5回 1945年〜54年(5):その他の地域色々

○はじめに

 なかなか全世界、各国全ての歴史を紹介するのも大変な話ですので、1945〜54年の歴史のラストページでは、これまで触れなかった地域から主だったものをピックアップしたいと思います。

 なおアフリカについては、次の1955〜1964年の歴史で、独立への動きをタップリとご紹介しますが、アルジェリアでは1954年に現地人(アンディジェーヌ)とフランスからの入植者(コロン)の対立に火が付いてアルジェリア戦争が勃発したことは記しておきたいと思います。フランスからの独立を達成したのは1962年のことでした。

○ファシズムはアルゼンチンで生き残る

 1946年、アルゼンチンのフアン・ペロン大佐がアルゼンチン大統領に選出されます。この男、大戦中にイタリアに駐在していまして、ムッソリーニのファシストの感動した人物。1943年には軍事クーデターを起こして政権を倒し、まずは自らは労働大臣になって、労働者のご機嫌を取る政策を展開。後に陸軍大臣と副大統領になり、親ドイツ・イタリア寄りの姿勢を出します。

 1945年10月にアメリカの支援を受けた政敵による軍事クーデターによって投獄されるも、のちに夫人となる女優のエバ・ペロン(エビータ)のラジオを通じた訴えと支持者らによって解放。前述のとおり、大統領選に出馬して大統領に就任し、女性参政権の実現、最低賃金の引き上げ、ガスや電気事業などの国営化などを行い、慈善団体「エバ・ペロン財団」を設立して貧困層へ施しを行い、また度々演説を行う若きエバ・ペロンの人気も相まって高い支持を集めました。一方で言論統制を行い、反対勢力の弾圧も行っています。

 こうした福祉ばらまき政策、強権的な政治手法は国家運営を行き詰まらせることになり、1952年にエバ・ペロンが33歳で亡くなるとペロン大統領の人気は落ち、1955年9月に軍事クーデターが勃発。スペインに亡命しました。その後もアルゼンチンは政情不安が続き、ペロンは支持者らによって1973年に大統領に返り咲きますが、翌年に死去しました。

○オーストラリア、移民を大量に受け入れる

 大量というだけあって、その数はすごいものでした。1946年にオーストラリア政府は、自国の少ない人口(労働力)という問題の解消を、第2次世界大戦で家を失った人々を受け入れることで解決しよう!・・・と、移民受け入れを開始します。オーストラリアまでの交通費、住居探しの費用には政府から援助が出るということもあって大好評で、なんと最終的には250万人もオーストラリアにやってきました。ただし、誰でもOKというわけではなく、あくまで白人であることが前提。

 この閉鎖的な思想は「白豪主義」と呼ばれるものでしたが、ともあれ1970年代には700万人だった人口が1400万人に倍増しています。この白豪主義を撤廃し、民族問わず移民を受け入れるようになったのは、1980年代のことでした。

○アパルトヘイトを開始した南アフリカ

 白人第一の思想はオーストラリアだけではありませんでした。1948年、南アフリカ連邦の首相に就任したダニエル・マランは、人種間を不平等にするアパルトヘイト政策を実行に移します。すなわち国民を、白人、アフリカ人、カラード(白人とアフリカ人の混血)、アジア人(インド・パキスタン人)に分け、人種間の結婚を禁止したり、公共施設や交通機関は白人用と白人以外用に分けたり、人種によって住む場所を制限し、特にアフリカ人には許可なく勝手に住居エリアから出ることを許しませんでした。

 ・・・と、ここで白人と単純化しましたが、実は白人の中でも対立がありました。マラン首相率いる国民党は、オランダ人入植者の子孫であるアフリカーナ―の支持で構成されており、彼らからするとイギリス人などにもあまり良い感情は無く、公職ではアフリカーナ―が優遇されていました。両民族ともアフリカ人の搾取で共通の利益を得ていましたが、一部の白人はアパルトヘイトに反対する動きもみせています。

○LPレコードの誕生

 これまで国の動きばかり見てきましたが、この時代の技術革新にも少し触れておきましょう。

 1948年、コロムビア社が発売したLPレコードは、従来のSPレコードに比べて収録時間を5分から30分と大幅に増強し、さらに音質も格段にクリアなものへと向上させます。ちなみに大きさは30cmです。さらに翌年にはRCAビクター社がLPと同じ材質・音溝を用い、SP並みの5分程度の収録時間ながらも、大きさを12cmとしたEPレコードも発売され、双方共存してきます。主役がCDに移っていくのは、1980年代のことでした。

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