池上本門寺〜東京都大田区〜



○解説

 長栄山本門寺こと池上本門寺は、日蓮宗の大本山。鎌倉時代に日蓮宗を大成した日蓮上人が、武蔵国池上にある鎌倉幕府の御家人、池上宗仲の館(やかた)で亡くなった後、池上宗仲が7万坪の敷地を寄贈したことに始まります。
 太平洋戦争による空襲で多くの建物を焼失しましたが、それでも江戸時代から残る建造物や文化財が多くあり、また静寂な雰囲気に包まれた寺は23区内でも有数の、都会の喧騒から離れたオアシスといえるでしょう。
 上写真の五重塔は1607(慶長12)年築で国重要文化財。桃山期の特徴を残す五重塔としては現存で唯一。初層のみを和様とし、二層以上を唐様としているのが特徴です。
 また、松涛園(しょうとうえん)は小堀遠州の作庭による日本庭園で、大名庭園にも大きな影響を与えました。ちなみに、西郷隆盛と勝海舟が江戸城明渡しの会見をした場所でもあります。

〇地図



〇風景


総門
 元禄年間築。安藤広重の『江戸百景』や『江戸近郊八景』にも描かれている門で、戦災を免れた貴重な遺構の1つです。

石段
 加藤清正が慶長年間に寄進したものが始まり。現在の石段は元禄年間(1688〜1704年)に改修されたものです。

仁王門(三門)
 1977(昭和52)年再建。太平洋戦争で焼失したものを復興したものです。

大堂(祖師堂)
 1964(昭和39)再建。やはり太平洋戦争で焼失したものを復興したものです。

経蔵 【大田区指定文化財】
 1784(天明4)年築。宝形造の建物で、江戸時代からの貴重な遺構の1つ。

本殿
 1969(昭和44)年築。これも太平洋戦争で焼失したものを復興したもの。堂々とした構えで、現代建築ながら重厚感は抜群。

前田利家室の層塔 【大田区指定文化財】
 1622(元和8)年建立。前田利家の側室で、加賀藩第3代藩主、前田利常の母である寿福院が、自分の逆修供養(生前に仏事を修め、死後の冥福を祈る)のために建てさせた11層の層塔。もっとも、現在は上部が欠けてしまっています。

加藤清正室の層塔 【大田区指定文化財】
 1626(寛永3)年建立。加藤清正の夫人で、清正の嫡男である加藤忠広の母親である、正応院が逆修供養のために建てさせた11層の層塔です。

付近の風景
 池上本門寺から池上駅へ行く道の途中で撮影。実にいい雰囲気です。

東急池上線
 東急池上線はJR山手線の五反田駅と、JR京浜東北線の蒲田駅に至る路線。

↑ PAGE TOP