道成寺〜和歌山県日高川町〜


 天音山道成寺(どうじょうじ)は、天台宗の寺院で新西国三十三箇所第5番札所。寺伝によると701(大宝元)年に文武天皇の勅願で創建された和歌山県最古の寺院で、発掘調査でも8世紀初頭に創建し、8世紀後期までに金堂、塔、南大門、中門、講堂、回廊などの一大伽藍を備えていたことが推定されています。

 10世紀には真言宗の寺院として繁栄し、戦国時代には戦乱によって一時荒廃しますが、江戸時代になると紀州徳川家の庇護を受け、1652(承応元)年に天海大僧正の命により天台宗の寺院となりました。

 本堂などが国指定重要文化財であるほか、平安時代初期に造られた国宝の千手観音菩薩、日光菩薩、月光菩薩や、国指定重要文化財11点、県指定文化財4点の仏像を有し、宝仏殿で公開しています。

 上写真の石段は62段あり、左右の土手が平行でなく、逆ハの字に開いているのが特徴。遠近法を逆に利用しており、昔から「のぼりやすく、おりやすい」と云われているそうです。

 また、能、歌舞伎、浄瑠璃の演目として名高い「安珍・清姫伝説」の舞台としても知られます。これは「法華験記」(11世紀)に記されたもので、929(延長6)年に熊野詣へ向かう途中の僧・安珍が、一夜の宿を求めた際に真砂庄司の娘・清姫に情熱的にひとめ惚れされ、安珍は帰路に立ち寄ることを約束したにも関わらず、これを反故に。激怒した清姫は大蛇となって安珍を追い、最後には道成寺の鐘の中に逃げた安珍を焼き殺し、清姫が入水自殺するという物語で、「道成寺物」として知られています。
(撮影:リン ※特記を除く)

○地図



○風景



仁王門 【国指定重要文化財】
1691(元禄4)年築。



本堂 【国指定重要文化財】
1357(正平12)年築。


三重塔 【和歌山県指定有形文化財】
1764(宝暦14)年築。高さ20mで、総桧造。


護摩堂
1847(弘化4)年築。高さ20mで、総桧造。


宝仏殿
旧伽藍の金堂跡に建てられています。


鐘楼跡

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