松島と瑞巌寺〜宮城県松島町〜


 日本三景の1つとして名高い、松島。沢山ポッカリと浮いた形になっているこの不思議な島々が特徴ですが、何故形成されたかと言いますと、元々は松島丘陵の南東端だったものが、多くの丘を形成しながら海に陥没していったものなのです。そして波によって浸食されて、あの不思議な形が形成されたのです。

 現在、島や岬はおよそ260ほど存在しています。中でも最大の島は湾東端に位置する宮戸島で、この島にある大高森と、北の富山(とみやま)、西の扇谷山、南の多聞山の景観は、それぞれ壮観、麗観、幽観、偉観とされ、「松島四大観」と称されています。一方で、前述の通り海苔やカキの養殖も行われ、さらに観光するための船の乗り場があったり、漁業用ボートも停泊したりと、ちょっと雰囲気ぶちこわしの部分もあります。

 なお、JR東北本線に松島駅、JR仙石線に松島海岸駅と「松島」の名をつけた駅が2つありますが、圧倒的に松島海岸駅の方が近いので注意。
(撮影・解説:裏辺金好)

○地図



○風景


観瀾亭 【宮城県指定重要文化財】
 豊臣秀吉の伏見桃山城にあった茶室を仙台藩主伊達政宗がもらい受け、江戸の藩邸に移してあったものを、さらに二代目伊達忠宗がそっくりそのまま、庭ごと海路で松島に移したそうです。
 その後、5代藩主伊達吉村が、この名前を付け、また藩主や姫君、側室などの松島遊覧や、江戸幕府の巡見使などの諸国巡回の際の宿泊及び接待用の施設として利用されてたと言われています。

五大堂 【国指定重要文化財】
 807(大同2)年、坂上田村麻呂が東征のおり、毘沙門堂を建立したのが最初です。後に、慈覚大師が延福寺(瑞巌寺の前身)を開いた際、大聖不動明王を中心に、左右降三世、軍荼利、大威徳、金剛夜叉の五大明王像を安置したことから、五大堂と呼ばれています。
 現在の建物は1604(慶長9)年、伊達政宗が再建したもので桃山式建築手法の粋をつくして完工したもの。屋根下に彫刻がされているのですが、これが非常に細かい。まさに日本の美を凝縮した感じでした。では、以下しばらく遊覧船からの松島の眺めをご堪能ください。























○瑞巌寺


 瑞巌寺は臨済宗妙心寺派の寺で、正式には青龍山瑞巌円福禅寺といいます。  この寺は、9世紀前半に天台宗の慈覚大師・円仁が開創したとつたえ(円仁は受験単語。覚えましょう(^_^)、初めは延福寺という名前でした。鎌倉時代に、執権・北条時頼が宋からの帰国僧、法身性西(ほっしんしょうさい)を住持として円福寺とあらため、鎌倉建長寺派の禅宗寺院となりました。

 ちなみに北条時頼は禅オタク。いや、彼に限らず当時の武士の間で禅が大ヒットしたのです。禅寺に改められてしまうのも無理はない。まあ、そんなわけで以後、東北地方の臨済禅の拠点として栄えます。

 とはいえ、中世末に戦乱その他諸々の原因で一時さびれます。しかし、救いの手が。虎哉禅師のすすめにより、既に何度も登場している伊達政宗が1604年(慶長9)から5年をかけて再建、一大伽藍となし、名称も瑞巌円福寺と改めます。

 さらにその息子の2代仙台藩主の忠宗(ただむね)が、京都妙心寺から雲居希膺(うんごきよう)を中興開山にむかえて以後、全国に広く知られるようになり、江戸時代には伊達家代々の菩提(ぼだい)寺として栄え、また、藩主を迎える場所などが整備され、建築物としても一級の仕上がりになりました。

 政宗時代に建てられた堂舎も多くのこっていて、方丈(現在の本堂)、庫裏(くり)、庫裏回廊は桃山文化を代表する建造物で国宝。前述の五大堂や御成(おなり)門、中門などは重要文化財に指定されています。また、宝物殿もあって、色々伊達家ゆかりの文化財なども拝顔できます。

 また、瑞巌寺本堂へ行く途中の並木も素晴らしいものです。 松島の見るべきところは、松島だけではないんですね。











圓通院山門 【松島町指定文化財】
圓通院は、伊達政宗の嫡孫である伊達光宗の霊廟で1647(正保4)年に開山。この門はその当時のものだと考えられています。


御水主町(おかこまち)の民家 【松島町指定文化財】
瑞巌寺の東に隣接した御水主町は、仙台藩主が松島遊覧の際に御座船を操った「水主」が住んでいました。最盛期には48棟がありましたが、これは最後に残った1棟です。

松島城観光ホテル




 如何にも怪しげなこのお城は、松島城観光ホテル。1927(昭和2)年に造られた建築で、疑似天守閣の他、立派な木造の城郭風の建物があります。しかし、ちょうど私が冬に訪問した頃(2004年1月)に解体が始まり、この疑似天守閣(壱の丸)と、天皇陛下が皇太子時代に宿泊された「参の丸」などを除いて解体されてしまいました。
 2つの建物の間は駐車場となり、ご覧のように分断されています。

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