歴史研究所世界史レポート
第11回 十字軍関連年表 担当:海苔

十字軍以前のアラブ世界

622 マホメットがメディナ(ヘジャーズ)へ撤退
687 エルサレムのウマル寺院の着工
732 ポワティエの戦い
773 アラビア記数法の始まり
842 アラブ人がメッシナ(シチリア)とタラント(イタリア南部)を占領
842−902 アラブ人によるシチリア征服
950以前 「千夜一夜物語」ペルシア語版
1063 ブルゴーニュ人十字軍、スペインへ遠征
1076 エルサレムがセルジューク・トルコの手に渡る
1086 アルフォンソ6世、スペインでアラブ人に敗北
1089 教皇ウルバヌス2世に組織された、フランス十字軍スペインへ
 

第1回十字軍(1096−1099)

1095 クレルモン・フェラン公会議で教皇ウルバヌス2世が第1回十字軍宣布
1096 民衆の十字軍。隠者ピエール。ユダヤ人虐殺。小アジアにおける大虐殺と潰走
1097 十字軍とビザンティン皇帝アレクシオス1世間の紛争。十字軍小アジアに侵入
1098 ファーティマ朝、エルサレムを奪取。十字軍、アンティオキアを奪取。ボヘモンドがアンティオキア公となる。ボードワン・ド・ブローニュはエデッサ伯になる。トリポリ伯国も成立

1099 7月。十字軍がエルサレムを占領。エルサレムのフランク王国成立。ゴドフロワ・ド・ブイヨンの国王即位宣言(「聖墳墓の代理人」「守護者」という称号だけ受け取る)

1100 ヴェネツィアとフランク王国の通商協定締結
1100−1118 エルサレム国王ボードワン1世の治世
1101 度々の援軍遠征の失敗
1102 ラムラ(パレスティナ)でボードワンの勝利。カエサレア占領
1103 十字軍、アッコンとビビアス(シリア)を占領。トルコ人、ハッラーン(アナトリア東部)で勝利。ビザンティン人、アンティオキアを要求

1106 タンクレードがアパメア(シリア)奪取。キルジ・アルスラーンがメリテネ(アナトリア東部)占領
1107 タンクレードがラオディキア(シリア)を占領
1108 ボヘモンドがアレクシオス1世の捕虜となる
1109 トリポリとベイルート占領。トリポリ伯領成立
1110 ボードワン1世がシドン(レバノン)占領。トリポリを攻撃
1112 タンクレードの後継者ルッジェロ、アンティオキア公となる
1113 トルコ人の前進。ボードワン1世、ティベリアス(イスラエル)で敗北
1115 十字軍とダマスクスのタガベク(太守)との同盟。テルダニト(オロンテス川東方)の戦い。ボードワン1世がモアブ奪取
1116−1118 ボードワン1世、エジプトを攻撃
1117−1118 アラブ人がサラゴッサ(スペイン)を奪回
1118−1131 エルサレム国王ボードワン2世の治世
1119 テルアキブリンの敗北。アンティオキア公ルッジェロ殺される
1124 十字軍、ティール(レバノン)を占領
1125 イスラム教徒がアレッポ(シリア)を占領するが、間もなくアザーズの戦いでボードワン2世に敗北
1126 ボードワン2世がダマスクスに到着
1128 トルコ人首長ザンギー、アレッポを支配
1130 ザンギーがハマ(シリア)を占領し、アンティオキアを攻撃
1131−1148 エルサレム国王フールク・ダンジュー1世の治世
1135 ザンギーがトリポリ伯国へ侵入
1136 レーモン・ド・ポワティエがアンティオキア公となる
1137 フールク王、バリン<モンフェラン>で降伏
1138 ビザンティン皇帝ヨハネス・コムネノスがアンティオキア公レーモンに自分の支配的地位を認めさせる
1139 フールク王とダマスクスがザンギーに対して同盟を結ぶ
1140 ザンギーがダマスクスの包囲を解く
1142 十字軍、オロンテス地方でザンギーに敗北
1143−1145 ビザンティン人とアンティオキア間で新たな紛争。レーモン公は服従する
1143−1151 アルメニア国君主トロス2世が、ビザンティン人をキリキアから追放する
 

第2回十字軍(1147−1149)

1144 ザンギーがエデッサ伯領を占領
1146 ヌール・ウッディーンがザンギーを継ぐ。聖ベルナールがウェズレーで第2回十字軍を宣布。フランス王ルイ7世(若年王)とドイツ帝コンラート3世が第2回十字軍を指揮する

1148 ダマスクスの攻囲失敗。コンラート3世とルイ7世はヨーロッパに引き上げる
1149 ヌール・ウッディーンがアパメアを奪い、レーモン・ド・ポワティエを殺す
1153 ボードワン3世がアスカロンを奪取
1154 ヌール・ウッディーンがダマスクスを奪取
1155−1156 ルノー・ド・シャティヨンがキプロス島を略奪
1158 ボードワン3世ハリムを奪回。ヌール・ウッディーンがブタハ(ティベリアス湖北東)で敗北
1159 ビザンティン皇帝マヌエル・コムネノスがアンティオキア宗主として認められる。フランク人はヌール・ウッディーンと講和
1160 ルノー・ド・シャティヨンがヌール・ウッディーンの捕虜になる
1162 アモーリー1世がボードワン3世を継ぐ
1164 ヌール・ウッディーンがハリムを奪取
1167 ヌール・ウッディーンが自分の武将シールクーフをエジプトに派遣。アモーリー1世がカイロを奪取
1168 アモーリー1世、エジプトで挫折。ヌール・ウッディーンがカイロを奪取
1169 サラディンがエジプトでワジールになる。フランク=ビザンティン同盟。ダミエッタ(エジプト北部、三角州地方の都市)攻囲

1170 アモーリー1世、死海でヌール・ウッディーンを、ガザでサラディンを破る
1171 サラディンがカイロのファーティマ朝を倒す
1174 ヌール・ウッディーンとアモーリー1世死去。ボードワン4世の即位。シリアではサラディンが権力を奪う
1177 ボードワン4世がモンジザール(テルジェゼル)でサラディンを破る
1179 サラディンはティール城へ侵攻
1180 サラディンとボードワン4世が休戦協定を結ぶ
1182 サラディンのナザレト、ティベリアス、ベイルート攻撃
1183−1184 サラディンはアレッポを奪い、サマリアとガリレアに大被害をもたらす
1185 ボードワン5世。すぐにギード・リュジュニャンが引き継ぎエルサレム王になる
1187 十字軍、ハッティンでサラディンに敗北。エルサレム陥落
 
第3回十字軍(1189−1192) 1187 ティールの大司教が十字軍を宣布し、ドイツ帝フリードリヒ1世(赤髭王)、フランス王フィリップ2世(尊厳王)、イングランド王リチャード1世(獅子心王)に指揮される

1188 サラディン、トリポリ、ティール、アンティオキアを覗く全フランク領土を奪取
1189 ギー・ド・リュジニャンがアッコンを攻囲
1190 赤髭王フリードリヒは小アジアに侵入、コニアを奪ったが溺死する
1191 フィリップ尊厳王とリチャード獅子心王の十字軍。リチャード王はキプロス島を占領、アッコンを奪回。サラディンはアルスーフで敗北

1192 ギー・ド・リュジニャンがキプロス島を獲得。シャンパーニュ伯アンリ2世エルサレム王位につく。ティール領主コンラド・ド・モンフェラがアサシン派の手で刺殺された。リチャード王がヤッファでサラディンを破る。リチャード王はエルサレム前に挫折し、西欧に引き上げる(オーストリアで捕虜になる)

1193 サラディン死去
1194 アモーリー・ド・リュジニャンがギーを継いでキプロス王に即位
1197 アンリ・ド・シャンパーニュ死去。ベイルートを奪回。ジャン・ディブランが領主となる
 
第4回十字軍(1202−1204) 1199−1220 ムハンマドの治世。フールク・ド・ヌイイが十字軍を勧説。モンフェラ候ボニファチオ2世とフランドル伯ボードワン9世に指揮される

1204 十字軍がコンスタンティンノーブルを占領。東方ラテン帝国成立(1204−61年)
 
第5回十字軍(1217−1221) 十字軍指揮官は、エルサレム王ジャン・ド・ブリエンヌとハンガリー王アンドレア2世
1217 タボール山前方で挫折
1218−1219 十字軍、ダミエッタを占領。アッシジ(イタリア)の聖フランチェスコがエジプトへ派遣される
1221 十字軍、カイロ遠征の失敗。ダミエッタを失う
 
第6回十字軍(1228〜1229) 1229 エジプトのスルタン、アル・マリク・アル・カーミルと結んだヤッファ条約により、ドイツ皇帝兼シチリア王フリードリヒ2世は、10年の期限でエルサレムを返還された。フリードリヒ2世はエルサレムの王となり、洗練された知的な宮廷を造った

1232 アッコンの自治都市誕生
1239 第6回十字軍がガザで挫折。第7回十字軍宣布
1244 キリスト教徒がガザで敗北。エルサレムはイスラム教徒(コラズム・トルコ人)によって決定的に奪回された
1247 トルコ人はティベリアス湖地方とアスカロン港を奪回
 
第7回十字軍(1248〜1254) 1248 フランス王ルイ9世(聖王)がキプロス島へ上陸
1249 聖王ルイがダミエッタを占領
1250 マンスーラ市(エジプト)の戦い。聖王ルイは降伏し、釈放との引き換えにダミエッタを返還。マムルーク・トルコ人がエジプトの政権を奪う
1250−1254 聖王ルイはパレスティナとシリアを組織し直す。聖王ルイ、東方を出発
1260−1277 マムルーク・トルコのスルタン、バイバルスの統治
1265 バイバルス帝、カエサレアとアルスーフを奪取
1268 同帝ヤッファとアンティオキアを奪取
 
第8回十字軍(1270年) 1270 聖王ルイがテュニスで没す
1274−1275 マムルーク・トルコ人がキリキアを荒廃させる
1277 シチリア王シャルル・ダンジューがエルサレム王位を要求。シャルル・ダンジューがアッコンを奪う
1282 キプロス王アンリ2世がエルサレム王となる
1287 エジプトのスルタン、マムルーク帝カラーウーンがトリポリを占領
1291 カラーウーン帝の後継者、マムルーク帝ハリールがエルサレム王国の首都アッコンを占領。プトレマイオス(アッコン)陥落。シリアの十字軍国家の滅亡
2003年6月27日初稿

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