外交官の家&ブラフ18番館〜神奈川県横浜市中区〜
○解説
横浜市中区山手町は数多くの洋館等の近代建築が残っており、観光名所として親しまれているエリア。今回はその中でも山手イタリア山庭園(明治時代の一時期にイタリア領事館があった場所)に移築復元された外交官の家とブラフ18番館を御紹介します。まず外交官の家は、1910(明治43)年に外交官である内田定槌(うちださだつち 1865〜1942年)の邸宅として、ジェームズ・マクドナルド・ガーディナーの設計で東京渋谷に建てられたもの。塔屋がついた木造2階建ての建物で、左右非対称で凸凹の多い外観を特徴としたアメリカン・ヴィクトリア様式(ヴィクトリア女王時代に19世紀のアメリカで流行した様式)で建てられているのが特徴。
かつて内田定槌氏が横浜市長の候補にあがったこともあった縁から、1994(平成6)年に横浜市が内田定槌氏の孫である内田宮入氏より譲り受け、1997(平成9)年に移築。国の重要文化財に指定されました。なお、創建時には和館も隣接していたようですが、こちらは現存していません。
一方、同じく山手イタリア山庭園にあるブラフ18番館は、関東大震災後に横浜市中区山手町45番地に建てられたオーストラリアの貿易商バウデン氏の住宅。戦後は天主公教横浜地区(現・カトリック山手教会)の司祭館として1991(平成3)年まで使用され、横浜市が譲り受けてここへ移築しました。こちらは横浜市認定歴史的建造物に指定されています。
(撮影・解説:裏辺金好)
○場所
○外交官の家
正面玄関
左側に和館への渡り廊下が一部分残っています。
正面玄関
1階 玄関ホール
美しいステンドグラスが特徴。
1階 階段
1階 食堂
アール・ヌーヴォー調の草花紋レリーフなどが特徴の食堂。隣接する配膳室を通じて、和館から料理が運ばれてきました。
1階 小客間
1階 大客間
1階 サンルーム
撮影時は閉じてありましたが、ガラス窓の下は引違いの無双窓となっており、風を通すことができます。
2階 書斎
2階は内田家のプライベート空間。
2階 主寝室
夫婦の寝室。奥の部屋は八角形のサンルームになっており、陽子夫人がプライベートルームとして使用していました。
2階 浴室
2階 寝室(当時)
2階 客用寝室(当時)
2階 和館渡り廊下
この部分のみ和館部分が残存しています。
○ブラフ18番館
1階廊下
1階 サンルーム
2階 寝室
以前は展示スペースに改装されていましたが、2015(平成27)年に復元