第5回 フラップで揚力を確保!

今回の登場人物
裏辺金好所長
 裏辺研究所を束ねる御仁。
 最近は発言がだんだん飛行機寄りになってきて、デュークとムスタファ顧問がほくそえんでいるとかいないとか。
デューク
 自称航空研究局局長。
 飛行機の世界に魅せられすっかり方向転換。いまや、自他共に認める飛行機教徒(狂徒?)。

1.低速時の切り札たち

某空港にて・・・・・。

裏辺金好所長(以下「所長」)
 なかなか良いフライトだった。
デューク そりゃ、一人だけビール飲んでれば・・・・。
所長 空の上でのビール、最高じゃな。
デューク はいはい。
所長 しかし、着陸態勢に入ってから翼を見ていたんだが、なかなか興味深いものじゃな。
デューク おっ、気づかれましたか。
所長 翼の後ろの部分が長くなったり、傾いたり。
デューク さすがですね。良くご観察されています。
所長 あれはなんなんだ?
デューク あれは、着陸などのときに、飛ぶために必要な揚力を生み出すフラップと呼ばれるものです。
所長 アレがフラップというものなのか 。

2.フラップを展開すると揚力が得られる?

所長 しかし、なんでフラップを展開すると、揚力が得られるようになるんだ?
デューク では今回も写真を見ていただきましょう。
所長 そうそう、この後ろのブラインドみたいになってるやつ。
デューク これがフラップという高揚力装置のひとつなのですが、これを展開すると、迎え角が大きくなるのですね。
所長 そうなのか?
デューク 飛行機の迎え角は通常の状態ですと、翼の傾きと同じになりますが、フラップを展開すると、迎え角の角度は水平線から、翼の前方の起点から、フラップの端を結んだ線の角度となります。
所長 おお〜・・・なるほど。
デューク 迎え角が大きくなりますと、遅い速度でも揚力が確保できるようになります。他にも、後縁をより大きく曲げることにより、気流を下に向け、揚力を確保できますし、写真のように後ろに大きく張り出すことで、翼の面積自体を増やせます。これも揚力確保の大きなポイントです。


・・・と、説明を聞いているのかきいていないのか・・・やってくる飛行機を見ている所長・・・。

所長 そういえば、さっきから見ていると、フラップの形もいくつかあるようじゃな。
デューク 確かに、種類はいくつかありますね。
所長 どのくらい種類があるんだ?
デューク 後縁フラップという意味ですと、5種類くらいあります。
所長 ほほう。
デューク 詳しい紹介は次回に回しますが・・・。

3.前縁にもフラップがある
所長 あと、翼の前の部分にも出ているものがあるようだが・・・
デューク そうですね、前縁部分にもフラップがありまして、前縁フラップと呼ばれています。
所長 なるほど。
デューク こちらも、高揚力装置の一種ですが、役割は後縁フラップとは少々違っています。
所長 ほう〜。
デューク 後縁フラップはどちらかというと、翼の面積を増やしたり、迎え角を増やしたり・・・という面が強いのに対して、前縁フラップというのは、主に整流の役目があるといえます。
所長 整流??
デューク はい。飛行機が空気の流れを操作することで、揚力を得ていることはすでに説明したとおりですが、着陸のときは高揚力装置を目いっぱい展開し、迎え角も大きく取っていますが、迎え角を大きくすると、空気の流れがうまく行かなくなってしまいます。
所長 確かにそんな気がする。
デューク で、翼を流れる空気がうまく流れなくなると、剥離が生じて、揚力が大きく減少してしまいます。迎え角を大きくすると、翼の前方に空気がうまく流れなくなってしまう「よどみ点」と呼ばれるポイントができてしまいます。このような状態になると剥離が起きてしまい、揚力が大きく減少してしまいます。
所長 それを回避するために前縁フラップがあると・・・・。
デューク そうですね。前縁フラップを展開することで、よどみ点の発生を押さえることができるのですね。よどみ点が発生しなければ、大きな迎え角を取ることもできますし。
所長 前縁フラップにもいくつか種類があるのか?
デューク はい、あります。こちらも次回詳しく見てみましょう。



棒