783系特急形電車


リニューアル後の783系一般色。
(写真:特急かもめ 竹下駅/撮影:裏辺金好)

●基本データ

デビュー年:1988年    最高速度:130km/h
使用列車:かもめ、みどり、ハウステンボス、きらめき
元・使用列車:有明、ハイパー有明、ハイパーかもめ、つばめ、かいおう、にちりん、にちりんシーガイア、ひゅうが、きりしま
運行区間:鹿児島本線、長崎本線、佐世保線、大村線

●JR初の特急形電車

 JRグループで、最初に製造された新系列の車両。すべてのJRグループの度肝を抜いたデザインは、一般客にも大好評のうちに迎えられ、特急名とは別に与えられたハイパーサルーンという愛称と共に、JR九州の看板特急となった。

 なにしろ、国鉄型特急の標準的な顔つきを大きく撃ち破る斬新なデザインに、当時としてはまだ珍しいステンレス車体の採用、車体中央へドアを設置、“ハイパーレディ”という愛称の女性乗務員によるサービスなど、様々な画期的な要素が盛り込まれた車両だった。

 まずは、1988(昭和63)年3月13日改正から、鹿児島本線の特急「有明」の一部に投入。このうち、西鹿児島発着の列車は「スーパー有明」の愛称が与えられている。

 続いて1989(平成元)年3月11日改正では、長崎本線系統の特急「かもめ」の一部に投入。先頭車の前半分は、有明用と異なり青帯を巻いて区別された。さらに、1990(平成2)年3月10日改正では、日豊本線系統の特急「にちりん」の一部にも投入されたほか、783系使用の「有明」は「ハイパー有明」に愛称が変更された。

 1992(平成4)年7月15日改正では、西鹿児島発着の特急「有明」が「つばめ」と改称され、新規投入された787系と共に使用。また、「ハイパー有明」が「有明」に戻された。そして787系の好調を受けて、1994(平成6)年からは783系のリニューアルが開始され、外観面では銀色と、赤・青・緑・黒の4色のブロックパターンへ塗装変更したほか、先頭車の前面下部にフォグランプを設置。さらに内装のカラーリング等を787系にイメージに合わせるなどの改造が実施されている。

 2000(平成12)年3月11日のダイヤ改正では、特急「有明」から撤退する一方で、885系の「かもめ」投入により余剰となった編成が、特急「みどり」「ハウステンボス」に投入され、485系に代わって運用を開始。この際に専用塗装化や、先頭車化改造が実施されている。また、「にちりんシーガイア」「ドリームにちりん」や、約1年間「ソニック」でも運用。

 2001(平成23)年3月3日改正では、「きらめき」「ひゅうが」の一部列車に投入。九州新幹線が全通した2011(平成23)年3月12日改正では、特急「有明」への再投入、「きりしま」「かいおう」の一部列車での運用が開始された。

 2017(平成29)年3月18日からは、特急「ハウステンボス」用783系の再リニューアル車が運転を開始。ハウステンボス開園25周年に合わせたもので、水戸岡鋭治氏が内外装のデザインを担当。外観はオレンジを中心とした塗装に変更され、内装は天井や床を木目調の材質へ改装された。

 2018(平成30)年3月17日改正では特急「有明」から引退。2021(令和3)年3月13日改正では、「にちりん」「にちりんシーガイア」「ひゅうが」「きりしま」といった日豊本線の特急からすべて引退。運用区間を大きく狭めることになった。

 西九州新幹線(武雄温泉〜長崎)開業に伴う2022(令和4)年9月23日改正では、「かもめ」の愛称が新幹線へ移行。これに伴い、門司港・博多〜肥前鹿島間に新設された特急「かささぎ」の一部で783系が使用されている。一方で、筑豊本線の特急「かいおう」から運用を離脱している。

●783系バリエーション一覧


登場時の783系。ステンレス車体に白い顔、扉が真ん中など、当時、国鉄特急から大きくイメージチェンジした姿に日本中が驚いた。なお、「かもめ」用は前面の赤帯が青帯になっていた。
(写真:特急ハイパー有明 鹿児島本線 博多駅/撮影:もこてん 禁転載)

783系旧色のうち、反対側の車両は赤帯が前面にまで回っていた。
(写真:特急ハイパー有明 鹿児島本線 博多駅/撮影:もこてん 禁転載)


特急「みどり」は、シルバーをベースに緑色のアクセントを配し、ようやく列車名にふさわしい色つきになった。
(写真1枚目:特急みどり 鹿児島本線 博多駅/撮影:裏辺金好)
(写真2枚目:特急みどり 佐世保線 永尾駅/撮影:リン)

特急「みどり」塗装・・・と思いきや、先頭車化改造された部分のみ「緑」となった編成(CM35編成)。このような編成は1編成のみで、非貫通型だったクロハ782-7を貫通型へ改造したクロハ782-407が連結される。他の先頭車化改造車と異なり、側面窓が非貫通時代から引き続き天地方向に大きい。
(写真:特急みどり 佐世保線 大塔〜日宇/撮影:裏辺金好)


特急「ハウステンボス」用の783系は、以前使用されていた485系のイメージを残し、カラフルなブロックパターンの塗り分けに。
(写真1枚目:特急ハウステンボス 佐世保線 永尾駅/撮影:裏辺金好)
(写真2枚目:特急ハウステンボス 鹿児島本線 博多駅/撮影:裏辺金好)

2017(平成29)年3月に登場した特急「ハウステンボス」用の再リニューアル車。
(写真:特急ハウステンボス 鹿児島本線 博多〜竹下/撮影:kajibooh)

2010年の大河ドラマ「龍馬伝」のラッピング車両。
(写真:特急きらめき 鹿児島本線 小倉駅/撮影:裏辺金好)

同じく2010年の大河ドラマ「龍馬伝」のラッピング車両。
(写真:特急きらめき 鹿児島本線 小倉駅/撮影:裏辺金好)

特急ハウステンボス+みどりが連結した姿。
(写真:特急みどり&ハウステンボス 博多駅/撮影:裏辺金好)

当時非電化だった豊肥本線に直通する783系には、専用のディーゼル機関車も用意された。
(写真:特急ハイパー有明 水前寺駅付近/撮影:もこてん)

●車内の様子


「にちりん」などで運用される783系車内。
(撮影:リン)

●行先表示器


字幕による愛称・行先表示。
(撮影:リン)

LEDによる愛称・行先表示。
(撮影:リン)

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