カメラについて語ってみる(10) 50mmレンズについて語ってみる

●はじめに
 少し早いですが、京都の紅葉の名所、東福寺に行ってきました。まぁ、予想通り、緑色の葉を残したままでしたが、もう一ヶ月もすれば、木と人の比率が逆転するので、今のうちに見に行っておこうと思ったのです。

 朝夕が寒く、外出するにも長袖を着るようになりました。風邪を引かずに、体調管理には十分注意しましょう。
さて、今回は、50mm単眼レンズについてです。ズームレンズが幅を利かせている今日この頃、単眼レンズは防湿庫の肥やしになってしまいがち。と言っても、ボクは単眼レンズが大好きなので、よく持ち出してはいますが。

 ですが、新製品で単眼レンズが出るということも、めったになくなりました。そこで、今回は単眼レンズ、しかも、50mm単眼について、少し話してみようと思います。

●再考 単眼50mm
 ボクの手元にある50mm単眼レンズを数えてみると、なんと8本もありました。CANONのEOS用レンズは、開放値の違いで3本あります。F1.4、F1.8、F1.0の三種類です。ライカスクリューマウント、通称Lマウントのレンズも三本あります。2本は沈胴、1本は普通のレンズで、沈胴式はF3.5、普通のレンズはF2.0です。それ以外にはPENTAX Kマウントの古い50mmF2.0と、CANON FDマウントでF1.4を持っています。

 50mmではないですが、MINOLTA ロッコール55mmF1.8というレンズもあります。

 50mmレンズは、昔から標準レンズと呼ばれてきました、これは、50mmが35mmフィルムの対角線長に近いからとか、ライカが50mmレンズをセットで販売したからなどと、いろいろな説があります。が、まぁ、そんなことは、あまり関係ありません。ボクが重要だと考えることは、
・明るいレンズが多い ・軽いレンズが多い
・昔から作られているので、ほぼ完璧なレンズが多い ということです。

●明るいレンズ
 ボクは、明るいレンズが大好きです。最新のAFカメラのファインダーは、ピント性能よりも明るさを重視したものが多いので、F値の大きい、暗いレンズでもあまり難がありませんが、それでも明るいレンズは気持ちいいですよ。

 明るいということは、ストロボを使わなくても屋内で撮影ができるということです。ボクは、前にも言ったと思いますが、極力ストロボを使わないようにしています。ですから、明るいレンズは必須アイテムなのです。
 
 次に、明るいレンズだと、被写界深度の関係で、ピントが合う範囲がとても狭いということ。たとえば、ボクの持っているレンズの中で一番明るい、CANON EF50mmF1.0では、2メートル先のメガネをかけた人物のメガネのフレームにピントを合わせると、目が完全にボケているという状況が生まれます。その分ピントがシビアになりますが、使うと面白いですよ。
 
●軽いレンズ
 最近のレンズにはプラスチックが使われたりして、とても軽いものが多いです。が、そこそこの描写をするズームレンズを選ぶと、どうしても400g近くなってしまいます。

 CANONの50mmF1.8を見てみると、質量は130gとなっています。軽いですね。F1.4になると290gです。通常のズームレンズ(EF28-105mmF3.5-4.5 U USM)の場合は375gです。ズームレンズで一番明るいEF24-70mmF2.8は950gと、ほぼ1キロ近いです。明るくて軽いレンズと言うことになると、単眼レンズの圧倒的勝利ですね。

●完璧なレンズ
 まぁ、これは、なにをもって完璧とするかで違ってくるので、どうしようもないですね。カラーバランスとか、収差とか、数値で表すことのできるものを見ても、まぁ、他の焦点距離のレンズよりも僅かに上回るレンズが多いという程度でしょう。とくに、現代のレンズはコンピューターで設計されているので、写りがひどいと言うレンズはないんですね(笑)。

 まぁ、明るく軽いレンズが完璧とすれば、一番バランスの取れたレンズが50mm単眼ではないかと、ボクは考えています。
50mmという焦点距離は、使いようによって、いろいろな写し方ができるんです。引いて撮れば広角のように、近くに寄れば望遠のように。こういった撮り方ができるのも、50mmレンズが標準と言われる所以かもしれませんね。

●50mmレンズを見てみる
 左側のレンズが、CANON EF50mm F1.0L USMです。右側はLマウントのJUPTER-8 50mmF2.0です。大きさが全然違いますね。マウントの違いと、F値の違いはありますが、これが同じ50mmのレンズです。

 これは、JUPTER-8 50mmF2.0と、CANON EF 35-70mmF3.5-4.5です。初期のAF世代のレンズなので、ズーム比は2倍です。今は、リニューアルされて一回り小さくなっています。焦点距離も28-105mmくらいになっています。
 

●50mmF1.0について
 はっきり言って、化物です。まぁ、値段も化物なのですが(笑)。メーカーにとっても化物だったようで、『作れば作るだけ損をする』と、CANONさんが言っていました(笑)。

 でも、凄いですよ。絞り開放で撮影するとAFでもピントが外れるし、フレアーが出やすいし、重たいし。ここら辺は50mmらしくないですが、F1.4以下のレンズの設計は、とても難しいそうです。CANONは、レンジファインダー時代に、CANON 50mm F0.95というレンズを作っているので、EOSシリーズの展開とともに、F1.0のレンズを出してきたんです。メーカーの意地ですね(笑)

 まぁ、CANON 50mm F0.95に関して言えば、F値の誤差許容値で誤魔化している部分が大きいのですが。ですから、実際はF0.95ではなく、F1.0以上だったようです。
 
●おわりに
 すみません。最後のあたりは自分のレンズ自慢です。でも、本当に写りはいいんですよ、50mmF1.0。今は、中古でしか手に入りませんが。中古でも、なかなか見つかりません。見つけたら、もう一本欲しいです。

 最近の、一眼レフ型デジカメとは、相性が悪いようです(レンズ後群が大きいため、CCDに対して直角に光が入らない)。まぁ、いずれにせよ、デジカメには手を出しそうにないので、関係ないですが(笑)。

 さて、せっかくなので、作例でも載せようと思ったのですが、ちょっと間に合いませんでした。また、別の機会にでも、載せようと思います。それでは、また。

棒