ガンダムX(地球連邦軍試作型MS)
     GX-9900
●この機体について
 宇宙革命軍の「コロニー落とし作戦」を阻止すべく、旧地球連邦軍が第7次宇宙戦争において開発したMSで、一撃でコロニーですら破壊するサテライトキャノンを装備した、当時最強の機体。月面に設置され太陽発電システムと、スーパーマイクロウェーブと接続され、常時高出力を得ることが可能。さらにニュータイプにも対応しており、フラッシュビットシステムによる、無人機Gビットの遠隔操作が可能である。
 なお、テレビ本編から9年後(A.W.0024年)の世界を描く漫画『機動新世紀ガンダムX〜UNDER THE MOONLIGHT〜』にも登場。このときは黒く塗装された状態で、海からサルベージされている。
(解説&所蔵:八十八舞太郎)

●主な登場作品
 機動新世紀ガンダムX、機動新世紀ガンダムX〜UNDER THE MOONLIGHT〜

●八十八所員より
 ガンダムXは内容如何に関わらず、このガンダムXは非常に「扱いの悪い」作品と言われます。当時「エヴァンゲリオン」の大ヒットによって「大人の娯楽」としてのアニメが少しずつ広がりだし、大人の視聴に耐えうる、重厚で奥深い世界観を持つ作品が好まれるようになってきました。

 そんな中にあってガンダムXは典型的なボーイ・ミーツ・ガールという分かりやすい物語で、またそもそも「ガンダム」という名の作品に恋愛の要素を持ち込むということに抵抗を持つファンも多く(事実、「08小隊」についてもこの点で批判があったらしいです)、放送当初の評判は芳しくなかったそうです。

 加えて、現在のようにガンダムシリーズという作品の人気がバブル状態ではなかった為に実際の視聴率も伸び悩み、結局時間を変更させられた挙句歴代最短の話数で終了した…という曰くつきの作品になってしまったのです。(久し振りに復活した「ニュータイプ」という言葉に、独自の解釈を加えたことも旧来からのファンの反感を買ったそうですが)  とはいえ、作品自体に魅力がなかったわけではなく、むしろかなり取っ付き易い内容です。
 「少年少女の成長物語」という分かりやすい視点を持ち、時代背景は暗いけど陰惨なイメージは全く無い。
 (後になって気づいたんですけど、実はこの作品主要キャラに死者が出ないんですよね。
 最後の敵となるフロスト兄弟や、他作品なら決まって戦死する強化人間のカリスも最後まで生きています)

 それでいて、ニュータイプという言葉を用いた「古い人間に対する皮肉」など、考えさせる内容も織り込まれていて、当初の評価以上に奥の深い作品だと思っています。個人的には戦艦フリーデンの専属医師、テクス・ファーゼンバーグの含蓄のある言葉が大好き。 …でもまぁ、この作品を見た人に感想を聞くと、95%はこう返ってくるでしょう。

 で、多分というか全くもってそれは作品の内容を端的に表すものとして間違ってないと思います。 

 「ティファはガロードの嫁」 

 因みに、ガロードの服装が同じくサンライズ繋がりで前年放送されていた「黄金勇者ゴルドラン」の主人公の少年と、殆ど同じ…というのは有名な話。監督が同じなんですけどね。というわけで、今回は144分の1、HGで発売されたガンダムX。

▼ギャラリー

全身像
 ぐるりと全身像。やはり目立つのが背中のサテライトキャノン砲身。コンセプトは「刀を背負った佐々木小次郎」なんだとか。本体に貼り付けるシールは、お馴染みのカメラアイとセンサーのグリーンに加え、胸ダクトの黒と膝の赤部分。あと胸のグリーンの部分は、ホログラムシールを貼った上からクリアグリーンの外装を被せるようになっています。

 大きく色が欠けている部分はないので、気にならない人はシールだけで十分でしょう。手を加えるなら結構目立つ胸のブレストバルカンと、サテライトキャノン砲身に取り付けられたビームソードの色分けでしょうか。


武装1
 基本的にサテライトキャノンの運用を前提にしているので、その他の携行武装は最小限。メインのシールド・バスターライフルは、シールドと兼用される折りたたみ式ライフル。

 キットではシールド状態とライフル状態のものがそれぞれ一つずつ付属しています。縁の黒いラインはシール。ライフル状態で背中のバックパックに装着することも可能です。


武装2
 接近戦用の大型ビームソード。サテライトキャノンの砲身に一振りが装備されています。
 可動は一般的なHG程度。肘、膝が90°ほど曲がり、肩と股関節に前後スイング機構が内蔵。胴も若干前後に屈伸出来ます。付属品に平手がないのが若干不満。キャノンを支えるのに平手は必須だと思うのですが。


ホバーリングモード
 背部リフレクターを開いて、長時間巡航に向いたホバーリングモードに。
 リフレクターの銀色はホログラムシールで再現なのですが、今回は塗料の発色を確かめたいのであえて塗装。Mr.カラー「シャインシルバー」で塗装したのですがなかなかいい色合い。これで安心してクラースナヤが作れる…。
 バックパックにはオプションとしてショルダーバルカンが装備可能。


リフレクター展開
 頭の中であのBGMを流しながら作業することをおすすめします。サテライトシステムは、月の施設から供給されるスーパーマイクロウェーブを受信し、機体の稼働エネルギーとするシステム。

 このシステムを使うためには、一番最初にニュータイプの力を持つ者による認証登録が必要になります。逆に言えば、一度認証さえすれば誰でもこのシステムをその機体で扱えるようになるわけです。  ゲーム(特に「スーパーロボット大戦」)では毎回のようにティファが月の施設にアクセスしているのですが、本来は認証が必要なのは最初の一回だけで、本来は必要ない作業なんですよね。でもまぁそこは視聴者(&ガロードへの)サービスってことで。


砲身展開
 展開といっても、先端を少し伸ばしてグリップを出すだけですが。

 莫大なエネルギーを利用できるこのシステムですが、月から認証機体の間に障害物があると受信ができない、マイクロウェーブの到達までは若干のラグが生じる、動いたら受信出来なくなる、といった問題も抱えています。

 そのラグを利用して、湖の上でマイクロウェーブを受信開始、到達前にかわすことで湖面にマイクロウェーブを直撃させて水蒸気爆発を起こし、追っ手の目をくらませる、という芸当に用いたことも。15年前の戦争時は随所に中継衛星があったため、どこでもマイクロウェーブが受信できたそうです。



サテライトキャノン
 受信した莫大なマイクロウェーブのエネルギーを直接砲身から放つのがサテライトキャノン。これを運用するためにガンダムXは作られたわけです。このガンダム自体がマイクロウェーブのエネルギーを放つための「ガンダムの形をした砲身」のようなものと思えばいいでしょう。

 その破壊力たるや凄まじく、初撃ちではうっかりガロードが最大出力でぶっ放してしまったため、敵部隊が次々と「消滅」。
 事後にはガラス化した地面が残った…という凄まじい破壊力を見せつけています。明らかに出る作品を間違っている武装。というか、「大出力のエネルギー砲を放った反動で機体が後退or地面が抉れる描写を、機体の左後背中側から仰瞰する」という演出は、どう見ても勇者シリーズの同系列演出そのまんま。なので「勇者ガンダム」と称されたこともあったとか。

 個人的にはやはり平手が無いのが不満。



実はあまり使っていない
 そんな凄まじい破壊力であるが故に、実は劇中でこの武装を使ったというシーンは数えるほどしかありません。実際にサテライトキャノンを放った回数は、前述の初回を含めれば僅か3回。しかもその内の1回は、逃げるための推進力としてキャノンを利用しただけ。

 とはいえ、かつて15年前に世界が壊滅するきっかけとなったこの一撃、おいそれとは使えない…というスタンスが感じ取れます。
ゲームでもその張本人となったジャミルなんかは、使用時に躊躇うようなセリフがあることが多いです。
(そのくせ何発もバカスカ撃てたりするのはゲームの仕様上しょうがないことですけど)

 …サテライトキャノンだけが注目されるのですが、この機体の真の恐ろしさは「フラッシュシステム」を利用した無人機の遠隔操作でしょう。この無人機「Gビット」は、MSを宇宙世紀シリーズにおけるビットやファンネルと同じ要領で扱うというとてつもないもの。しかも、基本的には親機と同じ装備をしているので、このGビットも「サテライトキャノンを装備している」のです。

 一度に12機が扱える限界らしいので、最大13門のサテライトキャノンが同時発射出来るわけ。
(事実、昔の戦争の回想シーンで落下するコロニーを破壊するために、キャノンの斉射を行っているシーンがありました)
コロニーレーザー級ビーム×13の一斉掃射。そりゃあ恐怖の象徴と言われるのも無理はないか。

 …そういえば、劇中で戦いが続き、ガロードが戦いにかかりっぱなしになったためにティファが寂しがる…という話(第29話 <私を見て>)がありました。その中で、予知夢ではなく自分の願望としての夢をみる場面があるのですが、「後ろからガロードに抱きついて頬ずりをする」シーンはサテライト一斉掃射級の破壊力。

 「Gジェネレーションウォーズ」でもXは登場。通常使用可能なサテライトキャノンが装備されたおかげで、若干使い易くなっています。戦闘参加メンバーもいつもの通りなのですが、何を血迷ったかティファがMSパイロットとして使用できるという謎の仕様。しかも、経験値上昇アビリティで成長が早く、高覚醒値のわりにテンションが上がり切るのが速いので、(全体的に覚醒値の高いキャラはテンションの最大値が高く、最高の「超強気」に届くまでが長いのですが、この人だけ例外的に最大値が低いので、あっという間に超強気状態にもってけます)

 ファンネルなどの覚醒兵器持ちに乗せると、反撃だけで敵軍を壊滅させる撃墜女王になることができます。
 …私?ダブルオーライザー(今作最強ユニットの一角)に乗っけてますが?あと、立ち絵のグラフィックが他キャラと比べて明らかに可愛く描かれてる。何さこの優遇っぷり。因みにガロードは艦長してます。


▼おまけ〜墨入れ別パターン〜
 以前、簡単に出来上がりをよく見せるための「墨入れ」について書いたのですが、これには別の方法があります。
 そもそもマーカーを使った墨入れはマーカー色に依存してしまい、その色の種類も豊富とは言い難いです。様々な色で墨入れがしたい!という人のために、今回は塗料を用いての墨入れの方法を紹介します。


道具
 まずは以下の道具を用意します。いずれも玩具屋に行けば置いてあるものです。

 エナメル塗料&溶剤 
 筆(毛先ができるだけ細いもの)
 皿(塗料を受けるため)
 綿棒(仕上げ用。普通の綿棒でOK)

 一般的な塗料はアクリル系とエナメル系の2種類があるのですが、墨入れにはエナメル系の塗料を利用します。アクリル系の塗料は粘性が高く、墨入れのような「流し込む」作業には向いていません。溶剤もアクリル用とエナメル用の2種類あるので、必ずエナメル用のものを選んでください。

 まずは塗料を溶剤で溶かします。一般的に塗装の際は塗料:溶剤=1:1〜2くらいなのですが、墨入れの際は更に溶剤を追加します。最低でも塗料の5倍、まぁ10倍くらいまで入れてもいいでしょう。



入れてみる
 墨入れ用の塗料が用意できたら筆に含ませ、墨入れしたい箇所に筆の先端を軽くつけます。
 すると、毛細管現象によりモールドの部分に塗料がスッっと入っていきます。この光景はなかなか面白いです。当然、筆をつけた部分には余分な塗料が付着するのですが、これは作業後に溶剤を含ませた綿棒で拭き取れば問題ないです。

 ただし注意点があります。まず溶剤…つまりシンナーを用いるということで、換気には注意しなければなりません。エナメル塗料用のシンナーはガソリンのような臭いがし、アクリル用のものよりもかなりキツイ臭いです。また、エナメル塗料はアクリル塗料と比べて非常に浸透力が強く、プラスチックの隙間に簡単に入り込んでいきます。

 「下地を侵す」というのがこれで、当然その部分はもろくなって割れやすくなるわけです(ABS樹脂に塗装しないでください、と書いてあるのはその為)。なので力のかかりやすい部分、特に関節などにはこの方法は用いない方が良いでしょう。