初飛行:1965年9月7日
生産数:1,116機(現在も製造継続中)
ベル・エアクラフト社が開発した、世界初の世界初の本格的な攻撃ヘリコプター。
1960年代、アメリカ軍はベトナム戦争においてヘリボーン作戦(ヘリコプターで部隊を敵地へ輸送する作戦)を多用するようになったものの、部隊を展開中のヘリコプターはいわば丸腰であり敵からの攻撃に対処し得る術を持っていなかった。そこで当初はUH−1多用途ヘリコプターにロケット弾や機関銃などを搭載し、暫定的な武装ヘリコプターに仕立て上げて運用していた。
その結果、輸送用ヘリコプターの被弾率は大幅に下がったが、専用設計でないことが災いして耐弾性や機動性など問題も浮き彫りになった。やはり本格的な武装ヘリコプターが必要と判断され、かつ現在進行形で戦闘が進んでいるベトナム戦争に間に合わせることが目標とされたため、UH−1多用途ヘリコプターをベースにして武装ヘリコプターを開発する運びとなった。そして1965年に生まれたのがAH−1である。
AH−1の設計思想は現在の攻撃ヘリコプターにも引き継がれている。スリムなボディ、スタブウィング(武装搭載用の取り外し式の小翼)、タンデム配置の搭乗員など、攻撃ヘリコプターの礎を築きあげた。特筆すべきは幅約1mの極めてスリムな胴体であり、敵から狙われる確率を下げつつ速度向上にも一役買っている。搭乗員は前席のガナー(射撃担当)と後席パイロットの前後配置となっており、ガナーは可動式の20mmガトリング砲と対戦車ミサイルTOW、ハイドラ70ロケット弾の射撃を担当する。
陸上自衛隊では1982年から導入を開始し、全国の対戦車ヘリコプター隊に配備。上陸した敵戦車に対する攻撃を主任務とする。富士重工(エンジンは川崎重工)でもライセンス生産を開始し、2012年現在70機程度を保有している。また後期の機体からはC−NITEと呼ばれる夜間行動能力を向上させたタイプが存在する。
アメリカ陸軍ではAH−64「アパッチにその座を譲り退役したものの、アメリカ海兵隊では大幅に現代化したAH−1Z「バイパーを導入している。主な改良点としてグラスコックピット化をはじめとした電子装置の改良やメインローターの4枚化などが挙げられる。AH−64と同じくヘルファイアミサイルの運用能力も獲得しており、AH−64と比べてコストを抑えつつも戦闘能力を確保したタイプである。
(解説:鯛風雲)