カメラについて語ってみる(19) やっぱりCANON-F1を買って語る(中編2)
12月も後半分です。早いものですね。
と、他人事のようにいっていますが、僕も年末までにやっておかないといけない事がたくさんあります・・・。
それでは前回の続きを。ようやくCANON F-1の使用感想をお送りできます。
●F-1を使ってみる 〜その前に露出を解説しましょう〜 |
さて、修理から帰ってきたF-1を首からかけて撮影に出かけました。
テスト撮影なので、ポジフィルムを入れて、メーターの傾向を見ることにしました。F-1のメーターは中央部分測光式、つまり、全画面のうち中央の明るさを重点におき測光する方式です。
順光(被写体が正面から受けている光線状態)の風景などでは適正露出を得やすく、MF全盛の時代はよく用いられていました。しかし、逆光(被写体が後方から受けている光線状態)では露出補正(プラス補正)が必要になります。が、慣れれば楽に補正できるようになるので使いやすいです。
(1/1000 F16)
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(1/1000 F11)
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(1/1000 F8)
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少し専門的な話になります。上の例は55mmF1.2レンズを使用して、真ん中がメーター適正値(1/1000 F11)で、前後にそれぞれ絞りにより−1段補正、+1段補正したものです。−1段したことで、全体的な濃度が上がり、空と雲が美しく写ります。逆に+1段することで、画面の中で暗い部分(建物)が明るくなります。
上の例は逆光状態ではありますが、明部(画面中明るい部分)と暗部(画面中暗い部分)がほぼ二分の一で、画面横半分を切ったように配置されているため、中央部分測光ではわりと適正露出が得られるようです。逆にどちらかの割合が増えるとメーター値が大幅に狂ってしまいます。
さて、ここでは真ん中のメーター適正値でも悪くないのですが、それでは「悪くない」程度の写真にも見えてしまいます。そこで、「自分がどのように表現したいか」で露出値を決定したいところです。
(1) シルエットの形が美しく、ドラマティックに表現したい場合は−1段、
(2) 建物に重点を置き、その詳細を写したい場合は+1段、
と言った具合です。
なお、このような露出補正が有効なのはポジフィルムにおいてです。ネガフィルムでも多少の補正は効きますが、プリント時に自動補正されますので、適正露出に近くプリントされてしまいます。
さて、前にも書きましたが、この年代のマニュアルカメラはとても感触が良いのです。シャッターボタンを押し込んだ時、シャッターが切れる直前の瞬間を指先で感じることができるので、ギリギリのシャッターチャンスをとらえる事もできます。カメラの上部にシャッターダイヤルが配置されてるので、露出設定する時はまずシャッタースピードを決めておき、絞りダイヤルで調節するほうが楽です。
操作方法は一般的なMFカメラとかわりないので、操作方法がわからなくなるということもありません。オーバーホールしてもらったので、内部のギヤの調子もとてもスムーズに動き、操作していて気持ちがいいです。
ファインダーも見やすく、マニュアルでピントを合わせる楽しみが味わえます。
露出計のメーターはCdS素子というものを使っているために、応答速度が遅いという欠点があります。ですが、こういったMFカメラではメーターはちょっとした手助けのようなもので、実際は勘露出で、よほど正確な露出設定が必要な時には単独露出計を用いればよいのです。実際、メーターも修理工業で調整していただいているので、応答速度以外では問題ありません。もっとも、応答速度もあまり気にならないレベルなのですが。
総合的に、とても使いやすいカメラです。本体のみと50mmF2レンズだけで撮影に出かけても、十分戦力になりますし、フラグシップ機でありながらコンパクトにまとまっており、手の中に納まる感じは素敵です。
さて、以上CANON F-1の感想でした。
次回は最終回、F-1のアクセサリーシステムについて語ってみようと思います。60〜80年代のカメラは自分の使用目的に合わせてカメラパーツを組み合わせて使います。様々な撮影ジャンルのプロに合わせるために、撮影アクセサリーが開発されましたが、それが今、カメラマニア達を楽しませる一つの要素になっています。
それでは忙しい年末、体を壊さないように気をつけてください。良いお年を。