デュアル・モード・ビークル(DMV)は、JR北海道が開発を進めている新型気動車。最大の特徴は1台の車両で鉄道と道路の両方を走行可能な車両と言う点であり、これを活かした地方ローカル線の活性化が期待されています。また、従来の気動車に比べて車両が安く、導入費用が数分の1ほどに抑えられるのも大きな魅力です。
これまでにもヨーロッパ各国や日本の旧国鉄でも同様のコンセプトに基づいた車両の開発が試みられてきましたが、メカニズムの複雑さなどの様々な障壁をクリアすることが出来ませんでした。DMVは、線路上での動力伝達方法を道路上と同じゴムタイヤとしています。前後の鉄車輪は線路走行の際にレールに乗るためのみとし、後輪のうち内側のタイヤをレールに接して走行しています。この他にも様々な機能を搭載することにより、実用化に成功しました。
2004(平成16)年に901号を開発。その後は試験走行を道内各地で重ね、2005(平成17)年には現在の911号・912号が完成。2007(平成19)年春から、911号と912号が釧網本線浜小清水〜藻琴間で試験的営業運転を開始しました。同年7月には東国原宮崎県知事が視察に訪れるなどローカル線を抱える自治体の注目の的となっています。
現在の911号・912号は市販のマイクロバスを改造したもので定員16人(運転席1、座席13、補助席2)と小型ですが、2008(平成20)年7月に開催された洞爺湖サミットにおいて乗客が一度に28人まで乗れる新型DMVが公開されるなど、現在も開発が続けられています。
乗車してみると、道路走行時は普通のバスとほとんど変わらない乗り心地。そして線路走行時は後輪側が重いためにやや縦振動が伝わることと、普通の鉄道車両のようなボギー台車ではないために横振動が激しいことが少々気になりました。しかし、とても乗っていられないというほどではなく、充分に実用レベルだと感じられました。
なお、上写真は網走駅前にて撮影。
(撮影&解説:リン)