クラス379「エレクトロスター」 

British Rail Class 379 'Electrostar'


2011年から運行開始したクラス379。
(撮影:トッテナム・ヘール駅、Tottenham Hale Station)

●基本データ

デビュー年 2011年
最高速度 160km/h
製造会社 ボンバルディア・トランスポテーション(Bombardier Transportation)
運行会社 アベリオ・グレーター・アングリア(Abellio Greater Anglia, AGA
運行区間 ウェスト・アングリア本線(West Anglia Main Line)
●ロンドン・リバプール・ストリート(London Liverpool Street)〜ビショップス・ストートフォード(Bishops Stortford)、ハーロー・タウン(Harlow Town)、イーリー(Ely)、キングズ・リン(King's Lynn)、ケンブリッジ(Cambridge)
●ストラットフォード(Stratford)〜ケンブリッジ

スタンステッド・エクスプレス(Stansted Express)
●ロンドン・リバプール・ストリート〜スタンステッド空港(Stansted Airport)
編成詳細

クラス379 4連x30本


●スタンステッド空港への新アクセス列車

 ボンバルディアの交通部門が製造している次世代電車、通称「エレクトロスター」シリーズの一員。エレクトロスターには初代のクラス357の他、ベースとなったクラス377等様々な派生型が存在し、ここ数十年では最も多く製造された車両シリーズでもある。集電方法は架線式交流25kVのみで、クラス377の一部のように交直対応ではない。

導入背景と運用
 2009年にイギリス東部のアングリア地方の路線を担当していた旧ナショナル・エクスプレス・イースト・アングリア社(National Express East Anglia)が4連x30本を発注した。これはロンドン・リバプール・ストリートを起点とするウェスト・アングリア本線の混雑解消を目的としたもので、イギリス中部のダービーにあるボンバルディア工場で2010年から車両の製造が始まった。同年10月には最初の編成が落成し、11月にはチェコのヴェリム鉄道試験線で運行試験が行われた。2011年3月から営業運転が始まり、スタンステッド空港へのアクセス列車、「スタンステッド・エクスプレス(Stansted Express)」運用でクラス317/7を置き換え始めた。

 2011年8月には全編成が導入され、ロンドン・リバプール・ストリート、もしくはストラットフォード〜ケンブリッジ間でクラス317を補佐する形で運用に入った。2012年2月に旧ナショナル・エクスプレス・イースト・アングリアのフランチャイズが終了し、後継のアベリオ・グレーター・アングリア(AGA)に全編成が転属。現在でも運用は変わっておらず、スタンステッド空港行きの列車は基本的にクラス379の8連が運用に入っている。

クラス379の仕様
 普通席は長距離仕様の2+2列配置で、空港利用客のためにデッキ付近に大型荷物置き場が設置されている。一等席は2+1列配置で、車内全域でWifiが使用できるようになっており、防犯カメラも設置。クラス379はエレクトロスターの後継デザインである「アヴェントラ(Aventra)」から回生ブレーキやオルビタ(Orbita)故障予知システムなどの機能も取り入れている。

 2014年には全国の線路を管理するネットワーク・レイル(Network Rail)が379013編成を蓄電池駆動電車に改造した。これは電化された本線から伸びる比較的短い非電化の支線を蓄電池搭載電車で運行できるのかを模索するためのものだ。蓄電池が満タンの場合の走行距離は95キロで一時間走行するためには二時間分の充電が必要で、架線と回生ブレーキの両方から充電が可能であった。2015年1月と2月に営業運転に入り、マニングツリー(Manningtree)〜ハリッジ・タウン(Harwich Town)間で試験運用された。現在379013編成は元の状態に戻され、他のクラス379と共に通常運用に入っている。

(解説・撮影:秩父路号、2016年4月更新)

●ギャラリー


前面デザインはクラス377から始まったエレクトロスター中期のものを採用。写真はAGAやスタンステッド・エクスプレスのロゴのステッカーがまだ貼られていない状態の編成。
(撮影:トッテナム・ヘール駅、Tottenham Hale Station)


クラス379の後追い。
(撮影:トッテナム・ヘール駅、Tottenham Hale Station)


一等席の様子。2+1列配置のクロスシート。


普通席の様子。2+2列配置のクロスシート。


普通席のデッキ付近の様子。

車イス用スペースと身体障害者用トイレ。


以前のエレクトロスターと異なり連続窓ではなくより安価な枠窓を採用している。これはクラス387クラス377/6377/7にも見られる。

●参考文献・ウェブページ

・「Traction Recognition, Third Edition」 (Ian Allan Publishing) ISBN 978-0-7110-3792-2
Railway-technology.com: Independently Powered Electric Multiple-Unit (IPEMU), Essex, United Kingdom
Wikipedia: British Rail Class 379

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