特急【36ぷらす3】


(写真:肥薩おれんじ鉄道線 米ノ津〜出水/撮影:リン)

●基本データ

登場年:2020(令和2)年
運転区間:九州全域
使用車種:787系

●列車の解説

 36ぷらす3(さんじゅうろくぷらすさん)は、JR九州がD&S(デザイン&ストーリー)列車第12弾として登場させた特急列車で、787系BM-15編成(6両編成)を改造。D&S列車では初めてとなる電車が使用されている。

 列車名の由来は、「36」が九州が世界で36番目に大きい島であること、5日間の行程で沿線の35のエピソードを紹介することで、利用者自身で“36番目のエピソード”を語ってほしいとの願いから、「ぷらす3」とは乗客・地域住民・JR九州、「驚き、感動、幸せ」の意味に由来。そして、36+3=39で「感謝=サンキュー(39)の輪」を広げたいとしている。

 デザインは従来と同じく、水戸岡鋭治氏。外観はブラックメタリックで深みを出し、車内は座席の全てがグリーン席。さらに3号車には787系特急「つばめ」時代に人気を博していたビュッフェが再改造によって、17年ぶりに復活した。また、1号車から3号車までは個室、5・6号車は800系新幹線の座席をベースにした座席タイプの客室で、このうち1号車と6号車は畳敷きで、靴を脱いで入室する。また、4号車はマルチカーとして乗客の共用スペースとしているのが特徴。

 運行は毎週木曜日に博多駅を出発し、九州各地を5日間かけて周遊するが、1日単位での乗車も可能。ルートは次のとおり。
 (1)木曜日ルート "赤の路" …博多〜熊本〜鹿児島中央(※肥薩おれんじ鉄道線経由)
 (2)金曜日ルート "黒の路"…鹿児島中央〜宮崎
 (3)土曜日ルート "緑の路"…宮崎空港〜大分〜別府
 (4)日曜日ルート "青の路"…大分〜門司港〜小倉〜博多
 (5)月曜日ルート "金の路"…博多〜長崎(往復)

 肥薩おれんじ鉄道線は、電化設備は貨物列車以外使用しておらず、旅客列車はすべて気動車化されていたが、かつての787系特急「つばめ」が毎週木曜日に復活する形となった。

 ちなみに編成番号はBM363編成、車両番号は1号車から順にクモロ787-363、モロ786-363、サロシ786-363、サロ787-363、モロ787-363、クモロ786-363で、全て363に統一されている。

●ギャラリー


(写真:鹿児島本線 箱崎〜千早/撮影:kajibooh)

(写真:肥薩おれんじ鉄道線 上川内駅/撮影:リン)

(写真:鹿児島本線 上川内駅/撮影:リン)

●形式ガイド・車内の様子




クモロ787-363
1号車でクモロ787-2から改造。グリーン個室(定員3〜4名、4室)があり、既存のグリーン個室に加えてパーテーションの高さを抑えた開放的な3室を新設。床材には熊本県八代産のイ草を使った畳を使用し、靴を脱いで利用する。
(車両外観撮影:リン、車内撮影:味野源次 以下すべて)



モロ786-363
2号車でモハ786-205から改造。グリーン個室(定員3〜6名、3室)、車いす対応座席があり、6名用個室は九州で初。1号車に比べて明るめの木目調である。




サロシ786-363
3号車でサハ787-202(旧サハシ787-2)から改造。セミコンパートメントをリニューアルしたグリーン個室(定員1〜2名、6室)と、ビュッフェを備える。787系のビュッフェは普通車に改造されて以来、17年ぶりに設備が復活した形。




サロ787-363
4号車でサハ787-2から改造。乗客の共用スペースであるマルチカーで、沿線の魅力を伝える動画の上映、体験メニューや車内イベントが行われている。



モロ787-363
5号車でモハ787-3から改造。2+1列の座席を配したグリーン車。シート背面には革製のポケットを設置し、食事ができるよう大きめのサイズのテーブルを装備。


クモロ786-363
6号車でクモハ786-2から改造。2+1列の座席を配したグリーン車で、シート背面には革製のポケットを設置し、食事ができるよう大きめのサイズのテーブルを装備。こちらは1号車と同様に、床材に熊本県八代産のイ草を使った畳を使用し、靴を脱いで乗車する。

●細部など


ブラックメタリックで深みのある塗装とした上で、ヘッドライト周りなどを金色で縁取っている。
(撮影:リン ※以下すべて)

36ぷらす3ロゴマークと愛称・行先表示など。



提供される食事の一例(撮影:味野源次)

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