広島電鉄70形


ドイツのコマーシャル塗装のままで運行されていた76号。
(写真:商工センター入り口付近/撮影:リン)

●基本データ

デビュー年:1959(昭和34)年
広島電鉄デビュー年:1981(昭和56)年

●細く絞られた前面はヨーロッパの特徴、旧ドルトムント市電

 旧西ドイツのドルトムント市のドルトムント都市事業(株)で活躍していた、デュワグ社製のGT−8形3両編成の連接車を広電が1981(昭和56)年に2編成を購入し、翌年から宮島線で営業運転に投入したもの。当時は外国の路面電車が走ると大きな話題になったが、扱いが日本車と異なり乗務員から不評を買い、車庫で休むことが増えた。

 それでも、市内線の輸送力増強に伴い、主に宇品線で1994(平成6年)4月〜1998(平成10)年3月に活躍。その後は76号が貸切用電車としてイベント時に活躍していた。

 もう一方の77号は宇品線での運用終了後、台車に亀裂が見つかったらしく、76号の部品確保用に転用され、しばらくは外観をとどめていたが、5100形の登場に伴い荒手車庫での車両スペース確保が必要となり、2006(平成18)年に解体された。

 さて、残る76号については、2007(平成19)年に車内が整備されたほか、運転台を広島電鉄仕様に変更。更なる活躍が見込まれたが、老朽化や部品確保等の問題もあり、2008(平成20)年からは営業運転に就くことはなくなっていた。

 結局、2012(平成24)年6月10日の路面電車祭りの展示を最後に引退し、同年7月11日からは広島電鉄本社隣のスーパー前で、「トランヴェール・エクスプレス」としてカフェに転用。塗装は独自のものへ変更され、運転席部分は改造して貸し切り用のラウンジとしている。ただし、広島電鉄100周年記念事業終了を理由に、2013(平成25)年3月30日に営業を終了した。今後の処遇については未定。

●ギャラリー


2007年に再整備された76号の車内。テーブルが増設されたほか、団体専用のため装飾が取り付けられている。
(撮影:リン)

はるばる日本にやってきたものの、目立った活躍をすることも無く解体されてしまった77号。
(写真:荒手車庫/撮影:裏辺金好)

トランヴェール・エクスプレスとして改装された76号だが、営業は直ぐに終了してしまった。
(撮影:裏辺金好)

↑ PAGE TOP