E653系特急形電車
特急「いなほ」で運用されるE653系1000番台。2017(平成29)年にはU106編成が海の色を表現した「瑠璃色」、U107編成がハマナス色に塗られている。
(写真:羽越本線 村上駅/撮影:裏辺金好)
●基本データ
デビュー年:1997(平成9)年最高速度:130km/h
使用列車:いなほ、しらゆき、らくらくトレイン村上、らくらくトレイン信越、おはよう信越
元使用列車:フレッシュひたち
運行区間:白新線、羽越本線、信越本線、えちごトキめき妙高はねうまライン
元運行区間:常磐線(※臨時運用あり)
保有会社:JR東日本
●各編成、色華やかな常磐線のビジネス特急
常磐線で長らく活躍し、老朽化著しい485系の特急「ひたち」すべてを置きかえることを目的に登場した。車体に軽量化可能なアルミ押出形材を使用しため、従来の工法では難しかった複雑なラインも実現したのが特徴である。既に「スーパーひたち」という愛称があったこともあり、新規に「フレッシュひたち」と新たしく愛称を設定。また、この車両は交直流両用で、一部の路線を除き、JR東日本のすべての電化区間を走ることができる。
編成ごとに「霞ヶ浦」や「梅」など、沿線の自然や観光資源をテーマとしたシンボルを決められており、それに合わせ車体の下3分の1の塗色を、編成ごとに変えており、青、赤、黄、緑、朱の全部で5種類が存在。このうち青〜緑色は7両編成で、朱色のみ増結用で4両編成。これの組み合わせにより、7両、11両、14両と対応が可能である。なお、グリーン車は存在せず、全て普通車のみで構成されている(※「フレッシュひたち」運行当時)。
2013(平成25)年3月16日改正で常磐線での定期運用を失い、一部は従来の勝田車両センター所属485系に代わる波動用として首都圏各地の臨時列車・団体列車に充当を開始。一方、7両編成×8本が2013(平成25)年秋から新潟地区の特急「いなほ」に転用されることになり、E653系1000番台への改造が開始された。
改造後は1号車にグリーン車(1+2列配置、全18席)とラウンジスペースが設置されたほか、普通車は車内全体をブルー基調として、モケットも変更。さらに外観は塗装が刷新され、日本海沿岸部の美しい夕日をモチーフに、夕日と波、夕日が沈む日本海に映り込む空の色合いを、緩やかな曲線と色彩で表現している。
さらに2015(平成27)年3月14日改正では、北陸新幹線(長野〜金沢間)開業に伴い設定される特急「しらゆき」(新井・上越妙高〜新潟)にも運用されることになり、4両編成×4本が1100番台に改造の上で投入されることになった。塗装は、アイボリー系のホワイトをベースに、車体下部に紫紺、朱色を配色している。
こうして全編成が新潟に旅立ったE653系であったが、2018(平成30)年11月にU108編成が勝田車両センターに復帰し、K70編成に。併せて国鉄特急色をイメージした塗装に変更され、主に首都圏内での臨時列車に起用されている。2023(令和5)年8月にはU102編成が勝田車両センターに復帰し、K71編成となり、登場時の「フレッシュひたち」塗装をベースにアクセントカラーを新色である水色にしている。
2024(令和6)年4月には新潟駅開業120周年、羽越本線全線開通100周年を記念し、特急「いなほ」「しらゆき」で活躍するH202編成(4両編成)が上沼垂運転区(新潟車両センター)の485系に施されていた通称「上沼垂色」に塗装変更されている。
●カラーバリエーション
4両編成は特急「しらゆき」に転用され、アイボリー系のホワイトをベースに、車体下部に紫紺、朱色を配色している。
(写真:特急「しらゆき」 信越本線 新津駅/撮影:リン)
2024(令和6)年4月にH202編成が上沼垂運転区(新潟車両センター)の485系に施されていた通称「上沼垂色」に塗装変更されている。
(写真:特急「しらゆき」 妙高はねうまライン 春日山〜高田/撮影:リン)
特急「いなほ」用塗装。
(写真:山手線 鶯谷駅/撮影:裏辺金好)
「いなほ」用の一部編成には、沿線の「ゆるキャラ」ステッカーが貼られている。
(写真:特急「いなほ」 白新線 新潟駅/撮影:裏辺金好)
当初は白幕だった愛称表示だが、2016(平成28)年3月頃から順次「いなほ」表示が行われるようになった。なお、「しらゆき」編成は白幕のまま。
(写真:特急「いなほ」 白新線 新潟駅/撮影:裏辺金好)
特急「いなほ」で運用されるE653系1000番台のうち、U106編成は海の色を表現した「瑠璃色」となっている。
(写真:羽越本線 村上駅/撮影:裏辺金好)
特急「いなほ」で運用されるE653系1000番台のうち、U107編成はハマナス色となっている。
(写真:特急「いなほ」 羽越本線 秋田駅/撮影:リン)
2018(平成30)年11月に勝田車両センターへ復帰したK70編成は、なんと国鉄特急色をイメージした塗装になった。主に団体臨時列車として運用中。
(写真:京葉線 潮見駅/撮影:裏辺金好)
2023(令和5)年8月に勝田車両センターへ復帰したK71編成は、「フレッシュひたち」塗装をベースにアクセントカラーを水色にしている。
(写真:特急「鎌倉」 京浜東北線 新子安駅より/撮影:裏辺金好)
●カラーバリエーション(「フレッシュひたち」用塗装)
K304編成・K307編成は緑色(グリーンレイク)だった。側面のロゴマークは霞ヶ浦と帆曳舟。
(写真:常磐線 柏駅/撮影:デューク)
K301編成・K305は紅色(スカーレットブロッサム)だった。側面のロゴマークは偕楽園と好文亭。
(写真:常磐線 柏駅/撮影:デューク)
K302編成とK308編成は青色(ブルーオーシャン)だった。編成のシンボルマークは塩屋埼灯台と太平洋。
(写真:常磐線 神立駅/撮影:裏辺金好)
K303編成とK306編成は黄色(イエロージョンキル)だった。編成のシンボルマークはひたち海浜公園と水仙。
(写真:常磐線 北松戸駅/撮影:裏辺金好)
E653系の付属編成(K351〜K354編成)は橙色(オレンジパーシモン)に統一。編成のシンボルマークは袋田の滝と紅葉。
(写真:常磐線 北松戸駅/撮影:裏辺金好)
前面には「Hitachi Express」と愛称が表示されるが、見えづらいものだった。
(撮影:裏辺金好)
●車内の様子など
「フレッシュひたち」時代のE653系の普通車車内の様子
(撮影:裏辺金好)
「いなほ」用E653系普通車の車内
(撮影:デューク)
「いなほ」用E653系グリーン車の車内
(撮影:デューク)
「しらゆき」用E653系普通車の車内
(撮影:裏辺金好)