ヒースロー・エクスプレス〜イギリス〜
○解説
空港アクセス特急は世界各国にあるが、ロンドンの5つの空港のうち、最も大きなヒースロー国際空港(London Heathrow International Airport, LHR)とロンドン市内を結ぶのが、「ヒースロー・エクスプレス」(Heathrow Express、以下HEX)。1998年1月に運行開始したが、当時はまだ路線が完成されておらず、ヒースロー・エアポート・ジャンクション(Heathrow Airport Junction)という駅から連絡バスを使って空港へお客さんを運んでいた。車両も3連とかなり短かった。同年6月に全線開通して、空港の真下まで市内から15分で行くことができるようになる。
HEXはロンドン西のターミナル、ロンドン・パディントン駅(上写真)から15分毎に列車が空港へ出発している。通常期と繁盛期には4+5の増結編成で運行しているが、閑散期には5連で運行している。
車両はシーメンス製の332形を使っている。最高速度100マイル(160km/h)と値段に見合うだけの速さはある。イギリスでは珍しい交流25kVの架線の下で走る。実際、HEX開業によって非電化だった大西本線がロンドン市内限定で電化された。
料金はというと、2等車で片道14.50ポンド(3000円)、1等車で片道23.50ポンド(4700円)。走行距離16.5マイル(26.4km)、走行時間15分を考えればかな〜り高い。
ヒースローはターミナルが5つもあり、駅は3つある:「第1、2、3ターミナル駅」、「第4ターミナル駅」と「第5ターミナル駅」である。でもHEXは第4ターミナルには停まらず、ヒースロー・コネクト(Heathrow Connect)という別の系統の列車に任せている。
(解説&撮影:秩父路号)
●ギャラリー
早朝6時のパディントン駅。それでも乗客は結構いた。旅行・ビジネス、皆それぞれの目的で空港へ行く。
パディントン駅の6・7番ホームはHEXの専用ホーム。15分毎に入れ替わりに出発するので、こうして並ぶのはわずか数分。
車内は15分しか乗っていないという理由で、とても簡素。非リクライニング、固定式、2+2配置(1等車は2+1、リクライニング有)。あれだけ運賃が高いのだから、もう少し値段に見合った設備が欲しいものだが・・・3+2じゃないだけましか。
ちゃんと荷物置き場も完備。荷物を持った乗客に配慮して、途中駅では4分も停車する
デッキとの仕切りはなく、混雑を予想してジャンプシートも備えてある。テレビも埋め込まれてあり、交通情報やニュースを見ることができる。
車体側面に貼られているHEXのロゴ
今年の3月に開業した第5ターミナル駅で停車中のHEX。後ろには地下鉄も走っています。
雪の中を突き進むHEX。(Ealing Broadway駅で撮影)