楽屋
○意味
1 劇場・寄席などの舞台の裏にあって、出演者が出演の支度をしたり休息したりする部屋。2 物事の裏。内情。内幕(うちまく)。楽屋裏。
「奈何(どう)だい、商人(あきんど)の―は驚いたもんだろう」〈魯庵・社会百面相〉
3 雅楽で、楽人が奏楽する所。
(デジタル大辞泉(小学館))
劇場の舞台の幕からうしろの部分。俳優,衣装方,大道具方,小道具方,その他実際の上演にたずさわる舞台関係者のいる部分全体をさすが,特に化粧や着付けなど出演の支度をしたり,出番の前後の時間に休息したりする,俳優の控室をいうことが多い。
日本では、本来神楽、舞楽の楽人が楽を奏したり、舞人が装束を着用したり出を待ったりするところをさした。多くは舞台の背後を幕で仕切ったもので,神聖な場所とされた。その後歌舞伎の確立に従って,立役,女方,頭取,狂言作者,床山,大道具,小道具など,職掌別あるいは地位の上下によって部屋が分けられるようになった。今日でも端役の俳優を「大部屋」というなどその名残りがみられる。
(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)
劇場または芸能の演じられる場所で、演技者、演奏者など舞台の関係者が準備をしたり、休息したりするための施設をいう。この名称は、舞楽(ぶがく)において、楽人(がくにん)が舞台の後方の幕の内で楽を演奏した場所を「楽之屋(がくのや)」とよんだことに始まる。幕や屏風(びょうぶ)で間仕切りをして、一方で舞人が装束を着けたり、休息したりするためにも用いられた。これが後世の能や歌舞伎(かぶき)に引き継がれ、劇場構造の整備とともに独特の構造を備えるようになり、さまざまなしきたりをもつようになった。
(日本大百科全書(ニッポニカ) ※一部抜粋)
○解説
今は出演者の控室として使われている「楽屋」。そもそも何が「楽」なのかと調べると、雅楽や舞楽(舞を伴う雅楽)の「楽」のこと。演奏したり、装束を身に着ける場所をまとめて楽之屋と呼んでいました。
のちに能や歌舞伎の用語として取り入れられ、初期の歌舞伎では舞台の後ろを幕や板で覆った場所を楽屋としていましたが、次第に独立した設備となっていきました。(参考:歌舞伎から生まれた言葉/国立音楽大学附属図書館広報委員会 2007年)