カメラについて語ってみる(18) やっぱりCANON-F1を買って語る(中編1)

●はじめに
 師走ですね。先生も走りますが、先生に限らず走っています。忙しいです。睡眠時間を削っています。とりあえず、風邪は引いてないので大丈夫でしょう。
 
 さて、クリスマスも近づいてきて、街にはイルミネーションがあふれています。京都駅にも大きなクリスマスツリーが飾られました。ちょっと買い物に行っても、小さなツリーが飾ってあり、12月だなぁ、と今更ながら感じるようになりました。

 そして、さらに申し訳ありません。また文量が増えました。今回の「F-1について語ってみる」は全4回になりました。今回は中編その1ということでお送りします。

●F-1を使ってみる 〜その前に古いカメラの魅力〜
 さて、前回の続きです。その前に、まず、古いカメラの魅力をすこし。

 なぜ30年以上前のカメラで撮影するのか、時代はデジタルだし、新しいカメラを使ったほうがよく写るだろう、と言った意見も、時々耳にします。実際、私がF-1やNikon Fを首からかけて行きつけのカメラ屋さんに行くと、60代くらいの男性客が、『今時そんな古いカメラでは写真が撮れんだろう。新しいカメラを使わないとね。』と、自慢げに最新式の某メーカーのフラグシップデジタルカメラを見せてきました。

 確かに、最近のカメラは便利です。AF、AE(自動露出)は当然で、シャッターを押せば、ほぼ間違いなく写すことはできます。しかし、写真を撮ると言う行為の原点に戻ってみると、『フィルムやCCDなどの感光材料に、適当な光量を与える』だけのことです。

 ですから、ピント合わせや露出設定も、(多少慣れが必要ですが)自分でやればすむことです。最近のカメラは、それを自動化しているだけで、30年前のカメラであろうと、50年前のカメラであろうと、カメラである以上、経年変化などによる劣化や整備不良などがなければ、撮影には全く支障がないわけです。もっとも、店先で議論になっても面倒なので「そうですか〜」と、軽く流しましたが。

 さて、古いカメラでも撮影には支障がないと言いましたが、ピント設定、露出設定、すべて自分でしないといけないのは、やはり面倒です。しかし、そういった設定をしているあいだの作業が楽しい、と言うことが理解していただけるでしょうか。特にこの年代のカメラは一台一台、とても丁寧に作られています。内部は電気的に処理されていないので、ギヤやクランクが動いているのですが、ピントを合わせる行為、露出をあわせるためにシャッタースピードダイヤルを回す行為、絞りリングをまわす行為、フィルムを巻き上げる行為、それぞれにおいて、内部で精密に各パーツが働いていることを指先で感じる快感があるのです。

 さて、操作自体は面倒なのですが、それによる利点もあるのです。シャッターを一度切るためにしなければならない作業が多いため、結果的にその一コマに対して丁寧になります。また、自分で設定するために、その時のシャッタースピードやF値をよく覚えています。シャッタースピードとF値は、写真撮影において重要な要素です。自分が作品を作る時には、自分の露出データを基にしてシャッタースピードとF値を設定するのですが、露出データを作るためにはたくさん撮影して、経験を積むしかありません。

 ですから、このように覚えていることはとても有効なのです。初めは失敗が多いと思いますが、うまく撮れるようになった時の喜びは格別です。うまく写真が取れるようになると、さらにそのカメラに愛着が湧いてくるでしょう。

●おわりに
 今回はF-1の紹介をする前に、「なぜ古いカメラを使うのか」ということについて書いてみました。どれだけカメラが進歩しても、撮影者が『どのように表現したいか』という意図を持っていないと写真にならない、と言うことが伝わればよいのですが。

 さて、次回はようやく「CANON F-1」を使った感想に入ります。それと一緒に、すこし写真の基礎的なところも書きますので、楽しみにしていてください。

 それでは、写真に関する疑問・質問があればyuhki7se@hotmail.comまで。

 最後にF-1で撮影した写真を一枚。

Photo by Yuhki Nananose

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