生命三十六億年(7) デボン紀

○今回ご紹介する時代(赤色部分)

累代
開始年代
顕生代 古生代 ペルム紀    2億9900万年前〜
    石炭紀    3億5920万年前〜
    デボン紀  4億1600万年前〜
    シルル紀    4億4370万年前〜
    オルドビス紀  4億8830万年前〜
    カンブリア紀  5億4200万年前〜

○デボン紀とは

 デボン紀(デヴォン紀)という名前の由来は、イギリスのデヴォン州に由来します。当時、地球は温暖で、大陸が大きくなるにつれ、乾燥した地域が内陸に広がりました。

○デボン紀の動物

 このデボン紀に、動物たちは本格的に陸上へ進出することになります。特に後期には最初の両生類が出現し、脊椎動物が陸上進出を果たしました。また、海では顎のある魚類が発展し、アンモナイト類がオウムガイ類から進化した一方で、無顎魚類がほぼ絶滅した事件。また、フデイシ(筆石)類も大半が姿を消しました。海生生物種の60%(80%という説も)が絶滅しています。

 この時代には、隕石が衝突したことがわかっていますが、大量絶滅の原因としての決定打とまでは言いきれません。ともあれ、何らかの環境変化が左様しているようですが、未だに理由については諸説あります。

○デボン紀の動物(魚類)


ドレパナスピス (国立科学博物館にて)
無顎魚類の1つ。デボン紀を最後に姿を消します。


ダンクルオステウス (北九州市立 いのちのたび博物館にて)
 顎(あご)のある魚類の最初のグループである板皮魚類(ばんぴぎょるい)の1種。デボン紀に出現し、デボン紀末に絶滅します。このグループは、頭部と胸部が皮骨で出来ている一方、それより後ろは甲しかないものが大半で、次第に細くなります。このダンクルオステウスは体長は3mから、大きいものでは8m以上という大型の魚類です。なお、背骨と尾の化石は見つかっておらず、軟骨であったと考えられています。この標本はアメリカから発掘されました。


アステロレピス (国立科学博物館にて)
板皮魚類の1種です。


スカウメナキア (生命の星・地球博物館にて)
肉鰭類(にくきるい)、いわゆるハイギョやシーラカンスの仲間です。この肉鰭類から両生類が生まれます。
カナダから発掘されています。


ユーステノプテロン (生命の星・地球博物館にて)
肉鰭類の1種で、最も原始的な両生類であるイクチオステガに似ており、胸びれと足びれに骨があります。
水草を掻き分けていたと思われ、これが4本足の起源となったと考えられています。カナダ ケベック州で発掘。


オステオレピス (国立科学博物館にて)
これも肉鰭類の1種で、イギリスから発掘されました。

○デボン紀の動物 (その他)


クリメニア (国立科学博物館にて)
アンモナイトの一種で、ドイツのメシェダから発掘。

セラナルセステス (国立科学博物館にて)
アンモナイトの一種で、モロッコのエルフードから発掘。

プルマリナ(羽サンゴ) (国立科学博物館にて)
デボン紀後期の海中で棲息した、鳥の羽のような形のサンゴ。アメリカのニューヨーク州から発掘されました。。
刺胞動物のウミエラ類の仲間とする説が有力ですが、詳細は不明。

クロタロセファルス (国立科学博物館にて)
三葉虫の一種で、ファコプス目に属します。モロッコで発掘。

ウラステレラ (国立科学博物館にて)
デボン紀前期に棲息したヒトデ類の1種。ドイツのブンデンバッハから出土。

テニアスター (国立科学博物館にて)
デボン紀前期に棲息したクモヒトデ類の1種。ドイツのブンデンバッハから出土。
押しつぶされてこんな形になっていますが、おそらく実際の形状はヒトデらしいものだと思います。

アースロカンタ (国立科学博物館にて)
ウミユリの1種。アメリカで発掘されました。

フィリップサストレア (国立科学博物館にて)
四放サンゴの1種。カナダのノースウエスト準州で発掘されました。

○デボン紀の植物

 さて、この時期の陸上は今までとは大きく異なる様相をしています。なぜならば、陸上には原始的な維管束植物が出現し、そしてデボン紀後期には樹木さらには種子植物、地球史上最初の森林が登場するからです。また、裸子植物(種子植物のうち、胚珠が裸出し、したがって種子もむきだしになっている植物のこと)が、シダ植物から分化しました。
*維管束・・・水・ミネラル・光合成産物を植物体全体に輸送するための組織。木部と師部の2つから成ります。



デボン紀前期の陸上 (国立科学博物館にて)


プシロフィトン (国立科学博物館にて) *シダ植物の一種


プシロフィトン (国立科学博物館にて) *復原模型


デボン紀後期の陸上 (国立科学博物館にて)
 

○デボン紀の大陸


 ゴンドワナ大陸は、ほぼシルル紀代と変わらず。一方、パルティカがローレンシアと衝突し、その間に山脈を形成し、たくさんの湖が出現。ここには陸上に進出することになる魚類をはじめとする生物が棲息していました。また、ローレンシアの西側では大きな磯が出来ており、現在の北アメリカから産出する石油の元になりました。


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