翼竜とコウモリはどう違う?
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○はじめに |
これまで地球上には様々な特徴を持つ生物が登場して、そして絶滅してきましたが、恐竜と並んで非常に特徴的な姿だったのが、翼竜です。今のように鳥類が全盛となる以前、大空の覇者であった彼らが空を雄大に飛ぶ姿は、推測するしかありません。
・・・と、そこで我らが裏辺所長。変なことを仰います。
「コウモリだって、似たようなもんじゃないの?」
たしかに、両者とも羽ではなく皮膜で空を飛びますから、雰囲気は似て無くは無いですが・・・。でも、全然違うんですよ、ということで、その違いを御紹介しましょう。
○大きく異なる翼の骨格 |
まず当たり前ですが、翼竜は爬虫類、コウモリは哺乳類です。この点で大きく異なります。
さて、そうは言っても翼竜もコウモリも皮膜を指を使って張ることで、翼を形成しているので、その雰囲気は似ているかもしれません。でも外見的には、翼の骨の特徴が大きく異なっているのです。コウモリは5つの指を使うのに対し、翼竜は使う指は長い長い薬指しかありません。
つまり、翼竜の翼の外側は薬指しか無く、残りの親指、人差し指、中指は普通にカギヅメとして残っています。小指はありません。もちろん頭骨の形も違いますが、飛行形態の違いとして、一番わかりやすい違いはやはりこれだと思います。以下は、2008年に日本科学未来館で開催された「世界最大の翼竜展」でのパネルを撮影したものですが、こんなに翼の形は違うのです。
ちなみに、所長はそれでも「翼竜もコウモリも、同じ頃に”皮膜を翼とする”という、偶然に似たような滑空能力に進化したのかな?」と仰ったのですが、コウモリの起源は5000万年前(それ以前ははっきりせず、もう少し前になるかも?)、対して翼竜の起源は三畳紀という時代区分の中の、約2億2000万年前にまでさかのぼれますので、全然起源の時代が異なります。
さらに、特に大型の翼竜は翼を広げたまま滑空しますが、コウモリはパタパタと羽ばたきますから、飛び方も雰囲気もかなり異なります。ただ、翼竜も小型のものの場合は変な風で落っこちないためにも羽ばたくことがあったようです。そんなわけで、皮膜のある翼を持つ両者ですが、このように異なる部分が非常に多いわけです。
まあ、それでも共通点を見つけてみると、両者とも動物であるということ。
・・・スミマセン。
え〜、翼竜もコウモリも恒温動物である(可能性がある)」というものがあります。コウモリは哺乳類ですから、もちろん温血動物(周囲の温度に左右されることなく、自らの体温を一定に保てる動物)ですが、翼竜にも体温調節のためかもしれない血管が皮膜に通っているなどの特徴があり、恒温動物の可能性があるのです。あまり外見的には注目しづらいかもしれませんが、意外と大きな共通点かもしれません。
(執筆:馬藤永徳)