旧開智学校〜長野県松本市〜
  Former Kaichi School in Matsumoto City , Nagano Prefecture

 松本城より少し北で保存されている国指定重要文化財の旧開智学校校舎は、1876(明治9)年4月、松本の大工の棟梁である立石清重の設計によって建てられ、1963(昭和38)年まで使用されたものです。当初は女鳥羽川(めとばがわ)のほとり、現在の松本市中央2丁目にありましたが、1964(昭和39)年に現在地へ移築されました。

 さて、旧開智学校校舎は和風と洋風の入り混じった擬洋風建築であるのが特徴で、中央には八角塔が存在。ここには時報用の鐘が吊り下げていました。また、玄関の龍の彫刻は日光東照宮ををまねて造られたものだといわれ、さらに開智学校の文字の脇に、天使(エンゼル)の彫刻を施しているのが、いかにも和洋折衷といった感じです。

 なお、建築費用に1万1000円という巨額な資金が投入され、7割が松本町(当時)の全住民の寄附によるものです。

(撮影&解説:裏辺金好)
 ▼MAP

 ▼アクセス
 JR松本駅よりバス(タウンスニーカーバス北コース)


○風景


側面


中央玄関
龍の彫刻と、エンゼルの彫刻という不思議な組み合わせ


1階廊下
天井は和紙が貼り重ねられており、1枚分にしか見えませんが実は5層構造になっているそうです。


1階特別展示室
教室が復元されています。


廻り階段
丸柱は全久院という廃寺の古材を転用。このほかにも幾つかの場所で転用されており、歴史を継承しています。

玄関裏側

2階廊下


2階:第8展示室


建築当初の姿
本来は背後に教室棟が繋がっていましたが、1928(昭和3)年に改築されていたため、当時は文化財指定ならず。
現在地に移築されるときに解体されてしまいました。


解体直前の姿
たしかに改築の結果、教室棟は本体とデザインが大きく異なっています。
それでも今でしたら貴重な文化財ですが、昭和30年代では珍しくも無い感じだったのでしょうね。

2階:明治天皇御座所
1880(明治13)年、明治天皇・皇后が巡幸されたときに休息所として使用された場所。
その後は金屏風と明治天皇の肖像銅版が掲げられ、特別な部屋となりました。

2階:講堂(左)

2階:講堂
ステンドグラスが見事な色。そして、天井の照明周辺の装飾も細かいものです。