正念場

○意味

しょうねん ば 正念場/性念場 シヤウネン

1 歌舞伎・人形浄瑠璃などで、1曲・1場の最も大切な見せ場。性根場(しょうねば)。
2 真価を表すべき最も大事なところ。ここぞという大切な場面。「交渉は―を迎える」

(デジタル大辞泉(小学館))

○解説


 「ここが正念場だ!」という感じで、まさにここ一番の場面のことを正念場と言いますが、元々は歌舞伎用語。歌舞伎では役の本心、心底を表現する大切な場面のことを「性根場(しょうねば)」といい、これが正念場の語源です。(参考:歌舞伎から生まれた言葉/国立音楽大学附属図書館広報委員会 2007年)

 さらに、元をたどると仏教用語である「正念」が語源です。
 正念とは・・・。
1.仏語。八正道の一。物事の本質をあるがままに心にとどめ、常に真理を求める心を忘れないこと。正しい思念。
2.極楽往生を信じて疑わないこと。一心に念仏すること。
3.雑念を去った安らかな心。
「十方の仏を礼し奉り―にして慈氏菩薩を念じ奉り給ふ間」〈今昔・六〉
4.本心。正気。
「其の後狂気、―を失ふが如しと云々」〈明月記〉
(デジタル大辞泉(小学館))

八正道とは、修行の基本となる8種の実践徳目で、正見・正思惟(しょうしゆい)・正語・正業・正命・正精進・正念・正定(しょうじょう)のことです。正念場とは、それだけ重要な場面ということですね。

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