カメラについて語ってみる(21) アウトプットについて語ってみる
年が明けて、幾日か経ちました。僕も5日から早々と授業が再開し、忙しくも平凡な日常に戻りました。
さて、この連載でも、デジカメについて書いたり、展示の仕方について書いたりしましたが、今回はアウトプット、最終的な出力という意味で話をしてみようと思います。
アウトプット(出力)というと、一般的にはプリントがあがります。その後、第7回で話をしたような額装などをするわけですが、最終的にはこれが完成型といえるでしょう。しかし、他にもホームページやデジタルブックなどのメディアも一般化してきましたから、これらもアウトプットに含められるでしょう。
つまり、ここで言うアウトプットというのは「
第三者に対して提示できる表現形態」ということでまとめておきます。
前述したように、一般的にはプリント用紙なり印画紙への写真印刷が基本になると思います。ラボのサービスとしては、Tシャツ印刷や、マグカップ、皿などへの印刷もあります。
次に、DVDやPhotoCDなどの光学式メディアを利用したデジタルブック。プレーヤーでコマ送り(ページめくり)をしたり、TVなどの大画面でも見ることができます。また、ホームページなどの写真は、ディスプレイを通して不特定多数の人に見てもらうことができます。
このように、アウトプットの種類はたくさんあります。自分が第三者に対してどのように表現したいかというのが重要になってきます。
●
データ(フィルムとデジタルデータ)とアウトプット |
アウトプットを前提として考えた場合、それのもととなるデータなりフィルムなりの形態を決めないといけません。これはネガフィルム、ポジフィルム、デジタルデータ(JPEG、TIFF、BMP等)などの記録形式ということになります。各々の形式で、一応のアウトプットが決まりますので見てみましょう。
ネガフィルムの場合、ラボへ出してプリントです。または暗室で焼くという、昔ながらの方法も可能です。
フィルム読み取り機能の付いたスキャナーで読み込み、プリントすることも可能です。
ポジフィルムの場合、それ自体がアウトプットになりうるのですが、これもラボでのプリント、スキャナーで読み込みプリントです。ポジフィルムの本来の使い方からいくと、スライド映写機などでスクリーンに映し出すこともあります。
もちろん、ネガでもポジでも、データをデジタル化すれば、次のデジタルデータと同じです。
デジタルデータの場合、家庭用プリンターでのプリント、ラボでも簡単にプリントしてもらうことができます。または、そのままホームページへ載せることもできるし、CD-Rなどへ焼きこみ、PhotoCDを作ることもできます。その場合はディスプレイを通して見ることになります。
ネガフィルムはポジフィルムと比べて
ラチチュード(
第1回参照 露出許容範囲のこと)が広く、コントラストが低めであること。粒状性がよいため、高感度になっても粒々が見えにくいといった特徴があります。ポジフィルムはラチチュードは狭いが、コントラストが高く、また色再現性がよい。また、フィルム上に赤色が赤色で再現されているため、ネガフィルムと違い、直接見ることができます。
デジタルデータ(デジカメ)の場合は、パソコンなどを用いなければ、そのデータを確認することは出来ません。今のデジタルカメラの撮像素子(CCD、CMOS、LBCAST等)の特徴としてはダイナミックレンジ(ラチチュードのデジタル版)がネガフィルムに比べて狭く、コントラストがやや低いということが言えます。
しかし、これらは機種に依存しますので、昨年の冬に発売されたフジフィルムのFinePixS3Proなどは低感度と高感度の記録部分を分け、とても広いダイナミックレンジを持っています。
昨年6月にデジカメを購入して以来、デジタルカメラ(CANON EOS10D)での撮影が増えてきました。月毎の平均撮影枚数は1500コマ。36枚撮りフィルムに換算して約40本。これは、デジタル特有のダイナミックレンジの幅の狭さのせいで、段階露出(+補正、−補正)などをしながら撮影するためでもありますが、現像代がかからない、ファイリング(整理)が楽であるという理由で、撮影の時に一コマでも多く撮ろうと欲張ってしまうためです。
プリンターはEPSON PM-950Cです。プリンター自体は今では古い機種になってしまいましたが、丁寧にプリントアウトすれば額に入れて飾れるほどにはなります。しかし、空などを写したときは、空気感というか、透明感が足りないように思います。
デジカメで撮影した場合はプリンターで、フィルムで撮影した場合はラボでプリント注文という形をとっていましたが、僕は最近、ポジフィルムをスキャナーで読み取り、PC上でレタッチ、プリントアウトという方法が気に入ってます。
こうすることで、微妙な色調を調整できます。しかし、前述したように、プリンターでのプリントは、透明感が足りなくなります。また、ラボでプリントしてもらった時に比べるとシャープネスが低下します。レタッチソフトで修正は出来ますが、それにも限界がありますので、あえてそれを利用するくらいの気持ちで作品に仕上げることが重要になるでしょう。
デジタルについて第一回、第二回などでは、かなり否定的なことを言っていました。自分が現在使っていても、ある部分では否定的な意識がありますし、大切な写真はフィルムで撮影しています。何度も言っていることですが、フィルムは19世紀前半に発明されて以来の技術がありますが、デジタルはまだまだ発展途上にあります。
われわれは、表現のためのツールとして、フィルム、デジタルなどを使い分けていくことが大切でしょう。
さて、写真・カメラに関する質問・アドバイス・苦情・リクエストなど、お待ちしています。
宛先はyuhki7se@hotmail.comです。