生命三十六億年(5) オルドビス紀
○今回ご紹介する時代(赤色部分)
累代
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代
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紀
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世
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開始年代
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顕生代 | 古生代 | ペルム紀 | 2億9900万年前〜 | |
石炭紀 | 3億5920万年前〜 | |||
デボン紀 | 4億1600万年前〜 | |||
シルル紀 | 4億4370万年前〜 | |||
オルドビス紀 | 4億8830万年前〜 | |||
カンブリア紀 | 5億4200万年前〜 |
○さらに多様化する生物たち
オルドビス紀という名前の由来は、イギリスの北ウェールズにいたケルト系ブリトン人の古代部族オルドビケスに因んだものです。カンブリア紀同様、このウェールズで系統的に調査研究が行われました。オルドビス紀は温暖な時代で、海水準が全般的に高くなっています。なんと、現代よりも100m〜225mも高かったと考えられており、これを上回る高さは白亜紀だけです。
さて、カンブリア紀とはかなり異なる動物群が主体であり、オウムガイやウミサソリ、魚類の無顎類、コノドントが代表種です。一方、カンブリア紀から引き続いて三葉虫も栄えていました。この時代は、カンブリア紀よりさらに生物が多様化しており、2011年現在、おおよその数字ですが、この時代の海洋生物は500科4500属程度が知られており、顕生代全体の12%が、この時代に生きていたことになります。
コノドント (国立科学博物館にて) 25倍にした復原モデル。コノドントはご覧のように歯しか見つからないために、謎が多かった生物です。現在では、ナメクジウオ(その名前の通り、ナメクジのような形をした魚のような海中動物)のような脊索動物であったと考えられています。
シノセラス (国立科学博物館にて) 当時の代表的な肉食動物であるオウムガイの一種。中国の湖北省から発掘。 リチュイテス (国立科学博物館にて) これもオウムガイの一種で、どちらもカンブリア紀中期のもの。左はスウェーデンのエーランド、右は中国の貴州から出土。 エンドセラス (国立科学博物館にて) エンドセラスは、オルドビス紀からシルル紀にかけて棲息した頭足類で、オウムガイ類やアクチノセラス類と似た外観ながらも、内部構造が異なっています。
ステナスター (国立科学博物館にて) カナダのオンタリオ州から発掘された、クモヒトデ類の1種。オルドビス紀後期に棲息。 ディケロケファリナ (国立科学博物館にて) 三葉虫の一種で、この時代を代表するアサフス目に属しています。 パラスネチュアネラ (世界の巨大恐竜博2006にて) 前期オルドビス紀の生物で、三葉虫類コリネクソカス類。
三葉虫は昆虫やクモ、カニなどの遠い親戚で、種類によって、動物プランクトンを捕まえたり、ろ過食(泥を体に入れて栄養分をこしとる)だったりしました。地表を這うものから、遊泳するものまでいましたが、広域を泳ぐことは無かったようです。 |
当然、生物の数そのものも増え、この時期の地層には、厚さ1mの貝殻層が出現しています。また、最大10mの大型オウムガイも出現しており、体のサイズも大きいものが登場しています。
また、当時の浅い海(浅海)では、ウミユリなどが棲息しており、オルドビス紀後期にはサンゴも出現してサンゴ礁を形成し始めました。
ハリシテス (国立科学博物館にて) オルドビス紀から歴史が始まったサンゴ類。これは、オルドビス紀後期の床板(しょうばん)サンゴ類の1種。 スウェーデンのダーラナから発掘されました。 |
○オルドビス紀の大陸
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さて、この時期はゴンドワナ大陸は南極方面へ移動していきます。一方、アヴァロニア、ローレンシア、パルティカ、シベリアの4大陸は造山活動が活発になると共に、互いに接近し、イアペトス海は小さくなります。イアペトス海と各大陸のプレートの境には、ちょうど日本のような弧状列島が出来ていたと思われます。
ちなみに、各大陸ごとに生物が独自の進化を始めています。
○大量絶滅のビッグ5 その1
地球上の歴史ではしばしば、様々な要因によって生物の大量絶滅が発生していますが、特に大きいものが5つありました。このオルドビス紀の終わりには、そのうちの一番最初が発生しています。はっきりとした原因はよく解っていませんが、浅海の生物たちに悪影響が出て、中でも三葉虫の大量絶滅をはじめ、実に85パーセントもの生物が絶滅しました。