護国寺〜東京都文京区〜


 護国寺は1681(元和元)年、五代将軍徳川綱吉が、生母である桂昌院の発願により建立した真言宗の寺。1883(明治16)年、1926(大正15)年の大火によって多くの堂宇を焼失するも、関東大震災や太平洋戦争を乗り越え、未だに創建時に近い元禄年間(1688〜1704年)に建てられた建造物が数多く存在し、徳川綱吉が母を想って参拝していた頃の風景を見ることが出来ます。上写真の本堂(観音堂)は1697(元禄10)年の建立で、国指定重要文化財。
 また、明治の元勲たちの壮麗な墓があるのも見所の1つで、三条実美、山県有朋夫妻、大隈重信、田中光顕、それから実業家の大倉喜八郎(渋沢栄一と共に帝国ホテル、帝国劇場などを設立)、ジョサイア・コンドル(建築家)、團琢磨(実業家)、團伊玖磨(琢磨の孫で作曲家)などが眠っています。
(撮影:裏辺金好)

〇地図



○風景



仁王門 【文京区指定文化財】
 元禄時代の建築。地下鉄護国寺駅を降りるとすぐに見える、護国寺への入り口です。


不老門
 1938(昭和13)年築。京都の鞍馬寺山門を模した建築で、門の正面に高く掲げられた「不老」の二字は、徳川宗家16代当主の徳川家達(いえさと)が執筆したもの。


薬師堂 【文京区指定文化財】
 1691(元禄4)年築。創建時から大きな改変も無く、元禄時代の雰囲気を強く残した建造物で、禅宗様の花頭窓が特徴です。なお、元々は一切経堂として建てられましたが、1926(大正15)年の大火によって用途が変更され、現在の薬師堂となりました。


月光殿 【国指定重要文化財】
 桃山時代の建築で、1888(明治21)年に品川御殿山に移築されていた三井寺(滋賀県大津市)の塔頭、日光院客殿を、1928(昭和3)年にここへ再移築したもの。

鐘楼(付梵鐘) 【文京区指定文化財】
 江戸時代中期の建築。鐘楼は袴腰付重層入母屋造の非常に格調高いもので、梵鐘は、ほぼ創建時の1682(元和2)年に寄進されたもの。銘文には将軍徳川綱吉の生母桂昌院による観音堂建立の事情が述べられています。

大師堂  【文京区指定文化財】
1701(元禄14)年築。飾りが少なく素朴ながらも、どっしりとした重厚な雰囲気が特徴です。元々は薬師堂として建てられましたが、1926(大正15)年の大火によって用途が変更され、現在地に移築の上で大師堂となりました。


多宝塔
 1938(昭和13)年築。石山寺(滋賀県大津市)の多宝塔をモデルに建てられました。

大隈重信の墓
 言わずと知れた大政治家。彼が関わった憲政会や早稲田大学の文字も見えます。

三条実美の墓
 三条実美(1837〜91年)は、幕末に長州派の公卿として活躍し、明治時代には太政大臣や内大臣、内閣総理大臣(代行)などを歴任した人物です。

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