ペンドリーノ〜イギリス〜


○解説

 ペンドリーノはイギリス西部の主要都市を結ぶ西海岸本線を走るインターシティ(都市間列車)。老朽化した国鉄時代の客車に代わり、2002年夏にヴァージン・トレインズ社が導入した。現在は9連(一等4両、二等5両)で運行しているが、混雑が激しいため、2両増結して11連にするという。
 ペンドリーノ(Pendolino)はその名の通り、振り子式の列車。形式は390形(クラス390)で、アルストム社・フィアット社が共同製造している。国内では最速の列車(140mph、225km/h)のはずだが、ATCのような信号システムないため、125mph(200km/h)に制限されている。
 車内には売店、さらには一等車を使ったレストランもあり、特定の列車ではフルコースが味わえる。しかし車体が振り子式で傾くため、断面が細長く頑丈でなければならない。おかげで車内はとても狭い!
 実はこのペンドリーノ、1970年代にイギリスが独自で開発したAPT(高速振り子式試験車)の生まれ変わりなのだ。しかしそのAPT、メンテ関係の問題が続出し、開発費が高すぎて、イギリス国鉄はプロジェクトを放棄。その振り子技術をイタリアのフィアット社に売った。イタリアはその技術をさらに発展させ、自国の高速鉄道(シザルピーノやETRシリーズ)に次々と導入した。
 30年と時は過ぎ、ついに本格的に高速化を目指すようになったイギリス。それに伴い新しい車両が必要となった。新しい高規格路線は作りたくないが、時間短縮はしたい。それで、カーブをより早く通過できる振り子技術に再び手を出し、アルストム・フィアットに新造してもらったわけだ。なんとも皮肉な話である。
(上写真:ロンドン近郊にて/解説&撮影:秩父路号)

●ギャラリー


カーライル駅に入線中のペンドリーノ

カーライル駅にて


西海岸本線の起点、ロンドン・ユーストン駅にて


二等車は2+2、非リクライニング、固定式

車体外面には行き先を表示する電光掲示板がある

それぞれの編成は命名されていて、車体側面にプラークが取り付けられている

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