0-1.[母音の長短]
ドイツ語の母音はどれも長短両方を表しうる。
0-1-1.[母音が短くなる場合]
後ろに二つ以上の子音を伴った場合、その母音は短い。
0-1-2.[母音が長くなる場合]
後ろに子音が二つ以上来ない場合、その母音は長い。また、直後にhを伴った母音、二重表記された母音は長い。
0-2.[二重母音]
ドイツ語の二重母音は、ai/ay,au,äu,ei/ey,euの5つである。
0-3.[有声破裂音の無声化]
無声子音s,tの直前、及び語尾において、有声子音b,d,gは無声化する。
0-4.[重子音]
ks,pf,tsは重子音である。従って分けて発音することは出来ない。
規則の最初に書いてある数字はアルファベットに対応します。つまり1はa、2はb、……。
1.[a]
1'.[ä]
äは開いたエで発音される。
1'-1.[äu]
äuはオイと発音する。
2.[b]
3.[c]
cは[ts]で発音する。
3-0-1.[cの例外]
外来語では[k]や[s]で発音されることもある。
3-1.[ch]
chは[x]または[ç]。母音a,o,u,auの後では[x]が、それ以外では[ç]が現れる。
3-1-1.[chの例外]
外来語では[k]や[sh]で発音されることもある。
3-2.[chs]
chsは[ks]と発音する。
3-3.[ck]
kを重ねるとき、前のkをcで表記してckと書く。これは見栄えの問題である。
4.[d]
5.[e]
5-0-1.[曖昧母音e]
語尾のeは曖昧に発音される。
5-1.[ei/ey]
ei/eyは「アイ」と発音する。
5-2.[er]
rが母音化し、「エア」とか「アー」と読まれる。
5-3.[eu]
オイと発音する。
6.[f]
7.[g]
7-0.[gの例外]
外来語ではジュと発音されることがある。
7-1.[-ig]
iの後ろでgは[ç]という発音になる。つまり[-ig]で「〜イヒ」である。
8.[h]
hが母音の直後に来たとき、hは発音しない。そして直前の母音は長くなる。
9.[i]
9-1.[ie/ieh]
イーと発音する。
9-1-1.[ieの例外]
外来語でアクセントのない語末音節で現れたときには母音イと曖昧母音である。
10.[j]
ヤ行子音で発音される。
11.[k]
12.[l]
13.[m]
14.[n]
14-1.[nk/ng]
nは喉音k,gの前で喉音[ng]化する。
15.[o]
15'.[ö]
前舌円唇母音[φ]である。
16.[p]
16-1.[pf]
pfは二重子音であり、分けることは出来ない。
16-2.[ph]
[f]で発音する。
17.[q]
単独で用いず、必ず後ろにuを伴う。
17-1.[qu]
[kv]と発音する。
18.[r]
語末では母音化し、「ア」に似た音で発音される。
18-1.[rh]
rhはrと同様の発音をする。
19.[s]
語頭で母音の前にある場合、及び母音に挟まれている場合には[z]、それ以外は[s]で発音する。
19-1.[sch]
シュ、つまり英語のshと同じ発音。
19-2.[st/sp-]
語頭でt及びpの前のsはシュと発音する。
19-3.[ss/ß]
ßはssと同様、[s]と発音する。しかしssは二重子音と見なし、ßは単子音と見なす(つまり直前の母音が長いか短いかに関わってくる。旧正書法では直前の母音が短くても子音がssだけではないとき、つまりsを二重に書かなくとも短いことが示せるときはßと表記したが、新正書法では直前が長ければß、短ければssと改められた。)
20.[t]
20-1.[th]
thはtと同様の発音をする。
20-2.[ti]
外来語由来のtiは[tsi]と発音する。
20-3.[ts/tz]
ツと発音する。破擦音であり、分けることは出来ない。
20-4.[tsch]
t+schなのでチュ、つまり英語のchと同じ発音をする。
21.[u]
21'.[ü]
前舌円唇母音[y]。
22.[v]
[f]と発音する場合も[v]と発音する場合もある。
23.[w]
[v]で発音する。
24.[x]
[ks]と発音する。
25.[y]
üに同じ。
26.[z]
破擦音tsで読む。