第4回 飛ぶための翼の秘密A

今回の登場人物
裏辺金好所長
 裏辺研究所を束ねる御仁。
 最近は発言がだんだん飛行機寄りになってきて、デュークとムスタファ顧問がほくそえんでいるとかいないとか。
デューク
 自称航空研究局局長。
 飛行機の世界に魅せられすっかり方向転換。いまや、自他共に認める飛行機教徒(狂徒?)。

1.迎え角と失速

裏辺金好所長(以下「所長」)
 さて・・・前回の続きじゃな。
デューク  まだお飲み物が残っているようですが・・・。
所長 やかまし!!とっととはじめんかい。
デューク はいはい。迎え角のお話でしたね。迎え角というのは気流に対する角度のことで、飛行機の場合、通常の前進でも十分な揚力を得るために、翼に迎え角をつけています。またいずれ説明の機会もあると思いますのでここでは詳しく説明いたしませんが。
所長 この迎え角を大きくすれば、その分だけ揚力も大きくなるのか?
デューク そうですね。翼型によって差異はありますが、ある程度の角度までなら、角度をつけたほうが揚力は大きくなります。
所長 なんか含みのある言い方だな(笑)
デューク バレバレですね。要は、迎え角を大きくしすぎると、逆効果ということです。
所長 限界があると?
デューク そういうことです。ある一定の角度を超えると揚力が急激に低下するようになり、前回説明した失速が起こります。
所長 なぜそんなことが・・・。
デューク 翼に揚力が発生するのは気流が乱れずに流れていることが必要ですが、迎え角が大きくなりすぎると、翼の上部の気流が大きく乱れてしまいます。この乱れてしまった部分には揚力が発生しなくなってしまいます。

2.なぜ気流が乱れると失速する?
所長 なるほど〜。気流の乱れが失速を引き起こすのか。しかし、気流の乱れが揚力を低下させているというのをもうすこし詳しく知りたいものだ。
デューク その辺は流体力学の本を読んでいただいた方が・・・(わたしゃ専門家じゃないですよ)
所長 簡単でよいから説明。
デューク マジですか〜。
所長 いやだというのなら、今晩の夕食はフランス料理のフルコースをご馳走してもらうことになるが。
デューク うへ〜。
所長 よろしく。
デューク では、私が理解している範囲で、本当に簡単に説明しますが、そもそも迎え角を大きくして失速してしまう要因に、空気との摩擦があります。
所長 空気との摩擦?
デューク はい。信じられないかもしれませんが、空気には粘性があり、飛行中の飛行機の翼は薄い空気の膜で覆われています。飛行機の翼と空気が摩擦を起こし、翼付近の空気は流れずに翼付近に留まっているわけですね。この状態で揚力は発生するのです。
所長 なるほど。
デューク ところが、気流が乱れると、そもそも膜の外側に流れていた空気が流れなくなってしまい、この膜がはがれてしまいます。この現象を「剥離」といいますが、この剥離が翼の広範囲で起きてしまうと、剥離が発生した部分では圧力の低い空気の渦ができてしまいます。翼に揚力を発生させるには、翼に沿って空気が流れていないといけませんので、結果的に揚力が低下するわけです。
所長 なんとなくイメージはできた。
デューク とはいえ、飛行機にはこの失速を可能な限り回避できるように、翼に色々なアイディアを詰め込んでいます。その辺を次回みてみましょう。
所長 うむ・・・ウイッ。
デューク 「ウイッ」?
所長 さっきキャビンアテンダントのお姉さんからビール買った。デュークのおごりでな。
デューク 何をあんぽんたんなこと言ってるんですか〜!



棒