日本航空機製造YS−11
     NAMC YS−11


戦後唯一の国産旅客機として活躍してきたYS−11。
(写真:福岡空港/撮影:デューク)

●基本データ・就航区間
登場年:1962年
(国内)使用航空会社:現在はなし(日本航空グループ・全日空グループ)
(国内)就航路線:(福岡〜鹿児島・高知・松山・徳島等)

●機体の解説
 日本の国産旅客機としては戦後唯一の機種。「日本の空は日本の翼で」というキャッチフレーズのもと、日本航空機製造によって戦前に航空機製造にかかわっていた技術者を中心に開発が進められたが、これがYS−11であり、1962年に初飛行に成功し、その後耐空証明を取得し、営業運行に入った。
 もともと戦前の軍用機の製造にかかわってきた技術者が中心になって開発を行ったため、旅客機とはいいながら軍用機の性格を色濃く残した機体となっており、また、効率的な開発とは無縁の状況での開発となったため、並外れた耐久性能を誇り、その頑丈さは海外の航空関係者も舌をまいたほどだったという。そのほかにも滑走路の未整備な空港でも運行可能なように短距離離着陸性能が抜群によく、大変重宝されることになる。
 当初より、輸出も考慮していたため、開発に目処が立った頃から積極的な営業を行うようになり、その頑丈さなどから受注が相次ぎ、事業の黒字化実現したが、一方で、旅客機の開発の実績がなかったこともあり、信頼を得ることが難しく、安く買い叩かれるようになり、原価割れする状況となった。そのため、受注実績が伸びるほど赤字が膨らむという事態に陥り、事態を重く見た政府は製造中止を決断、最終的には182機の製造で中止となり、その後の開発も進むことなく、1982年には日本航空機製造も解散し、国産旅客機の夢はわずか1機種で挫折することになった。
 しかし、YS−11は全日空をはじめとして国内の航空会社で多数が使用され、基幹空港からローカル空港への輸送の主力として活躍、1980年代に一気に進んだジェット化への露払い役として大いに活躍した。また、海外でも多くの機体が活躍し、現在でも日本の空から撤退した機体の一部は外国のローカル線で飛んでいるものもあり、持ち前の頑丈さのため、まだまだ活躍しそうである。
 なお、日本の空からは急速に進んだジェット化の波によって活躍の範囲は縮まっていき、2006年の段階では、日本航空グループの日本エアコミューターによって九州を中心とした路線でのみ使用されている状態であるが、2007年以降は国内のすべての旅客機に衝突防止装置を装着することが義務付けられ、費用対効果の面でYS−11にはこの工事が施工されず、結果的に2006年9月で日本の民間航空路から撤退することになった。ただし、衝突防止装置の装着が義務付けられていない海上自衛隊などでは今後もしばらくの間は使用され続けることになる。

●ギャラリー

 日本エアコミューターで最後まで使用された機体。
 新生日本航空の塗装は結局実現しないままの引退となった。
(写真:福岡空港/撮影:デューク)

 「ありがとう日本の翼」のロゴが描かれたYS−11。最後まで運行された3機には引退記念のロゴが描かれた。
 「日本の空は日本の翼で」の「日本の翼」は40年間の活躍をもってその歴史に幕を降ろそうとしている。
(写真:福岡空港/撮影:デューク)

 福岡空港を離陸していくYS−11。まもなくYS−11自体が日本の空から飛び去ろうとしている。
 優秀なSTOL性能を誇るため、福岡空港などの滑走路から離陸すると仰々しい印象もある。
(写真:福岡空港/撮影:デューク)

 朝の鹿児島空港にたたずむYS−11。
 最近の飛行機にはない無骨な印象がなんともいえない存在感を示している。
(写真:鹿児島空港/撮影:デューク)

 出雲空港に到着したYS−11。
 記念塗装になる前の姿。
(写真:出雲空港/撮影:ムスタファ)

 エアーニッポンが使用していたYS−11。
 所沢や高松空港などにも静態保存されているが、なぜかエアーニッポンが一度も就航したことの無いコウノトリ但馬空港にも保存されている。
(写真:コウノトリ但馬空港/撮影:デューク)

 航空科学博物館に展示されているYS−11試作1号機。
 初飛行から各地へのデモ飛行を行ったときの塗装で展示されている。休日などは多くの見学客が訪れている。
(写真:航空科学博物館/撮影:デューク)

 航空公園駅に展示されているエアーニッポンのYS−11。
(写真:航空公園駅/撮影:ムスタファ)

 ただ1機だけJALのフルカラーをまとったJA8717。
 日本国内航空からリースを受け、伊丹−福岡−釜山線に投入されていた。日本のYS−11が国際線運用に入った唯一のケース。
(写真:福岡空港/撮影:鉄の鳥(禁転載))

 南西航空(後の日本トランスオーシャン航空)のYS−11。
(写真:那覇空港/撮影:鉄の鳥(禁転載))

 航空自衛隊のYS−11P。
 国内の民間定期路線からは撤収したYS−11だが、空中衝突防止装置(TCAS)の設置が義務付けられていない自衛隊などでは、まだ当分の間はその雄姿を見ることができそうである。
 サイドカーゴドアが興味深い。
(写真:鳥取空港/撮影:リン)
 
 

2007/09/26更新(2007/07/03初版)