「はつかり」「ひばり」「ゆうづる」「はくつる」で運用され、北陸では特急「雷鳥」「しらさぎ」、山陽では特急「つばめ」「はと」「金星」「なは」「きりしま」・・・・。

 だが、新幹線開業と共に活躍の場が狭められ、さらに昼も夜も使えるという設計が欲張りだっため、保守にコストと手間がかかり(座席をベッドに変形させる作業など)、また乗り心地も良いものとは言えず、さらにブルートレインそのものの需要の低下、485系の増備などで、次第に姿を消し、国鉄末期には近郊型電車に改造されるものも出た(→北陸の419系、東北・九州の715系)。

 2012(平成24)年3月改正を以って、最後の定期運用であった急行「きたぐに」が多客臨となったことで、ついに定期運用を失い、ほどなく全車が廃車された。その後はJR東日本の秋田車両センター所属6両編成×1本(国鉄色)のみが団体臨時列車用に活躍を続けていたが、2017(平成29)年4月に引退し、ついに581系・583系の活躍に終止符が打たれた。

 なお、JR九州のクハネ715−1に改造されたクハネ581−8が、外観を581系時代に復元の上で九州鉄道記念館(北九州市門司区)で保存されているほか、JR西日本のクハネ581−35が「京都鉄道博物館」(京都市下京区観喜寺町)に保存されている。

○形態&塗装バリエーション一覧


JR西日本の583系は、1992年にライトブルーに青と緑の帯を巻いた塗装に変更され、急行「きたぐに」や臨時特急「雷鳥」などで運用された。
(写真:篠ノ井線 姥捨駅付近?/撮影:haru様 禁転載)

JR西日本の583系は、1997(平成9)年より山陰本線の特急などに使われるタイプの塗装に全車が変更。金帯と青帯を配色したことで、夜行列車としてのイメージを継承。
(写真:東海道本線 塚本駅 撮影:デューク)


九州鉄道記念館(福岡県北九州市門司区)で保存されているクハネ581-8。クハ715-1に改造されていたが、外装のみ復元した。「月光型」との別名もある581系にふさわしく、ヘッドマークは「月光」を表示。
(写真:九州鉄道記念館/撮影:裏辺金好)

京都鉄道博物館で保存されているクハネ581−35。こちらもヘッドマークは「月光」を表示。
(写真:京都鉄道博物館/撮影:裏辺金好)

○車内の様子など


JR東日本583系仙台車の583系自由席ボックスシート。
(撮影:裏辺金好)


JR西日本の急行「きたぐに」用583系開放B寝台。
(撮影:リン)


JR西日本の急行「きたぐに」用583系開放A寝台。B寝台中段を見た後だと、広く感じます。
(撮影:リン)


JR西日本の急行「きたぐに」用583系グリーン車。この車両の場合、「シュプール」運用対応として客席の前後がサロンスペースに。
(撮影:リン)

JR西日本の急行「きたぐに」用583系自由席ボックスシート。
(撮影:リン)

↑ PAGE TOP