夜行列車「ナイト・リビエラ」〜イギリス〜


○解説

寝ながら移動して、朝目的地に着く。そういうコンセプトがヨーロッパ中に人気を呼び、イギリスにも19世紀後半からは寝台列車が運行され始めた。でもイギリスの国土面積は日本の3分の2で、日本のように細長くないことから、寝台列車の需要はあまりなかった。そのため、ヨーロッパ大陸の国々は国際寝台特急網を広げていったが、イギリスにはそれができずに、夜行列車は今ではたった2本にまで減少している貴重な存在だ。

 そのうちの一つが、このナイト・リビエラ。ロンドン・パディントン駅から南西地方の果て、ペンザンスまでの320マイル(約520km)を8時間かけて走破する。これは東京から京都までの距離だが、走行時間を延ばすために最短路線を走らず、さらに一時間ほどの運転停車も含まれていることから、いかにイギリスが狭いか分かる。

 かつてこの列車ではモトレール(列車に車を載せて、乗客と一緒に目的地へ送る)のサービスも行っていたが、利用者減少により2005年に廃止された。車両の老巧化も進み、一時は列車ごと廃止されるのではと噂されたが、運行会社のファースト・グレート・ウェスターン社(First Great Western)が20万ポンド(約4000万円)の大掛かりな改装を行い、新車同様に若返った。


 車両構成は機関車+客車6両で、3両座席車、3両寝台車となっている。寝台車のほうは一番安い切符で運賃+部屋代で一室50ポンド(約1万円)とかなりいいお値段。シングルデラックス並の設備とアメニティ・キットと朝食が無料とくれば、この列車を利用しないわけがない!


(解説&撮影:秩父路号)

●ギャラリー


ロンドン・パディントン駅にて。
ここは頭端式(または櫛形)ホームなので、この機関車がひとまずホームに列車を引っ張ってくる。
ちなみに、この57型ディーゼル機関車は緑色がベースの旧塗装。

先頭の57型はリニューアルされています。(ちなみに最高速度は150km/hと足は意外と速い)

FGW社とナイト・リビエラのロゴ

ベッドが線路と交差するように設置されているので、通路が狭い!床の非常事態用の誘導光も常に点灯。

一人部屋はゆとりがあり、ベッドもなかなか。さすが、お金をかけて改装しただけはある。

洗面所も完備!後ろの窓もシャッター付。窓上の棚にはウェルカム・ドリンク(とはいってもミネラル・ウォーター)が置いてあった。

ビュッフェは営業していないが、翌朝の朝食の準備に使われる模様

座席車は一等車仕様なので、ゆったり。イギリスではほとんど見かけないリクライニング・シートも完備。

無料で雑誌とアメニティ・キットがついてくる。内容は石鹸、シャンプー&リンス、剃刀と髭剃りクリーム、歯ブラシと歯磨き粉、ガーゼ、スポンジ、耳栓、目隠し、ティッシュ、お手拭、さらには縫い針と糸が入っている超豪華セット!

モーニング・コールのサービスもあり、朝食も無料で配られる。ちょっと物足りないかもしれないが・・・

ペンザンスに到着すると出迎えてくれる石碑。
(上は英語、下の部分はコーニッシュ語で、「ようこそ、ペンザンスへ」と書かれている)

ペンザンス駅でのナイト・リビエラ。これから車両基地へ戻り、夜またロンドンへ戻る。

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