カメラについて語ってみる(25) 『Nikon F2』について

●はじめに
 個人的な理由で、長らく更新していませんでした。申し訳ありません。そんな中、特にCanon F-1に関する質問をいただいて、中古カメラに関する興味関心が高いことを、改めて感じました。せっかくですので、Canon F-1と同世代のカメラ、Nikon F2も紹介してみようと思います。

●Nikon F2購入
 高校の頃、NikomartFTNというカメラを叔父から譲り受け使っていたこともあり、ニコンマウントのレンズが何本か手元にありました。ニコマート自体、非常に頑丈なカメラで、未だに故障もせず使っていますが、レンズがあると、つい本体も欲しくなる悪い癖で、東京に撮影の仕事が入ったのをいいことに、新宿にある中古カメラやを巡ってきました。その時Nikon Fを購入しました。フォトミックファインダー付きのモデルで、露出計不動のため、かなり安く購入しました。その後家に帰ってバッテリーチェックなどをすると、完動品であることが判明。このカメラも大切に使っています。

 さて、その後、中古カメラ熱もしばらく引いていたのですが、ネットオークションでパソコンパーツを買いあさっている途中、ついつい中古カメラにも目がいっていまい、モータードライブ付き、フォトミックファインダーのNikon F2を見つけてしまいました。その5日後、このF2が僕の手元に届いたのです。

(NikonF2とレンズ4本)

●Nikon F2について
 ニコンが満を帰して発売した初代Fは、非常に優れており、未だにニコン神話が語られるほどすばらしいカメラでした。日本の、いや世界のカメラを変えたと言っても過言ではないでしょう。当時、プロカメラマンはレンジファインダーを使っており、一眼レフはプロの間で使用されていませんでした。Nikon Fは、プロカメラマンに一眼レフを使わせるようになりました。

 さて、頑強で非常に優秀な初代Fでしたが、操作上の問題も色々ありました。まず裏蓋が完全取り外し式になっており、三脚などに固定したままのフィルム交換ができなかったこと。次に、シャッターボタンが軍幹部後ろ寄りに付けられていたこと。シャッター速度が2000分の1秒までアップされたこと。電源(バッテリー)が本体内蔵式になり、フォトミックファインダーが小型化されたこと。モータードライブが無調整で接続できるようになったこと。その他細かな点を徹底的にブラッシュアップして、FからF2へとモデルチェンジしました。

●ファームアップの功罪
 ボクのF2はフォトミックファインダーを装着していますので、正式にはNikon F2 Photpmicになります。


 当時、NikonF2にはクロームモデル(白)とブラックモデル(黒)の2種類がありました。ボクのはブラックモデルです。中古修理業者では再塗装を請け負っているところもあります。個人のオーダーではネイビーブルーとか、モスグリーンといったカラーにもしてくれるところがあるそうです。ボクは頭が固いのか、ブラックが一番かっこいいと思っていますが。


 上写真が前述のモータードライブつきのNikonF2です。単3電池10本も入れないといけないので機動性は落ちますが、そんな欠点を吹き飛ばすほどのかっこよさ。とりあえず、仕事で使う以外の趣味カメラは、自己満足できればそれでいいんですっ! 


 シャッターボタンが初代Fと比べて前寄りになったF2の軍幹部。ボクは使いやすいように、トールシャッターボタンを付けています。Nikonの純正のものですが、Leicaなどに使えるサードパーティー製のもの(シルバー)もあるので、気分で付け替えることもできます。


 シャッターダイヤルのT(=タイマー)との組み合わせで、最長10秒までの長時間露光ができるセルフタイマー。ただし、モータードライブ装着時は使えませんっ!

●使用感
 最強のフルメカニカルカメラと称されることもあるNikon F2ですが、操作感はとてもスムースで、手になじむ感があります。各部にガタツキもなく、精密感あふれています。さすがにデジタルカメラ主流の時代で、フルマニュアルの撮影は万人向けではありませんが、街中のスナップやゆっくりのんびりした散歩カメラには最適です。

 単体では作動音もそれほどではなく、スナップには適当です。MFカメラは全体的に小型で、大きさだけならエントリーモデルのAFカメラくらいです。

 しかし、モータードライブを装着すると、趣が一気に変わります。この時代のカメラはプロモデルはモータードライブが装着で来ることがひとつの要素でした。前モデルのNikon Fはモータードライブが準備されていたが、Nikonの窓口でボディとモータードライブを組み合わせるための調整が一台一台必要でした。これがNikon F2になって、無調整で取り付けることができるようになりました。

 ボクはF2に50mmレンズを基本に、35mmと135mmの二本をカメラケースに入れて、公園に猫の写真を撮りに行ったりします。何度も顔を合わせている野良猫だともう慣れているのですが、モータードライブの音が大きいので、シャッターを切るとビクつく猫も多いですね。また、レンズは残念ながら経年変化でコントラストが低下しています。


●おわりに
 最近では、カメラと言うと全てデジタルカメラのことをさすようになってきました。新製品の中には、売れるからという理由で"デジタル"と商品名につけただけの旧製品もあります。しかし、個人的には一昨年に比べてフィルムの使用量が増えてきました。一概にデジタルだから、フィルムだからという議論は、もう意味をなさないのかもしれません。自分の写真表現に適切なものを選択できる、すばらしい時代にあるといえるのではないでしょうか。

 今一番注目しているのは、PentaxのK10Dです。デジタルカメラでなければできないことは何か。それを体現したカメラではないでしょうか。過去のレンズシステムなどを大切にするとともに、デジタルだからできること、をアピールしてほしいと思います。

 それでは、またお会いする日まで。


2007年1月24日 梅小路公園のノラ猫を眺めながら
文責 七ノ瀬悠紀


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