色にまつわる言葉あれこれ

○「色」とは何だ?

『デジタル大辞泉』(小学館)
1 @光の波長の違い(色相)によって目の受ける種々の感じ。原色のほか、それらの中間色があり、また、明るさ(明度)や鮮やかさ(彩度)によっても異なって感じる。色彩。「―が薄い」
「暗い―」「落ち着いた―」
 A染料。絵の具。「―を塗る」「―がさめる」
 B印刷・写真で、白・黒以外の色彩。「―刷り」


2 人の肌の色。人の顔の色つや。「抜けるように―の白い人」

3 @表情としての顔色。「驚きの―が見える」「不満が―に出る」
  A目つき。目の光。「目の―を変えて怒りだす」

4 @それらしい態度・そぶり。「反省の―が見られない」
  Aそれらしく感じられる趣・気配。「秋の―の感じられる昨今」「敗北の―が濃い」
 B愛想。「―よい返事」


5 (「種」とも書く)種類。「―とりどり」「三(み)―選び出す」


6 華やかさ。華美。「大会に―をそえる」


7 音・声などの響き。調子。「琴の音(ね)の―」「声(こわ)―」


8 @情事。色事。「―を好む」「―に溺れる」
  A女性の美しい容貌。「―に迷う」
  B情人。恋人。いい人。「―をつくる」

9 古代・中世、位階によって定められた衣服の色。特に、禁色(きんじき)。
 「昔、公おぼして使う給ふ女の、―許されたるありけり」〈伊勢・六五〉

10 喪服のねずみ色。にび色。「女房なども、かの御形見の―変へぬもあり」〈源・幻〉

11 婚礼や葬式のとき上に着る白衣。「葬礼に―を着て供して見せ」〈浄・博多小女郎〉

12 人情。情愛。 「東人(あづまうど)は…げには心の―なく、情おくれ」〈徒然・一四一〉


大辞林 第二版 (三省堂)
1 光による視神経の刺激が脳の視覚中枢に伝えられて生ずる感覚。色相(色あい)・明度(明るさ)・彩度(あざやかさ)の三属性によって表される。また、特に白や黒を除いていう場合もある。色彩。
「海の―」「明るい―」「いい―に上がる」


2 物の表面に表れている、そのものの状態。
 (ア)顔色。また、表情。
  「―に出る」「―をなす」「―を変えて怒る」
 (イ)様子。情趣。
  「―を添える」「秋の―が深まる」
 (ウ)(声などの)調子・響き。
  「声(こわ)―」「音(ね)―」
 (エ)きざし。
  「あせりの―が見える」「敗戦の―が濃い」
 (オ)心のやさしさ。情愛。
  「心の―なく、情おくれ/徒然 141」
 (カ)容姿。姿。
  「傍への―異なる人を御覧じても/太平記 18」


3 男女の情愛に関する物事。
 (ア)男女間の情事・恋愛。
 「英雄―を好む」「―の道に通ずる」「―を売る」
 (イ)情人。恋人。
 (ウ)遊女。
 (エ)遊里。


4 特定の色彩に関するもの。
 (ア)禁色(きんじき)。
  「女の―許されたるありけり/伊勢 65」
 (イ)白色の喪服。
  「葬礼に―を着て供して見せ/浄瑠璃・博多小女郎(中)」


5 種類。
 「―とりどり」「目に見ゆる鳥けだ物、―をもきらはず殺し食へば/宇津保(俊蔭)」


○「赤」とは何だ?
『デジタル大辞泉』(小学館)
1 色の名。三原色の一つで、新鮮な血のような色。また、その系統に属する緋(ひ)・紅・朱・茶・桃色などの総称。
2 《赤ペンで直すところから》校正・添削の文字や記号。赤字。「―を入れる」
3 《革命旗が赤色であるところから》共産主義・共産主義者の俗称
4 (「あかの」の形で)全くの、明らかな、の意を表す。「―の他人」「―の嘘」
5 「赤信号」の略。
「赤字」の略
7 「赤短(あかたん)」の略。
8 「赤味噌(あかみそ)」の略。
9 《「あかがね」の略》銅。
10 「赤米(あかごめ)」の略。
11 赤小豆(あかあずき)をいう女房詞。あかあか。

大辞林 第二版 (三省堂)
1 色の名。
 (ア)三原色の一。血のような色。
 (イ)桃色・橙(だいだい)色・あずき色・茶色など、赤系統の色の総称。

2赤信号。⇔青 「―で停止する」

3〔旗の色が赤色であるところから〕共産主義・共産主義者の俗称。

4(「赤の」の形で)明白であること。疑う余地のないこと。
「―の素人(しろうと)」「―の嘘(うそ)」

5「赤字」の略。「決算は―だ」

6〔もと女房詞〕あずき。「―の御飯」

7「赤短(あかたん)」の略。

8 紅白に分けた組で、赤組の方。「―勝て白勝て」

9 「赤米(あかごめ)」の略。  「食は―まじりの古臭いをすつくりと炊かせ/浄瑠璃・宵庚申(上)」


○「青」とは何だ?

『デジタル大辞泉』(小学館)
1 色の名。三原色の一つで、晴れた空のような色。藍(あい)系統の色から、黄みを加えた緑系統の色までを総称する。また、公家の染織衣服や襲(かさね)の色目では、緑色を意味する。
2 馬の毛色で、青みがかったつやのある黒。また、その馬。「―に乗って、峠を越すと」〈漱石・草枕〉
3 「青信号」の略。
4 「青短(あおたん)」の略。


大辞林 第二版 (三省堂)
1 色の名。
  (ア)三原色の一。よく晴れた日の空の色。
  (イ)藍(あい)・緑・水色など、青系統の色の総称。
   「―田」「―葉」「―海原」
2 青信号。⇔赤「―で渡る」
3 馬の、青みがかった黒い毛色。また、その毛色の馬。馬一般についてもいう。あおげ。
4 カルタ用語
  (ア)「青短(あおたん)」の略。
  (イ)天正カルタの青札。
5「青本(あおほん)」の略。
6「青銭(あおせん)」の略。〔古くは、青・緑のほか、蒼白や灰色をも含めていった〕

○「黄」とは何だ?

『デジタル大辞泉』(小学館)
色の名。三原色の一つで、菜の花、ゆで卵の黄身などのような色。きいろ。イエロー。


大辞林 第二版 (三省堂)
色の名。絵の具、印刷インクなどの三原色の一。また、虹の七色の一。菜の花や向日葵(ひまわり)の花の色。きいろ。

 

○「緑」とは何だ?

『デジタル大辞泉』(小学館)
《元来、新芽の意で、そこから色名に転じたといわれる》
1 色の名。青と黄色の中間色
 @草木の葉の色。また、草木。特に新緑のころのものをいう。「一面の―」《季 夏》「満目の―に坐る主かな/虚子」
 A海水のような深い藍色。碧(へき)。「―の大海原(うなばら)」
 B黒くつややかな色。多く毛髪にいう。→緑の黒髪

2 新芽。特に、松の新芽。若緑。松の芯。


大辞林 第二版 (三省堂)
1 色の名。光の三原色の一。青色と黄色との中間の色。春・夏の木の葉や草の色。古くは、緑色から青色に至る広い範囲の色をさした。みどりいろ。「木々の―」

2 緑色の木や草。新緑をいうことが多い。[季]夏。 「―の季節」「―滴る野山」

3 緑色の草木、植物。転じて、自然。「―豊かな土地」「―を守れ」


○「白」とは何だ?

『デジタル大辞泉』(小学館)
1 雪のような色。物がすべての光線を一様に反射することによって、目に感じられる色。「―のワイシャツ」
2 碁石の白いほうの石。また、白い石を持つほう。⇔黒。
3 紅白試合などで、白い色をしるしにするほうの側。「赤勝て、―勝て」
4 何も書き入れてないこと。また、そこに何も印刷してないこと。空白。「答案用紙はまだ―だ」
5 犯罪の事実がないものと認められること。また、その人。潔白。無罪。「筆跡鑑定から―と出た」⇔黒。
6 ブタの腸管を串ざしにしたもので焼き鳥の一種


大辞林 第二版 (三省堂)
1 色の名。太陽の光線を全部反射したときに感じられる色。雪のような色。「―のネクタイ」
2 犯罪の容疑がないこと。潔白。無罪。⇔黒   「容疑者は―と断定された」
3 白い碁石。また、それを持って打つ方。後手。⇔黒
4 紅白に分けた組で、白組の方。 「赤勝て―勝て」
5 何も書き入れてないこと。 「答案を―で出す」


○「黒」とは何だ?

『デジタル大辞泉』(小学館)
1 色の名。墨・木炭のような色。黒色。「―のセーター」
2 黒い碁石。また、それを持つほう。先手。「―が三目の勝ち」⇔白。
3 犯罪などの容疑が濃いこと。「状況証拠では―だ」「判定は―と出る」⇔白。
4 「黒字」の略。


大辞林 第二版 (三省堂)
1 色の名。光を最も多く吸収し、視覚に刺激を与えることの少ない、暗い色。墨・木炭のような色。
「―のスーツ」
2 黒い碁石。また、それを持って打つ方。先手。⇔白   「中盤戦では―が優勢」
3 犯罪の容疑があること。⇔白   「警察はその男を―とみている」


棒