不動院〜広島県広島市東区〜
広島駅新幹線口の北に広がる二葉山周辺は、数多くの寺社仏閣があるエリアで、原爆で焦土と化した広島市中心部の中でも、奇跡的に数多くの古建築が残っています。今回はその中でも、アストラムラインの不動院駅下車すぐの場所にあり、国宝の金堂を擁する不動院をご紹介します。
不動院は、元々は足利尊氏、直義兄弟が日本六十余州に設立した安国寺の一つである、安芸安国寺であり、安芸国の守護であった武田氏の菩提寺でした。戦国時代には衰亡し、武田氏も滅亡したのですが、戦国大名の毛利家の外交層で、安芸国守護武田信重の息子である安国寺恵瓊により再興されました。
ところが、関ヶ原の戦いで西軍で主要な役割を果たしたとみなされた安国寺恵瓊は、戦後に処刑。福島正則が広島を治めるようになると、宗派を禅宗から真言宗に変更。その名を不動院と改めました。さらに福島氏に代わって浅野氏が広島を治めるようになると、浅野家歴代藩主の保護を受けて現在に至っています。
原爆投下時には爆心地から3.9kmの場所にあり、損害は大きくはありませんでした。安土桃山時代の雰囲気を現在に伝える極めて貴重な寺院です。
(撮影:裏辺金好)
○場所
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○風景
楼門 【国指定重要文化財】
1594(文禄3)年築。
木造仁王立像 【広島県指定重要文化財】
楼門内にある高さ2.8mの木造仁王像。像内に永仁二年(=1294年)の銘があります。
金堂 【国宝】 1540(天文9)年築。戦国大名の大内義隆が凌雲寺(山口市)に建てたものを、安国寺恵瓊が移築したもの。
鐘楼 【国宝】 1433(永享5)年築