カメラについて語ってみる(13) 撮影スタイルについて語ってみる

●はじめに
 急に冷えてきました。今年は、残念ながら、あまり紅葉が美しくありません。冷夏と異常な残暑で、紅葉する前に、葉っぱが落ちてきています。

 紅葉の名所でもある東福寺には、まだ行っていませんが、例年ほどではないのではないかと思います。
 さて、11月6日から9日まで、山口県周南市美術博物館において、山口県高校総合文化祭が開催されました。今年は徳山高校が主催校でした。ちょうど実家に帰っていたため、私もいろいろとお手伝いさせていただきました。

 高校を卒業してから2年しかたっていませんが、作品を見てみると、すでに私が失ってしまった(?)斬新さといったものを感じ、とてもよい刺激になりました。 さて、今回は、撮影スタイルについて話してみようと思います。

● 撮影スタイル
 撮影スタイルといっても、『カジュアルに、スナップ』とか、『風景をどっしりと腰を落ち着けて』とかいったものではなく、カメラの形状に合わせて、アイレベル、ウェストレベルなどといった撮影スタイルのことです。

● アイレベル
 最近のカメラでは一般的というか、ほとんどがこのスタイルです。普通にファインダーをのぞいた姿です。一眼レフは、レンズを通した像を直接確認できるので、とても便利です(注:ファインダーとは、私たちがカメラを撮影するときに、被写体、つまり撮影対象物を見る部分のこと)。

 一昔前のフラグシップ35mm一眼レフMFカメラにはこのファインダーを交換して、ウェストレベルとしても使えるカメラがありましたが、最近は国産ではNikonのF一桁シリーズを除いて、すべてアイレベルで固定されています。

 また、中判一眼レフでは交換式がほとんどで、逆に固定式のほうが珍しいです。たとえば、PENTAXの645NUやマミヤ645AFDなどが固定式です。

 このアイレベルファインダーの利点は、上下左右が一致していることです。なにを当然のことをと言われるかもしれませんが、ウェストレベルファインダーでは左右逆像になってしまいます。アイレベルのカメラの開発、と言うよりも、それを可能にしたペンタプリズムの開発は、カメラ史上でもとても優れたものだったと思います。ミラーの反射を応用し、上下左右正像を可能にしたカメラもありましたが、ペンタ部分が、カメラボディと同じ位の大きさになり、また、ファインダーがとても暗かったため、それ以後製造されることはありませんでした。

 現在のカメラは、ペンタプリズムの代わりにペンタミラーと呼ばれるミラーを使った物もあります。いわゆる普及モデルにはこのタイプが多いのですが、欠点としてはファインダー視野率が下がってしまうと言うことです。ファインダー視野率というのは、フィルム面とファインダー面での大きさの違いのことです。普及モデルの多くは視野率約92%程度になっています。つまり、フィルム上には、ファインダーでのぞいた画像よりも周りの部分が約8%ほど写りこむということです。

 ネガフィルムを使った場合、同時プリントすることが多いと思いますが、同時プリントは画面の上下左右が約10%近くカットされます。そのため、ネガの同時プリントを前提としての撮影であれば、ほとんど問題ありません。

 リバーサルを使ったり、トリミング無しでフィルムをそのまま利用したいときは、視野率100%のカメラを使うことになります。各メーカーのフラグシップ機は、視野率100%を持っています。NikonのF一桁シリーズなどは、その開発当時から、視野率100%の交換式ファインダーをウリにしていました。

● ウェストレベル
 中判カメラに、このスタイルの物があります。と言うよりも、中判カメラは未だにファインダー交換式のものが多いので、ウェストレベルファインダーとアイレベルファインダーを交換できたりもするのですが、アイレベルファインダーは高価なので、ウェストレベルファインダーを使っていると言う人もわりといます。

 アイレベルの項でも書きましたが、ウェストレベルでは左右逆像になってしまいます。ふだん、アイレベルで慣れていると、最初は戸惑いますが、街角でのスナップや、スタジオ、三脚を用いた風景写真などでは、不便と感じることは少ないと思います。

 ハッセルブラドー(=ハッセルブラッド)や二眼レフを使っている方は、このスタイルが基本になると思います。
 個人的には、玄人っぽくて、なかなか好きなスタイルなのですが(笑)

● ノーファインダー
 目測による撮影です。一般的には、広角レンズを絞り込み、被写界深度を利用して撮影します。一眼レフであればせっかくのファインダーを使わないともったいないような気がしますが、スナップ撮影では、結構便利なのですよ。でも、やはり、レンジファインダーカメラでやることが多いですね。

 大体焦点距離35mm以下のレンズがいいと思います。それを超えると、ピント合せが難しくなると思います。
 また、ちょっとした裏技ですが、一脚を伸ばし、セルフタイマーを利用して頭上から見下ろしたように撮影することもあります。お祭りの時などに使うと面白いですよ。

● おわりに
 今回は、一般の撮影ではあまり関係のないような話題になってしまいました。最近、私の撮影は中判カメラが中心になってきたので、ファインダー交換式について、ちょっと書いてみたいということから始まったのですが、その間論文の発表などが急遽入ったりと忙しく、着手から2週間以上たってしまいました。

 それでは、感想などお待ちしています。また、カメラについての質問であれば、私のわかる範囲でお答えして行こうと思います。アドレスは yuhki7@soviet.biz です。

 それでは、また。

棒