南郷の曲屋(旧鈴木家住宅)〜群馬県沼田市〜
沼田市利根町南郷地区に残り、沼田市重要文化財に指定されている旧鈴木家住宅。
関東地方には珍しく、一方で岩手県を中心とする東北地方の民家でポピュラーな曲屋(まがりや)形式で建てられた古民家です。曲屋というのは、母屋に対してL型に曲がっている構造になっていることで、この曲がっている部分には「厩(うまや)」があり、数頭の馬の飼育に使われてきました。家の中から直接、神経質な馬の健康状態を、把握出来る様になっています。
なお、鈴木家は当地に熊野神社を建設するための神官として来村し、この地に定着。代々名主を務め、明治維新後は政治家も輩出した家柄です。この家の正確な建築年代は不明ですが、敷地内の稲荷社の側壁の記載と、建築手法などから検討し、1785(天明5)年の竣工と推測されています。
ちなみに江戸時代には検地等で訪れる、役人の逗留施設としても利用されたことから、主屋の上段の間は正式な書院造になっているのも見所の1つです。
(撮影・解説:裏辺金好)
○場所
○風景
母屋全景
母屋内部(厩)
厩の隣には風呂場もあり、馬の横で風呂に入ることに・・・。
母屋内部
ナカノデイ(手前)とオクノデイ(奥) オクノデイは上段の間のこと。他の部屋より段が高くなっています。さらに、写真には写っていませんが、向かって左手に付け書院を、右手には敷居を一段高めた「帳台構え」を設けた正式な書院造になっており、武家屋敷のような風格です。
土蔵
写真手前が下蔵(シタノ蔵)、右奥が上蔵(ウエノ蔵)です。
土蔵
写真中央が新蔵、写真右手が下蔵に連続して建てられている「みそ蔵」です。
水車小屋