知ってて損はない?
電車の記号「クハ」とか「モハ」とか・・

担当:裏辺金好

●はじめに

 今回は久しぶりに電車の雑学をお届けします。
 私も一応、鉄道ファンでございますから、色々と鉄道関連についての質問が来るのですが、今回もその一つ。

 みなさん、電車の車体の真ん中、もしくは端の方に「モハ115−1105」だとか、最近では先頭車の目立つ部分に「SONIC885」だとか、とにかく片仮名や数字が書いてあるのをご覧になった事はあると思います(注:SONICはJR九州の特急の名前)。従来の番号表記に加えて、最近では車体のデザインの一部として、系列名を表記することも多くなったわけでして。

 今回は、JRのみに通用するものですが、いったいこれら片仮名や数字が何を表しているのか、簡単にご紹介しましょう。ちょっとだけ毎日の通勤・通学が面白くなるかもしれませんよ??

 ちなみに、話の前段階として。
 JRや私鉄の車両もそうですけど、多くの場合は仕様が同じような車両をまとめて「○○系」とグループ化して管理されています。さらに、この系列の中で、先頭車とか、中間車を区別する記号が使われているのです。今回は、その細かい区別についてみていきましょう、というお話です。
 

1.電車の場合

 
 さて、一番上のタイトルは「電車」としましたが、実際の鉄道車両には「電車」「気動車(ディーゼルカー)」「客車」「電気機関車」「ディーゼル機関車」「蒸気機関車」「新幹線」という分類が出来ます。まずは日本でもっとも一般的な、電車について見ていきましょう。

 まず、「はじめに」の下にある写真をご覧になると解りますが、車体の中央下や、そのほかにも室内の車両同士の扉付近の上のほうに
 05

 などと、記載されているのを見かけることが出来ます。ハイフン以外は、実は色分けした数だけ意味があるのです。
 では、左から1つ1つ丁寧に解説しましょう。
 便宜的に@ク Aハ B4 C8 D1 E105 とします。
 

@電車の種別を表す記号

 ・・・運転台付き(正しくは制御車といいます。ここから電車をコントロールしますからね。基本的に先頭車です。)
 ・・・中間電動車(つまり、運転台は付いていないけど、モーターが付いている中間の車両)
 クモ・・・運転台も付いているし、モーターもついている(制御電動車)
 ・・・モーターもない、運転台もない。つまり、ただ引っ張られているだけの車両(ちょっと語弊があるか?? ちなみに一番静かです)

A使い方(用途)を表す記号

 ・・・普通車(自由席だったり、指定席だったり、単なる通勤電車だったりしますが・・・)
 ・・・グリーン車(特に高い料金を払って乗る車両ですね。特急の他、なぜか東海道線の通勤電車にもついていますな)
 ・・・食堂車(現在、電車でこれを持っている車両はありません)
 ・・・寝台車(そのまんま。なお、先ほどの「ハ」「ロ」などの後ろに付く、特殊な記号です)
 ・・・訓練車や職員用の電車を表します

B電気方式を表す数字(百の位)

 実は電車と言っても、直流と交流という2種類の電気方式が存在しています。一見外観は同じ電車でも、基本的に双方に乗り入れる事は出来ません。ただし、特殊な装置をつけた「交直流」電車の場合は、どちらでもオッケーです。
 1〜3・・・直流  4〜6・・・交直流  7〜9・・・交流
※JR東日本の最近の電車は記号の後に「E」 (東=Eastの頭文字E)が付きます。例:クハ E351
*JR四国製造の車両はそもそも、こんな分類をハナから無視して、2000だとか3000だとか、ぐちゃぐちゃな数字をつけます。・・・何故そんなことをする??

C種別グループを表す(十の位)

 一応基本的には、JRの電車というのは使う用途が決まっています。ですから、一部の特別な運用を除いて特急が普通電車として走る事はあまり無く、通勤電車が特急として走る事は、絶対にありません(私鉄は違いますよ)。
 0〜3・・・通勤型・近郊型電車 5〜7・・・急行型電車(もっとも、現在急行に使われている車両は無し)
 5,8・・・特急型電車 9・・・実験用車両など、特殊な電車

D設計の順序(一の位)

 たとえば、山手線の車両(E231系)の場合23という系列の番目のタイプの車両と、こんな感じで表すのです。
 ちなみに、JR東日本が製造した車両の多くはクハE231−501のように、自社(EAST)を表わす”E”を付けています。
 これは気動車や新幹線も同様なので、参考にしてみてください。

E製造番号

 これは一目瞭然。その系列の車両の何番目に製造されたかを表しています。
 ただし、ほぼ同じ系列でも、例えば寒冷地対応の場合、これは、1000番と分類しようとかいって、115−1023みたいにつける事はあります。ですから、実際に1000両も製造された・・・というわけではないです。このあたり、鉄道ファンでも車両オタクでない限り、何がなんだか解らない事が多いので、クハ481−1であれば、ほぼトップナンバーですけど、それ以外については、あまり深く考えない方がいいと思います。

 さあ、そういうわけで先ほどの05は、、交直流対応(4)特急電車(8):481系の運転台付き先頭車(ク)普通車(ハ)*指定席かどうかは解らないけど、(実は)100番台の5番目の車両ということになります。ちなみに、この車両の系列名は実は例外的に485系とも呼称しています。モーター車のみ485系という改良型として製造が続けられたのですが、そっちが主流になってしまったので、え〜い、両方まとめて485系と呼んでしまえと一般化しています。

2.気動車の場合
@気動車の種別を表す記号

エンジンつき車両 (電車と違って先頭車・中間車区別はありません)
*現在、エンジンの付いていない気動車はないので、事実上「キ」が気動車を表すものになっています。

A使い方(用途)を表す記号

 ・・・普通車(自由席だったり、指定席だったり、単なる通勤電車だったりしますが・・・)
 ・・・グリーン車(特に高い料金を払って乗る車両ですね。特急の他、なぜか東海道線の通勤電車にもついていますな)
 ・・・食堂車(現在、気動車でこれを持っている車両はありません)
 ・・・訓練車や職員用の電車を表します

 さて、お次は数字・・・といきたいのですが、昔は細かい規定(エンジンを1台つけているとか・・・)がありましたが、現在はみんなで好き勝手に数字をつけています。ですので、残念ながら省略。ちなみに、上写真はキハ110系。この車両の場合、車体中央下部に表記されるナンバーとは別に、キハを省略した車両の番号だけ運転台上に表記されていますね。


3.新幹線の場合

 
 もちろん、新幹線の記号にも意味があります。ただし、記号はないんですね。実は新幹線は、すべて数字だけで表すのです。例として
 41

 @AB  C と、分類してみていきましょう。

@系列を表す数字(百の位)

 電車や気動車と異なり、この1桁目の数字を見れば、100系なのか、200系なのかが解ります。ただし、一番最初の0系新幹線の場合、「0」ではなく、そもそも一桁目を省略します。また、なぜか500系も700系も800系もあるのに、現在のJRには何故か600系がありません。
 
 ちなみに系列名ですが、JR西日本やJR九州は車両の番号から素直に100系、800系と見ていいのですが、JR東日本が製造した新幹線は200系と400系以外は、最初にEをつけて、E1系、E2系、と新幹線の系列をつけています。ですから、車体の番号にE153−100とあったとしても、系列名はE100系ではなく。E1系です。ややこしい・・・。また、JR東海の最新型新幹線は、N700系。700系を新しくしました、という意味合いのようです。

A使い方(用途)を表す数字

 2 普通車   ビッフェ・食堂車(営業運転はしていません)
 4・6 2階建て車両(2階:グリーン車 1階:普通車というタイプ)
 5 2階建て普通車(2階も1階も普通車というタイプ)

B電車の種別を表す数字

 1 先頭車(モーター付き)
  2・3 先頭車(モーター無し)
 4・5 中間車(モーター付き)
 6・7・8 中間車(モーター無し)(※ただし500系はモーター付き)

C製造番号

 やはり、マイナーチェンジなどの事情によって1000番から数えたりする車両もあります。


4.蒸気機関車の場合

 
 まずは機関車の元祖、蒸気機関車から紹介します。
 ちなみにSLと別名で言いますが、これはSteam Locomotiveの略です。そのまんま。蒸気で動くものという意味ですね。

 さて、蒸気機関車の形式は昭和3年以前と以後で違うのですが、ここでは昭和3年以後の分類を紹介。
 左の写真、デゴイチことD51 87を例としまして・・・・。
 最初のアルファベットは駆動軸の数を表し、B=2軸 C=3軸 D=4軸 E=5軸 F=6軸 G=7軸 H=8軸
 駆動軸って、あの大きな車輪の数の事ですよ。

 
 次の2桁の数字は・・・・
 10〜49(タンク機関車)
 50〜59(テンダ機関車)
 60〜62(従輪が2軸の軸重軽減型テンダ機関車)


 ちなみに、
 *タンク機関車・・・・機関車自体に石炭と水を積載、ローカル線や短距離向き。
 *テンダ機関車・・・・機関車の後ろに石炭と水を積んだ炭水車を連結、幹線や長距離向き

 という意味だそうです。また、その後ろの数字は、製造番号です。

5.電気機関車の場合

 
 次に電気機関車の場合。
 EF61 120とあったら、Eは電気 Fは6軸を表しています。つまり、軸については蒸気機関車と同じ考え方なのですが、さらに電気を表わすEがつくわけです。数字については、国鉄世代の電気機関車の場合、電気方式によって次のように区分されます。

 旧式の最高速度85km/h以下
 10〜29=直流、30〜39=交直流、40〜49=交流

 最高速度85km/h以上 
 50〜69=直流、70〜79=交流、80〜89=交直流

 それから、90〜99=試作車両です。

 問題はJR貨物が製造した、上写真のような三桁のナンバー。どうも規則性には当てはまっていないようですが、今のところEF210の「2」は直流、EF510の「5」は交直流みたいです。

6.ディーゼル機関車の場合

 
 同じようにディーゼル機関車はDEなら、Dがディーゼル Eが5軸です。
 数字は、いたってシンプルで、10〜49=最高速度85km/h以下、50〜89=最高速度85km/h以上です。
 もっともこちらも、JR貨物は三桁のナンバーの車両を造っていまして・・・やはり規則に当てはまっていないようです。

 客車と貨車については省略します。


棒