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第140回 古来の単位:尺貫法を使いこなせ!

担当:裏辺金好


○メートルなんて西洋かぶれの極みである(笑)

 今回の話は、今では殆ど使われなくなった日本古来からの測量単位の話です。
 私も含めて、何か物の長さを測るときって、よほどのことが無い限り1m67cm云々とアルファベットを使用した単位を使っていますが、昔は1丈5尺等と表記しておりました。そして、今でも年配の方はこの単位を覚えている方もいらっしゃいますし、若者だって酒一升・米二合を・・・なんて表現を使います(え?使わない??)。

 そして、未だに不動産では普通に飛び出すことがあります(例:1坪当たり・・・)。また、測量の世界では明治時代や昭和初期の図面等を引っ張り出し、「この道は元々6尺で・・・」等と資料として活用しなければならないので、尺などの単位は割とポピュラーに使われています。もちろん、今さら図面に6尺5寸なんて書くことは少ないですが・・・(というより、昭和41年に制定された計量法により、それまでの度量衡法に基づいた単位を、取引や証明の計量に利用することは禁止されたのです)。

 ともあれ。
 今回は練習問題も出しておきますので、日本古来の単位がメートル法に換算すると幾らになるのか。
 バッチリ学習して、色々なものを変換しちゃいましょう。
 ちなみにタイトルにある尺貫法。尺は長さを、貫は重さを表す単位の1つでございます。また、体積は「升」が代表です。

○寸・尺・間・丈・町

 今回は、長さの単位を解説しましょう。(注:総称して曲尺=かねじゃくといい、和服の世界で使われる鯨尺=くじらじゃくとは異なります)。
 基準として、まずは一寸法師でお馴染み、寸からいきましょう。

 1寸(すん)=約3.03cmです。いやあ、一寸法師って本当に小さいんですね!!

 そして、尺(しゃく)は寸の10倍なので、1尺=約30.3cm(=0.303m)
 さらに、間(けん)は尺の6倍なので、1間=6尺=約1.81m
 さらにさらに、丈(じょう)は尺の10倍なので、1丈=10尺=約3.03m
 そして、町(ちょう/丁)は、間の60倍なので、1町=60間=360尺=約109m

 ・・・おまけとして、里(り)は、町の36倍。1里=36町=12960尺=約3927m=約3.93kmでございます。
 
 ・・・ところで、逆戻りすると。
 分(ぶ)という単位もあり、これは寸の10分の1.よって、1分=0.303cmとなります。
 さらに、厘(りん)はその10分の1、毛(もう)はさらにその10分の1です。

 なお、細かい数字が苦手なら、1尺=30cmとでも覚えておけばいいでしょう。

○ここで問題。

 まずは、5尺って何cmだ!    ・・・・30.3cm×5 ですね。よって、約152cm(1.52m)となります。
 では、9尺って何cmだ!      ・・・・30.3cm×9 ですね。よって、約273cm(2.73m)となります。

 最後に1丈4尺って・・・何mだ! ・・・・3.03mに、0.303cm×4 を足しますね。よって、3.03m+1.21mなので、4.24mとなります。

 ちなみに、昔から1尺=3.03cmと決まっていたわけではありません。
 色々な分野で、微妙に異なってそれぞれ使われていたのですが、明治政府が度量衡法という法律の中で、建築で使われていた曲尺をベースにしてこのように定義したのです。ですので、例えば和服の世界で使われる鯨尺(くじらしゃく)というのもあります。鯨尺1尺=曲尺の1.25倍、すなわち鯨尺1尺=37.9cmです。

 まあ、基本的には今回紹介した曲尺(かねじゃく)を覚えておけばいいでしょう。

 *中国の尺と日本の尺は異なりますし、さらに古代中国となると益々異なるので要注意。
  なんと、後漢と魏でも微妙に異なっているとか・・・。書物を読んだ場合、どの時代に書かれたかを考えないといけませんね。

○畳2畳分が、1坪である

 そこで、今でも普通に使われているという単位。
 よく、1坪辺りの単価は・・・なんて表現がされていますが、この1坪というのはタタミ2畳分です。そして、このタタミ2畳分は「基本的に」正方形であり、(大体ですけど)1辺の長さが、先ほど登場した1間(けん)なのです。さあ、諸君、1間って何mだ!!!?

 ここで、やはり1尺が0.303mであることを思い出しましょう。
 1間は6尺ですから、0.303m×6=約1.81mです!!

 というわけで、一辺が1間の正方形が、1坪となります。
 さらに、田んぼなんかでお馴染みの1畝(せ)=30坪1反=10畝 となります。
 
 では、1坪の面積って幾らでしょう。
 もちろん、1間×1間となり、これが1坪(つぼ)。これも良く使う単位ですね。
 というわけで、メートルにして見ましょう。*ダラダラ読んでいないで、ぜひ紙に書いて計算してみてください。なかなか覚えられませぬぞ。

 1間=約1.81mですから、1.81×1.81=約3.276平方メートル。
 ・・・なんて覚えにくいので、1坪=約3.3平方メートルと覚えておけばいいでしょう。おお、ここにも登場した3.3という数字。やはり、これがキーワードです。


 というわけで、まずは長さの単位から攻略してみました。
 ぜひ、自分の身長を変換してみてください。
 ちなみに私の場合、167cmですから、まず尺は167cm÷30.3cm=5.511 というわけで5尺。
 寸は、あまった0.511÷0.303=1.68 というわけで、まあ約2寸となりますか。
 というわけで、5尺2寸となるわけでございます。

○重さと体積の単位はこうです。

 続きまして、今度は重さです。
 まず、1匁(もんめ)=3.75g 
 裸一貫・・・じゃないですが、1貫=1000匁=3.75kg となります。
 さらに、食パンでお馴染み 1斤=160匁=600g となります。

 それから、お酒や米の計量でお馴染みの体積の単位は次のようになります。
 まず、1合(ごう)=180cc
 1升(しょう)=1勺=10合=1.8リットル
 1斗(と)=10升=18リットル
 1石=10斗=180リットル

 で、ございます。

 江戸時代のサラリーマン武士達が、どれぐらいの米を貰っていたのか、ぜひ変換してみましょう(笑)。

 というわけで、いかがでしたでしょうか。
 このほかにも色々な単位がありますが、是非気になる古来の単位を見つけたら、読み飛ばさずに変換してみましょう〜。

棒