「○○白書」の「白書」とは?

1.白書って、どんな本を指すのか

 ニュースを見ているときや、政治や経済などの資料を読んでいるときに、「経済財政白書」とか、「防衛白書」とか名前を見たり聞いたりしたことは無いでしょうか。主なものを紹介しますと、日本にはこれだけの白書が存在しています。

発行省庁
発行している白書の名前
[内閣府]
男女共同参画白書
高齢社会白書
障害者白書
子ども・子育て白書(旧少子化社会白書)
子ども・若者白書(旧青少年白書)
交通安全白書
犯罪被害者白書
自殺対策白書
食育白書
経済財政白書
防災白書
[警察庁]
警察白書
[総務省]
地方財政白書
情報通信白書
消防白書
[法務省]
犯罪白書
[外務省]
外交青書
政府開発援助(ODA)白書
[文科省]
科学技術白書
[経産省]
中小企業白書
エネルギー白書
製造基盤白書(ものづくり白書)
通商白書
[国交省]
国土交通白書
土地白書
首都圏白書
観光白書
[防衛省]
防衛白書

 これでお分かりのとおり、白書とは政府が発行する公式報告書のことで、それぞれの省庁が所管する政策分野について、政治社会経済の実態と、政府の施策の現状について国民に周知させることを目的とし、多くは毎年発行されています。書店で販売されているほか、多くはネットで閲覧することが可能です。

 これを読めば、政府はどのように各分野の現状を把握していて、どのように取り組もうとしているのか理解できる、というわけです。そして白書に書かれている政府による現状分析は、我々が各分野について勉強しようと思ったときにも、良質な資料となります。ちなみに地方自治体の報告書にも、白書を名乗る例もあります。

2.なぜ「白」なの?

 白書という名称は、イギリス政府が外交事情を国民に知らせるために発行した報告書の表紙が白く、white paper(ホワイトペーパー)と呼ばれていたことに由来します。そのまま直訳したんですね。

 日本では1947(昭和22)年に、片山哲内閣が出した「経済白書」が、「白書」という名前が使われた最初の例です。そして1956年度の「経済白書」で打ち出された「日本経済の成長と近代化」について、その結語に使われた「もはや戦後ではない」が、高度経済成長を遂げる日本を印象付ける流行語となり、このときに「白書」の名前も広く浸透したようです。

 ちなみに外務省が発行している年次報告書は、外交青書。白書ではありません。これは何故かというと、イギリス議会の外交委員会の報告書の表紙が青色であったので、外務省はそれに倣ったものです。

(執筆担当:裏辺金好)

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