酒の種類に関するあれこれ

○「酒」とは何だ?

『デジタル大辞泉』(小学館)
エチルアルコールを含んだ飲料の総称。製造法から、醸造酒・蒸留酒・混成酒に大別され、また、原料の違いによって世界中に多くの種類がある。
2 清酒の通称。外国でもSAKEで通用する。「辛口の―を好む」
3 酒を飲むこと。飲む度合いや飲み方についていう。「―が強い」「あの人はいい―だ」
4 酒盛り。酒宴。「―の席」

大辞林 第二版 (三省堂)
(1)白米を蒸して、麹(こうじ)と水を加えて醸造した飲料。清酒と濁酒とがある。日本酒。

(2)酒精分を含み、人を酔わせる飲料の総称。日本酒・ウイスキー・ウオツカ・ワインなど。
「―を飲む」「―に酔う」「―がまわる」

(3)酒を飲むこと。 「―の席」


*所長注:2つの辞書で意外と表現が異なっており、それぞれ参考になりますね。
それでは、酒税法の「酒類」の定義を見ましょう。

第二条  この法律において「酒類」とは、アルコール分一度以上の飲料(薄めてアルコール分一度以上の飲料とすることができるもの(アルコール分が九十度以上のアルコールのうち、第七条第一項の規定による酒類の製造免許を受けた者が酒類の原料として当該製造免許を受けた製造場において製造するもの以外のものを除く。)又は溶解してアルコール分一度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含む。)をいう。
2  酒類は、発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類及び混成酒類の四種類に分類する。

*所長注:色々補足がわかり難く連なっていますが、とにかく一部例外を除きアルコール分1度以上ということです。

○「ビール」とは何だ?

『デジタル大辞泉』(小学館)
オオムギの麦芽を粉にして水とともに加熱した糖化液に、ホップを加えてアルコール発酵させた醸造酒。ホップによる苦味と、含んでいる炭酸ガスによる泡立ちが特徴。ビヤ。ビア。《季 夏》「なまなかの雨のあつしや―のむ/万太郎」

大辞林 第二版 (三省堂)
麦芽を原料としてつくる苦みのあるアルコール飲料。麦芽(主に大麦)の糖化液にホップを加えて低温で発酵させ、発生した炭酸ガスを混和したもの。[季]夏。

酒税法第三条十二  ビール 
次に掲げる酒類でアルコール分が二十度未満のものをいう。
イ 麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの
ロ 麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の百分の五十を超えないものに限る。)

○「発泡酒」とは何だ?

『デジタル大辞泉』(小学館)
1 炭酸ガスを含んだ酒。シャンパンなどのスパークリングワインをさすことが多い。
2 酒税法で、麦芽を原料の一部とした酒類で発泡性を有するもの。→ビール系飲料

大辞林 第二版 (三省堂)

(1)スパークリング-ワイン。

(2)酒税法で、麦芽を原料の一部とした酒類で発泡性のある雑酒。

酒税法第三条十八 発泡酒
麦芽又は麦を原料の一部とした酒類(第七号から前号までに掲げる酒類及び麦芽又は麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留したものを原料の一部としたものを除く。)で発泡性を有するものアルコール分が二十度未満のものに限る。)をいう。


○「第三のビール」とは何だ?

『デジタル大辞泉』(小学館)
原料に麦芽を使用したビールや発泡酒に対し、麦芽以外の原料を使用したり、別種のアルコール飲料を発泡酒に加えるなどしてつくられたアルコール飲料の通称。ビールと区別するため「新ジャンル」とも呼ばれる。

麦芽や麦の代わりに大豆や小麦、トウモロコシなどを原材料として使うものが多く、風味やのどごし、アルコール度数など多様な種類がある。当初、酒税法上のビールの類に属さないため税率が低く、安価で販売されたが、平成18年(2006)の酒税法改正で酒類の分類が再編され、酒税が引き上げられた。その他の発泡性酒類。

大辞林 第二版 (三省堂)
*掲載無し

酒税法では「その他の発泡性酒類」として分類されています。

 

○「ワイン」(ぶどう酒)とは何だ?

『デジタル大辞泉』(小学館)
ブドウの実をつぶしたもの、または果汁をアルコール発酵させてつくった醸造酒。赤・白・ロゼ(薄紅)に分けられる。

赤ワイン(赤ぶどう酒)
皮の色の濃いブドウを果皮・種子ごとつぶして発酵させてつくった、赤色で酸味と渋みのある葡萄酒。赤ワイン。バンルージュ。

白ワイン(白ぶどう酒)
透明な淡黄色の葡萄酒。主に色の淡いブドウの実を用いて果汁を絞り、発酵させてつくる。白ワイン。バンブラン。

ロゼ
《ばら色の、の意》淡紅色の葡萄酒(ぶどうしゅ)。赤葡萄酒と同様に仕込んでから、白葡萄酒のように果汁のみを発酵させて造る。ロゼワイン。バンロゼ。

大辞林 第二版 (三省堂)
葡萄の果実または果汁を発酵させた醸造酒。紀元前三、四千年の頃からある最古の酒といわれ、宗教との結びつきも強い。原料の葡萄の種類によって製法・味・色などが異なるが、普通、赤・白・ロゼに大別する。ワイン。


赤ワイン(赤ぶどう酒)
赤色の葡萄酒。濃色種のブドウを果皮ごと破砕して発酵させ、のち皮・種子を除いて熟成させたもの。赤ワイン。


白ワイン(白ぶどう酒)
透明に近い淡色の葡萄酒。果皮やその他のしぼりかすを除いた果汁を発酵させたもの。白ワイン。

酒税法第三条十三 果実酒
次に掲げる酒類でアルコール分が二十度未満のもの(ロからニまでに掲げるものについては、アルコール分が十五度以上のものその他政令で定めるものを除く。)をいう。
イ 果実又は果実及び水を原料として発酵させたもの
ロ 果実又は果実及び水に糖類(政令で定めるものに限る。ハ及びニにおいて同じ。)を加えて発酵させたもの
ハ イ又はロに掲げる酒類に糖類を加えて発酵させたもの
ニ イからハまでに掲げる酒類にブランデー、アルコール若しくは政令で定めるスピリッツ(以下この号並びに次号ハ及びニにおいて「ブランデー等」という。)又は糖類、香味料若しくは水を加えたもの(ブランデー等を加えたものについては、当該ブランデー等のアルコール分の総量(既に加えたブランデー等があるときは、そのブランデー等のアルコール分の総量を加えた数量。次号ハにおいて同じ。)が当該ブランデー等を加えた後の酒類のアルコール分の総量の百分の十を超えないものに限る。)


○「ウイスキー」とは何だ?

『デジタル大辞泉』(小学館)
大麦・ライ麦などの麦芽を発酵させ、蒸留してつくる酒。12世紀ごろアイルランド地方で初めてつくられた。麦芽のみのモルトウイスキーや、トウモロコシやライ麦などを用いるグレーンウイスキー、およびそれらを混合したブレンデッドウイスキーなどがある。

[補説]語源はアイルランド語で、命の水の意

大辞林 第二版 (三省堂)
大麦・ライ麦・トウモロコシなどを麦芽の酵素で糖化し、これに酵母を加えて発酵させたのち、蒸留してつくる洋酒。樫(かし)や楢(なら)の樽(たる)に詰めて熟成させる。イギリスのスコットランド産のものがスコッチ-ウイスキーとして有名。日本には一九世紀半ばに伝えられた。


酒税法第三条十五  ウイスキー
次に掲げる酒類(イ又はロに掲げるものについては、第九号ロからニまでに掲げるものに該当するものを除く。)をいう。
イ 発芽させた穀類及び水を原料として糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る。)
ロ 発芽させた穀類及び水によつて穀類を糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る。)
ハ イ又はロに掲げる酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの(イ又はロに掲げる酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の百分の十以上のものに限る。)

○「ブランデー」とは何だ?

『デジタル大辞泉』(小学館)
果実酒、ぶどう酒を蒸留し、貯蔵熟成した洋酒。アルコール分40〜45パーセント。フランスのコニャックなど。

大辞林 第二版 (三省堂)
果実から作った蒸留酒の総称。普通は葡萄(ぶどう)酒を蒸留したもの。アルコール含量40パーセント以上。樽に詰めて醸成する年数によって階級が分かれる。コニャックなど。


酒税法第三条十六 ブランデー
次に掲げる酒類(イに掲げるものについては、第九号ロからニまでに掲げるものに該当するものを除く。)をいう。
イ 果実若しくは果実及び水を原料として発酵させたアルコール含有物又は果実酒(果実酒かすを含む。)を蒸留したもの(当該アルコール含有物又は果実酒の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る。)
ロ イに掲げる酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの(イに掲げる酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の百分の十以上のものに限る。)

○「サワー」とは何だ?

『デジタル大辞泉』(小学館)

《酸っぱい、の意》
1 酸味のある飲料や食品。「―ミルク」
2 ウイスキー・ブランデー・焼酎(しょうちゅう)などにレモンやライムを加えたもの。日本では、これをさらに炭酸水で割ったものを指すことが多い。

大辞林 第二版 (三省堂)
〔酸っぱい、の意〕

(1)カクテルの一種。ウイスキー・ジンなどにレモン・ライムなどのジュースを入れて酸味をもたせたもの。
「ウイスキー-―」

(2)乳酸などを用いた酸味のある飲み物。


○「カクテル」とは何だ?

『デジタル大辞泉』(小学館)
《「コクテール」とも》
1 ウイスキー・ブランデー・ジンなどの洋酒に、果汁・ビタース・シロップ・香料などを加え、氷を入れて混ぜた飲み物。混合酒。
2 オードブルの一。果物・野菜・エビ・カニなどをカクテルグラスに盛り合わせ、カクテルソースをかけたもの。
種類の異なる物がまじり合って渾然(こんぜん)としているもの。「光と音楽の―」カクテルグラス

大辞林 第二版 (三省堂)
(1)ウイスキー・ブランデー・ジン・ウオツカなどアルコール度の高い蒸留酒をベースとし、リキュール・シロップ・果汁・香料などを混合し氷を加えて作った飲み物。アメリカで始まった。混合酒。コクテール。 「―-グラス」

(2)いろいろなものが混じり合ったもの。 「フルーツ-―」

(3)オードブルの一種。エビ・カニ・カキなどをカクテル-ソースであえ、カクテル-グラスに盛ったもの。コクテール。

○「焼酎」とは何だ?

『デジタル大辞泉』(小学館)
日本固有の蒸留酒。酒かす・みりんかすを蒸留したものと、穀類やサツマイモを発酵させたもろみを蒸留したものとがある。アルコール分20〜50パーセント。米焼酎・芋焼酎・麦焼酎・泡盛など多くの種類がある。
[補説]酒税法では、連続式蒸留機で蒸留した甲類と、単式蒸留機で蒸留した乙類に分類される。
*スミマセン、酒税法での規定は長すぎるので省略しますが、大辞泉ではこうなっています。

甲種焼酎
焼酎の種別の一。連続式蒸留機で蒸留した高純度のアルコールに水を加え、度数を調節したもの。そのまま飲むほか、無色透明でくせがないため酎ハイや梅酒などに向く。焼酎甲類。ホワイトリカー。

乙種焼酎
焼酎の種別の一。単式蒸留機で1回だけ蒸留した焼酎。芋や麦、蕎麦など原料の風味が残るのが特徴で、九州・沖縄地方での伝統的な焼酎の製法。泡盛もこれに分類される。焼酎乙類。本格焼酎。

*さて、焼酎に話を戻しまして。
大辞林 第二版 (三省堂)
蒸留酒の一。穀類・芋類・糖蜜などをアルコール発酵させ、それを蒸留してつくった酒。一般に、アルコール分が強い。[季]夏。

○「リキュール」とは何だ?

『デジタル大辞泉』(小学館)
アルコールや蒸留酒に、糖分・果実エキス・香料などを加えた混成酒。フランスが本場。キュラソー・ペパーミント・ベルモットなどがあり、ディジェスチフやカクテルの材料とする。

大辞林 第二版 (三省堂)
混成酒の一。アルコールまたはブランデーに砂糖・植物香料などを加えて作ったもの。アブサン・キュラソー・ペパーミントなど。


酒税法第三条二十一  リキュール
酒類と糖類その他の物品(酒類を含む。)を原料とした酒類でエキス分が二度以上のもの(第七号から第十九号までに掲げる酒類、前条第一項に規定する溶解してアルコール分一度以上の飲料とすることができる粉末状のもの及びその性状がみりんに類似する酒類として政令で定めるものを除く。)をいう。

棒