グラバー園〜長崎県長崎市〜
  Glover Garden in Nagasaki City , Nagasaki Prefecture


 長崎市を代表する観光スポットであるグラバー園。洋館が数多く残る東山手、南山手エリアの中で中心的な存在で、長崎市南山手町の斜面上に建つグラバー、リンガー、オルトの旧邸敷地に、これらの建築に加えて長崎市内に残っていた歴史的建造物を移築して公開しているもので、見応えのある場所となっています。

 施設名のグラバーとは、幕末から明治にかけて活躍した実業家トーマス・ブレーク・グラバー(1838〜1911年)のこと。長崎でグラバー商会を開き、坂本龍馬の亀山社中などと取引。幕末に薩長の志士たちに多くの武器を売ったり、海外留学の仲介を行いました。

 また、最後に紹介しますが幕末にグラバー園近くの大浦海岸で蒸気機関車(アイアン・デューク号)を走らせ、実は新橋〜横浜間よりも早く日本に鉄道車両を走らせています。また日本人と結婚し、資金繰りの悪化でグラバー商会が破綻すると三菱財閥の相談役として活躍しました。
(解説&撮影:裏辺金好)  

▼MAP

▼アクセス
長崎電気軌道大浦天主堂下電停などより徒歩

▼関連サイト
グラバー園公式サイト


○旧グラバー住宅

旧グラバー住宅 【国指定重要文化財】
1863(文久3)年建築で、当時と変わらぬ場所にある建築としては日本最古の木造洋館。


全景を模型で御紹介。


応接室


隠し天井
グラバー邸には、のちの伊藤博文、井上馨をはじめ、多くの維新の志士たちが出入りしていました。
これは、幕府の追求などがあった場合に隠れる場所として用意していたと考えられています。


客用寝室

○旧三菱第二ドックハウス

旧三菱第二ドックハウス
1896(明治29)年に三菱重工長崎造船所第二ドックの側に建てられた洋館で、乗組員の休憩施設だったそうです。


1階部分


同じく1階にある談話室


2階


2階

○旧リンガー住宅

旧リンガー住宅 【国指定重要文化財】
1868(明治元)年頃築。英国人商人フレデリック・リンガー氏の旧宅で、日本では珍しい南欧風の建築。
孫のマニヤ・リンガーの代まで使用され、1965(昭和40)年に長崎市が買収しました。


居間


応接室

○旧ウォーカー住宅

旧ウォーカー住宅
日本初の本格的清涼飲料水の会社を長崎ではじめたウォーカー氏の旧宅。
もとは大浦天主堂のそばに建てられてたものを移築。




○旧オルト住宅

旧オルト住宅 【国指定重要文化財】
1865(慶応元)年築。製茶業・貿易商の英国人オルト氏の旧宅。
主屋背後にある付属屋および倉庫は煉瓦造で、明治中期の建築です。


応接室



廊下

西側寝室

○旧オルト住宅

旧スチイル記念学校
1867(明治20)年、スチール博士が亡き愛児を記念して寄贈した資金によって開設された学校の建物。




出島の復元模型が展示されています。

○その他

旧・長崎地方裁判所長官舎
1883(明治16)年築。長崎市の旧八百屋町23番地に建てられたものを移築。


旧・自由亭
明治11年建築の西洋料理店。のち、検事正の官舎となり現在はグラバー園で喫茶店として使用されています。


旧・長崎高商表門衛所 
東京・神戸につぐ高等商業学校である長崎高商(現長崎大学経済学部)の表門衛所。
1905(明治38)年の創立以来、70年間使われた物だとか。